give IT a try

プログラミング、リモートワーク、田舎暮らし、音楽、etc.

兵庫県西脇市のシティプロモーションや地方創生について思うこと

はじめに

僕は兵庫県西脇市という田舎町に住んでいます。
去年ぐらいから市役所の方から声をかけてもらうようになり、いわゆる「地方創生」関連のタウンミーティング等に参加させてもらっています。
先日は「わたしがかえる大会議」という市民ワークショップに参加してきました。
これは西脇市のシティプロモーション戦略(いわば町おこし)を市民で議論するワークショップです。

当日の様子は西脇市のWebサイトに掲載されています。

 平成28年7月25日(月曜日)に開催された「第4回まち・ひと・しごと創生会議」 で、当該会議をシティプロモーション戦略プランの策定・検証・推進機関と位置付け、その下に市民の皆さん等の意見を聞く場として、市民ワークショップ(通称"わたしがかえる大会議")を設置することが決定されました。


 初開催となる今回は、本格的な人口減少社会の到来に備えて、西脇市の"ブランド力"を強化する必要性などについて考えました。
 参加したのは、西脇市を中心にファッションや飲食、農業、アートなど各分野で活躍する30~40歳代前半の皆さん。市を取り巻く現状や望ましい将来像などについて各自発表した後、西脇市の魅力の掘り起こしや、市のブランド力向上のための将来目標(ビジョン)などについて活発に意見が交わされました。


 メンバーたちは、「西脇市には一流の"織"や"食"など多彩な魅力がある。市民一人ひとりにそれらの魅力を知ってもらい、胸を張ってほしい」「本物を知るこのまちで、自分の望む未来を実現したいと誰もが考えることができれば、よい方向に変わっていくのでは」などと期待を込めて話していました。
 次回のワークショップでは、市のブランド戦略や市民としての誇りを喚起する取り組みなどについて検討される予定です。
 

市民ワークショップ "わたしがかえる大会議" - 西脇市

f:id:JunichiIto:20160819142245j:plain:w400f:id:JunichiIto:20160819134828j:plainf:id:JunichiIto:20160819134033j:plain
写真:西脇市

放っておくとどんどん過疎化や少子高齢化が進んでいく地方都市で、行政がこういった具体的なアクションをリードしていくのは非常に良いことだと思います。
また、ワークショップに参加していた西脇市民の方(市外の方も一部おられました)も、みなさん西脇市が大好きな方たちばかりで、西脇市の現状や将来について熱く議論されていました。

一方で「都市部から西脇市に移住した人間」の感覚としては、熱い地元愛だけじゃ町おこしは成功しないんじゃないかな~と思う気持ちもあります。
そのあたりのふわふわっとした気持ちをつらつらと書いていってみます。

そのまえに:軽く自己紹介

僕は大阪府豊中市で生まれ育ちました。
20代半ばまで豊中に住んでいたので、それまではいわゆる「都会っ子」でした。
今、西脇市に住んでいるのは妻の実家が兵庫県西脇市にあるからです。

もともと西脇市に住むつもりはなかったのですが、長男が生まれたときに「自然豊かな田舎で子どもを育てたい」と思ったのがきっかけで西脇市に移住しました。
西脇市に住んでかれこれ10年近く経ちます。

現在はソニックガーデンという東京のIT企業のプログラマとして、自宅でリモートワーク(在宅勤務)しています。

f:id:JunichiIto:20160831092747j:plain
写真:西脇市

さらに:西脇市についても簡単に紹介

西脇市は神戸の北西約50kmに位置する、自然豊かな田舎町です。

f:id:JunichiIto:20160831100002j:plain
画像:西脇市

面積は約132㎢、人口は約4万2000人です。(出典
ちなみに東京都渋谷区は面積が約15㎢、人口が約22万人なので、「西脇は渋谷に比べて9倍近い面積があるのに、人口は5分の1しかいない町」ということになります。
(こうやって比べると東京の人の多さにビックリしますね。。)

