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男女の参加バランスが良く、託児室があって、懇親会でぼっちにならないRuby勉強会を開催しました #tokyogirlsrb

はじめに

このブログでも何度か紹介してきた「女性も参加しやすい(でも女性限定ではない)Ruby勉強会」、TokyoGirls.rb Meetupの記念すべき第1回を2019年3月2日に開催しました。

TokyoGirls.rb Meetupを開催しようと思った目的や背景は以前書いたこちらのエントリにまとめてあります。

今回のエントリでは、「男女の参加比率」「無料託児室」「懇親会のぼっち対策」という3つのポイントに注目しながら、当日の様子や運営上の工夫を書いてみたいと思います。

【もくじ】

ポイントその1. 「男性ばかり」でも「女性ばかり」でもない男女比率になりました

この勉強会では女性限定の一般参加枠を35名、性別不問の一般参加枠を30名用意していました。
当日の参加者は女性が32名、男性が22名だったので、男女の比率が約2対3と、女性の方がやや多い勉強会になりました。

こんなふうに女性も男性も十分な人数がいて、どちらか一方に偏らない勉強会というのは、かなり珍しいのではないでしょうか?
少なくとも僕自身はこんな経験は今まで一度もありませんでした。
こんな光景が見られただけでも、僕個人は「この勉強会を開催して良かった」としみじみ感じました。

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登壇者の講演を聴いている参加者のみなさん(Photo by りほやん)

「男性ばかり」または「女性ばかり」のコミュニティで起こりうる弊害については、登壇者のようさんが発表スライド内で説明してくれています。

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Rubyでプログラミングの楽しさを知ろう!より引用

ただし、RailsGirlsのように、アフォーマティブ・アクションとして「女性限定」のテック系イベントを開催するのは、たとえ女性限定であっても問題なく、むしろ良いことだと僕は考えています。

参加者の感想(と僕自身の感想)

イベントのオープニングで僕はこんなスライドを見せました。

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女性ITエンジニアの中にも「私は女性だけど、特に抵抗はありません」という人がいるのは十分理解しています。
ですが、それでもやはり「男性エンジニアが大半を占めるコミュニティだと、心理的に抵抗がある」という女性はそれなりにいると思います。

そして実際、懇親会や開催後のアンケートなどで参加者のみなさんの声を聞いてみると、やはり「こういう勉強会なら参加しやすかった」「いつもは本編が終わったらすぐ帰ってたけど、これなら懇親会もすごく楽しめた」という女性からの感想をたくさんいただきました。

なので、「男性中心のコミュニティだと飛び込むのに躊躇してしまう女性エンジニアは一定数いる」というのが実情で、そうした方たちのハードルを下げる意味でも今回のような勉強会のニーズは確実にあると僕は感じました。

ただし、僕は「女性向けの勉強会を提供すること」がゴールだとは思っていません。
最終的には「開発の現場や勉強会に当たり前のように女性がいる」状態になってほしいと考えています。
そうなればTokyoGirls.rbは晴れてお役御免、任務完了、全員解散!ということになります。

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これとまったく同じことを登壇者の一人である、しなもんさんが登壇後のブログに書いておられました。
これは本当にそのとおりです!

こういう活動が続いて、最終的にエンジニア界隈での男女比が気にならない状態になって、
girlsっていう単語をつけずとも、枠を半分にせずともバランスの良い状態になるといいなと思っていて、
でも最初にRailsGirlsのコーチをした4年ぐらい前から考えると随分と近づいてる気もします。
いつかそういう日がくるといいなぁ、そのための活動には積極的に参加したいな、と思うのでした。
(もしそういう話があったらお声がけください!)
 

TokyoGirls.rb Meetup vol.1で「システム障害との向き合い方」を発表した - mosowave

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登壇者席でイベントを楽しんでいる登壇者のみなさん(Photo by りほやん)

男性エンジニアにも何かしらの気づきを与えられる勉強会でした

男女の参加比率をバランス良くしたかった理由のひとつとして、「男性エンジニアと女性エンジニアの相互理解を深めたい」という思いもありました。
実際、そういう効果も確実にあったんじゃないかと考えています。

たとえば、男性の参加者からは「女性が働きやすい環境作りについて、何か改善できることはないか考えるきっかけになった」という感想をもらいました。

また、男女比が2対3で、そこまで極端に女性が多い状況ではなかったにも関わらず、「女性が多くて、ちょっと怖気(おじけ)づいてしまった。逆の立場になってみて女性エンジニアの気持ちが少し分かった気がした」と話す男性エンジニアもいました。

もちろん何を感じるかは人それぞれだと思いますが、このブログを読んで状況を理解したつもりになるのと、実際に参加してみてその場の空気を感じるのとでは、かなり大きな違いがあると思います。

ですので、男性エンジニアのみなさんも、次回のTokyoGirls.rb Meetupにぜひ足を運んでみてほしいと思います。

「自分は男性だし、興味がないなあ」という方も

「自分は男性エンジニアだし、特に何も困っていないので、こういったイベントに興味がない」という場合でも、もしかすると何年後かには状況が変わっているかもしれません。

たとえば将来、女の子のお子さんが生まれて、その娘さんが「エンジニアになりたい」と言い始めるかもしれません。
そうなったらこの話題は他人事ではなくなってきます。
もしくは娘さんではなく、自分のパートナーが、というパターンもあり得るでしょう。

