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「現場を変える?会社を変わる?」できることと、できないこと

キャリア戦略

はじめに

先日のDevLOVE関西でもちょこっと絡ませてもらった@jyukutyoさんのブログがなかなか面白いと感じました。


「現場を変える・会社を変わる・SIから抜ける」何を選ぶのか - Fight the Future


書いてあることはほぼ同意です。
それに補足する形で僕の経験や考えをいくつか紹介してみます。


「信念がコンフリクトしている人」を変えるのはムリ

まず、僕の経験上、一人の人間が現場を変えることは非常に難しいです。
一番困難、というか絶対ムリだと思ったのは「信念がコンフリクトしている人」を変えることです。
特にそれが上司だったり、部長クラスの人だと、転職する方が有力な選択肢になると思います。


例えば、アジャイルな開発スタイルを現場に導入したいと思っていても、「アジャイル開発なんて理想論だ。そんなお遊びで仕事が回るのは景気のいい会社だけだ。普通の会社は事前に仕様書を書いて開発を始めるのが当然だ」みたいな考えの人が自分の上にいると、ほとんどお手上げです。


必ずしもその人が悪いとか、頭が固いとか、その人を責める気はなく、自分が「アジャイル開発がいい」と信じているのと同様に、その人はその人の経験上「ウォーターフォール開発がいい」と信じているだけです。
お互いが鏡に向かって「俺が正しい。お前が変われ!」と言ってるようなもんですね。
それが上の人だと、立場上の責任もあるので、わざわざリスクを取って自分が信用していない開発スタイルを全面採用するはずがありません。


もしかすると、世の中にはそういう人がいてもうまくやりくりするテクニックがあるのかもしれません。
しかし僕はそんなテクニックは知らないですし、今の現場を変えるために四苦八苦するぐらいなら、理想的な会社に頑張って転職する方が技術者として合理的な時間の使い方だと判断しました。


「信念のない人」も根っこからは変えられない

一方、まだ比較的変えやすいのは「信念のない人」です。
会社が「仕様書を書け」と言ってるから書いてるだけの人なら、「アジャイルでやれ」と言ってもとりあえず従ってくれると思います。


ただし、そういうタイプの人は言われたことだけしかやりません。
そこから新しい開発スタイルの良さに目覚めて、生まれ変わったように積極的に勉強し始める、みたいなことはほとんど期待できません。


なので「信念がコンフリクトしている上司」よりかは楽ですが、こちらとしてはだんだん張り合いがなくなってきます。


転職する前にやるべきこと

じゃあ転職するのが一番いいのかと言うと、必ずしもそうとも言えないでしょう。
転職しても失敗するケースはありますし、転職という名の「逃げ」になっているケースもあります。


転職する前にまず目指してほしいのが「現場で一番の技術者になること」です。
理想的な会社を目指すのなら、自分もそれに見合った理想的な技術者でないと採用されません。


「こんなヤル気のないチームはイヤだ。俺はもっと理想的な環境やチームメンバーの中でプレイしたい!」と思っている草野球の補欠選手じゃダメです。
最低限、そのチームでもトップクラスの実力がないと、どう見ても言行が一致しないですよね。
自分が「価値のある技術者」にならないと、会社の外へ飛び出しても自分が理想とする会社には手が届きません。


そしてもちろん、現場を変える努力もやった上で転職を選択肢に入れるべきです。
「自分や現場はこうありたい」と願う情熱が自分の中にあるなら、今の現場でも試せることはたくさんあるはずです。
転職は数ある手段や可能性の一つです。
現場を変えることもまた、手段や可能性の一つです。


自分に本当の情熱があるなら、転職以外の「今やれること」にチャレンジすることもできるはずです。
もしかすると、ムリだと思っていたことが案外実現できてしまったりするかもしれません。
また、自分が「現場で一番の技術者」であれば、同僚や上司に対する説得力も増して、現場を変えやすくなると思います。
何も行動に移さずただ理想の職場に憧れるのは情熱ではなく、甘えです。


もし転職をするなら、新しい会社のビジョンやビジネスモデルが自分の目指す方向性に合致しているかどうかよく考えるべきです。
「なんとなく良さそう」とか、「少なくとも今の会社よりかはマシだろう」というレベルの判断で転職してしまうと、数年後に新しい不満が噴出し始めて、また別の会社を探すハメになります。
そのあたりは以下の記事が参考になると思うので、是非読んでみてください。


自分にあった会社を選ぶための3つの視点〜ビジネスモデル・人数・方向性 - Social Change!


間接的に全ての現場を改善していこう

そうは言っても、現場を変えることを諦めて別の会社を選ぶということは、どこかちょっと後ろめたいというか、「やっぱり自分は逃げ出したんじゃないだろうか」と考えてしまう時があるかもしれません。
僕にはそういう考えが全くなかった、というとウソになってしまいます。


しかし、最近では「直接現場を変えることはできなかったけど、間接的に現場を変えることはできるかもしれない」と思うようにしています。
すなわち、いい技術者がいい会社に集まるようになれば、業界全体もだんだんといい現場が増え、反対にダメな現場はシュリンクして、結果的に多くの技術者がいい現場で働きやすくなる、という考え方です。


かなりマクロ的で実現することも証明することも難しそうな話ですが、自分が選んだ道をポジティブに考えるにはいい考え方なんじゃないかな〜と自分では思っています。
特に自分の場合は、ソニックガーデンという日本のIT業界では比較的知名度の高い会社に就職することができたので、そういう影響力を与えることも全く不可能ではないんじゃないかと考えています。


最後に

今回は現場を変えることや転職に関する僕の考えを、自分の経験を踏まえて書いてみました。


@jyukutyoさんも書いている通り、「正しいことというのは無数にあり、それはコンテキストの違いによって、より『ベター』なことだけがあって、『ベスト』なんてない」です。


だから「あなた」にとって何が正しいかなんて僕が教えることは不可能です。
最終的には自分で考えて自分が行動するしかありません。


とはいえ、やみくもに先へ進むのも不安やリスクが大きいと思うので、僕のこうした経験や考えが何かの参考になれば幸いです。