播州織という先染め綿織物が昔ながらの特産品ですが、生産量や工場は最盛期の10分の1まで落ち込み、厳しい状況が続いています。(出典

f:id:JunichiIto:20160831093237j:plain
写真:西脇市

最近では神戸ビーフとして認定されている黒田庄和牛を使ったローストビーフなども地元の特産品として力を入れています。

f:id:JunichiIto:20160831093357j:plain
写真:西脇ローストビーフ提供店舗|西脇いちおしグルメ

思うこと1:西脇市はいい町だ

僕自身は西脇市は非常にいい町だと思っています。
自然が豊かで、子どもたちと外で遊ぶのにもってこいです。
先日も近くの用水路でザリガニを釣って遊んでいました。

f:id:JunichiIto:20160831093701j:plain

食べ物も美味しいですし、大阪に住んでいた頃には考えられなかったような大きな家も建てることができました。
僕は音楽好きでギターをよく弾きますが、多少大きな音で鳴らしても近所迷惑にならないのは本当に嬉しいです。

f:id:JunichiIto:20160831093754j:plain
写真:西脇市

もちろん「都会に比べて悪いところは全くない」というわけではありませんが、それでもプラスマイナスすれば、僕にとっては都会よりも西脇に住む方がプラスになっています。


さて、こんなふうに西脇市民の各自が「西脇いいよ!西脇大好き!」って思うことは全然構いません。
むしろ、好ましいことだと思います。

しかし、シティプロモーションをする場合はそれだけではダメだと思っています。

思うこと2:それって、市外の人にニーズはある?

シティプロモーションを行う相手は基本的に市外の人(特に都会の人?)になります。
市外の人たちに対して「西脇いいよ!」「播州織いいよ!」「西脇に移住しませんか?」と叫ぶだけでは、その人たちのアクションにつながらないと思います。
少しキツい言い方をするなら「内輪で盛り上がってちゃダメ」だと思っています。

当たり前のことですが、ニーズがないものに投資をしても意味がありません。
まず相手のニーズがあるか?市外の人たち、都会の人たちはそれを必要としているのか?を第一に考え、それを西脇の何かに結びつける必要があると思います。

西脇にはXXXがある、西脇のXXXは素晴らしい、自分と同じようにきっとみんな気に入るはずだ、だからXXXをプロモーションする!・・・という順番で考えてしまうと、「実は全然ニーズがなくてサッパリ売れなかった」という事態に陥ります。

ニーズありきで西脇とうまく結びついている良い具体例を挙げるならこんな感じです。

私は服飾デザイナーだ。服のデザインだけでなく、使う生地からこだわりたい。そのためには生地の産地に直結した職場環境が必要だ。
→ 西脇に移住すれば播州織の産地で服のデザインができる!

私は子育て中の母親だ。子どもたちにボーネルンドの遊び道具で遊ばせたい。できればお金はあまりかけたくない。
→ 西脇の複合施設「みらいえ」に行けば無料でボーネルンドの遊び道具で遊べる!

私は都会生まれの都会育ちだ。今も都会に住んでいる。しかし、一度野生のホタルを子どもたちに見せてやりたい。
→ 西脇に行けば野生のホタルが見られる!

私はおいしいものを食べるのが大好きだ。先日知人から週2回しか営業しないこだわりのパン屋さんがあると聞いた。一度行ってみたい。
→ 調べてみたらそのパン屋さんは西脇にあった!

ここでのポイントは必ずしも「西脇」である必要はない点です。
「西脇」を「丹波」や「加西」に変えても文章としては成り立ちます。
でも、それでいいんです。
市外の人たちからすれば「XXXがしたい」というニーズが先にあり、それを求めた先にたまたま西脇があった、という話ですが、それで全然構わないと思います。
むしろ、そうでないと市外の人たちは動いてくれません。

ニーズよりも先に「西脇でなければダメ」「播州織でなければダメ」という「指名」をもらえるようにするには、京都だとか、シャネルだとか、誰もが知っていてみんなが憧れるようなブランド力を付ける必要があります。
ですが、いきなりそこを目指すのはかなり非現実的だと思います。

思うこと3:それってお金になる?

次に大事なことは「儲からないと意味がない」ということです。
無料の遊び道具で遊んですぐに帰った、ホタルを見るだけ見てすぐに帰った、では西脇には全くお金が落ちません。
西脇に来たらどこかで買い物をしてもらったり、食事をしてもらったりしないと、人が来るだけ来て終わり、になってしまいます。

お金が儲かれば仕事も増えやすくなり、その結果人も増えます。
人や職場が増えれば行政も潤って、市民の生活に還元されやすくなります。
もしそうなれば西脇市民の人たちも「町おこしが成功した」と感じ取ってくれるのではないでしょうか。

お金はつぎ込んだ、そこそこ人も集まった、でもトータルとしては赤字だった、ではダメです。
新しい事業を始めるなら、ちょっとでもいいから毎年黒字になるような事業を計画する必要があります。

・・・という話は僕独自の考えではなく、以前読んだこちらの本の受け売りですw

稼ぐまちが地方を変える 誰も言わなかった10の鉄則 (NHK出版新書)

稼ぐまちが地方を変える 誰も言わなかった10の鉄則 (NHK出版新書)

著者の木下斉さんは地方創生に関連したWeb連載も執筆されています。

たとえば、現在西脇市では「ブランド戦略」を考えようとしていますが、地域のブランド化については以下のような記事が書かれています。

このWeb連載はどの話も「うーん、たしかに・・・」と唸ってしまう内容ばかりです。
地方創生に関わる人であれば、一度目を通しておいて損はないと思います。

まとめ:ダメ出しは易く、アクションは難し(自省)

というわけで、シティプロモーションや地方創生に関して、僕が考えていることをあれこれ書いてみました。

いや~、でもね、自分でも半分わかってはいるんですよ、ダメ出しするだけなら簡単だって。
「じゃあ、一体どうすれば?何かいいアイデアあるの?アイデアがあったとして、自分から行動できるの??」って言われたら僕も「んぐぐぐ・・・」となってしまいます。
それだけに、ダメ出しばっかりするのは気が引けるんですが、それでもやっぱり「内輪で盛り上がって終わり」じゃダメだと思うので、思い切ってここに書いてみることにしました。

とりあえず、僕の考えはアウトプットしたので、ワークショップに参加しているみなさんにもこうした考えを頭の片隅に置いてもらいながら、これから引き続き議論していけたらいいな~と思います。

シティプロモーション活動、うまく進むといいなあ。
僕もがんばりまーす!

あわせて読みたい

田舎暮らし、楽しいですよ~という話はこちらに書きました。

今年はもう見頃が過ぎてしまいましたが、西脇市では野生のホタルが見られます。
来年の6月になったら西脇市へぜひ!

新鮮な魚介類が食べたい → よし、舞鶴へ行こう、という具体例もあります。
こういう流れを西脇でも作りたいですね。
blog.jnito.com

すいません、「週2回しか営業しないこだわりのパン屋さん」っていうのは僕の妻がやっている店のことですw
Coupé Baguette クープ バゲット
f:id:JunichiIto:20150324074822j:plain

西脇市の移住促進サイトです。僕たち夫婦のインタビュー動画も載ってます!
西脇市定住促進サイト ほっこり、のんびり にしわきごこち
f:id:JunichiIto:20160831095331p:plain

西脇市の複合施設「みらいえ」に行くとボーネルンドの遊び道具が無料で遊べます!
市外の人でも利用OKです。
【西脇市茜が丘複合施設 Miraie(みらいえ)①】 | 兵庫のちいさな移住手帖
f:id:JunichiIto:20160831094747j:plain

服飾デザイナーの村田さんは理想の仕事環境を求めて東京から西脇に移住されました。
hatsutoki(ハツトキ)は村田さんが立ち上げられた服のブランドです。
hatsutoki | ハツトキ
f:id:JunichiIto:20160831095813p:plain