今から未来のことを予測するのは難しいですが、男性エンジニアにとっても、この先もずっと他人事で終わるとは限らないことを、心の片隅に留めておいてほしいなと思います。

ポイントその2. 無料の臨時託児室を提供しました

今回開催したTokyoGirls.rb Meetupの大きな特徴のひとつとして、パパエンジニア、ママエンジニアのどちらも利用可能な臨時託児室の提供があります。

「女性エンジニアが気軽に参加しやすい勉強会を開催したい」と考えたときに、僕は「女性エンジニアだけど(もしくはエンジニアを目指しているけど)、小さい子どもがいるので行きたくても行けない」という人たちの存在がふと頭に浮かびました。

これは別に具体的な誰かを想像したわけではなく、「たぶんそういう人もいるだろうな」というレベルの想像です。

(注:本来であれば子育ては女性だけの仕事ではないので、女性エンジニアの姿だけを想像するのは間違いです。ですが、正直なことをいえば、このとき僕は男性エンジニアではなく、女性エンジニアの姿が頭に浮かびました)

そこで、「託児室もあったらいいかもね」という意見を出してみたところ、運営スタッフからも「託児室、いいですね!」という声が上がり、臨時託児室の提供を検討することになりました。

なかなか大変だった臨時託児室の提供までの道のり(後日別エントリで紹介予定)

IT系イベントにおける臨時託児室の提供は過去にいくつか事例があり、ネット上にも運営サイドから見た知見が残っています。
たとえば、以下のリンクはRubyKaigi 2016における、託児室提供に関するまとめ記事です(執筆者は万葉のとりいさんです)。

とはいえ、まだまだ一般的とは言えない状況であるため、臨時託児室の提供を実現するまでにいろんな場面で頭を悩ませました。

しかし、そのおかげで、僕も託児室運営については、かなりたくさんの知見を得ることができました。
ただ、これを今語り始めるとかなり長くなってしまいます。ですので、この件は後日別エントリとしてまとめることにします。
IT勉強会等で託児室の提供を検討されている方は、そちらのエントリをお待ちください。

2019.3.15追記 : 託児室運営の知見をブログにまとめました

託児室運営に関する知見は以下のブログにまとめました。
かなりの長文ですが、興味がある方はぜひチェックしてみてください。

blog.jnito.com

臨時託児室はとても好評でした

臨時託児室には5名(お子さんベースでは7名)の申込みがあり、そのうちの4名(お子さんベースでは5名)を受け入れることができました。
ほとんどの親御さんから「とてもありがたかった」「プロのスタッフさんが見てくれたので安心感があった」と嬉しい言葉をいただくことができました。

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臨時託児室のようす(Photo by りさきゃん)

託児室に関わってくれた方々への謝辞

臨時託児室にかかる費用はすべてスポンサー企業・個人さんの協賛金でまかないました。
こころよく協力してくださった、アクトインディ株式会社さま、株式会社万葉さま、株式会社ユカシカドさま、GMOペパボ株式会社さま、高橋達さまに心より感謝申し上げます。

また、託児室運営に関する疑問や懸念については、前述のまとめ記事の執筆者でもある株式会社万葉のとりいさん(@yotii23)に随時相談させてもらいました。
どうもありがとうございました。

最後に、素敵な託児サービスを提供してくださった株式会社ポピンズさんにもお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。

ポイントその3. 懇親会の「ぼっち対策」を充実させました

今回のTokyoGirls.rb Meetupでは、本編終了後に会場内でケータリング付きの懇親会を開催しました。

ただし、普通に「さあ、みなさん、お食事とおしゃべりをお楽しみください!」で始めるのではなく、ちょっとした工夫を入れてみました。
というのも、いきなり「さあ、どうぞ!」で始めてしまうと、

  • 知らない人ばかりで、誰と話せばいいのかわからない😖
  • 初対面の人といったい何を話せばいいのか分からない😖

という人が続出して、ぼっち状態になる人が出てくるからです。

いや、「出てくるから」というか、「僕自身がそういう気持ちになりやすいから」というのが本当の理由です(苦笑)。

でも実際、ふと気づくとぼっちになっていて、なんとも言えない気持ちで懇親会をやり過ごす人って結構多いんじゃないでしょうか。
たとえば、以下のツイートのまとめ記事を開いてみると、まさにそんなエピソードが満載です。

ぼっちが懇親会でするべき97のこと - Togetter

懇親会ぼっちを防止する3つの施策

そこで今回は「ぼっち防止策」として、

  • ある条件でグルーピングして、まずはそのグループ内で話してもらう
  • 会話のきっかけを作る会話テンプレートを提供する
  • ほとんどの人は自分のことをコミュ障だと思っていることを理解してもらう

という3つの施策を懇親会前に実施しました。

その具体的な内容を以下で説明します。

施策1. 使っているエディタ/IDEでアンチボッチ・グルーピング

今回はグルーピングの条件として、普段愛用しているエディタやIDEを使ってみました。
具体的には以下のようなグループ分けです。

  • Vim
  • Emacs
  • VS Code
  • RubyMine または IntelliJ
  • その他(Atom、Cloud9、Progate、秀丸、etc)

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(注:「アンチボッチ」というネーミングは僕が去年参加した「オープンセミナー2018@岡山」での「アンチボッチランチ」を参考にしました。アンチボッチランチはRubyKaigi2011で初めて行われた取り組みのようです - 参考1参考2

比較的プログラミング初心者の方が多かったせいか、VS Codeが多数で、Emacsはほぼゼロ(スポンサー登壇者の中に数名いただけ)という結果になりました(苦笑)。

しかし、このままだとバランスがあまりに悪いので、「Emacsを知ってる人はEmacsグループへ!」とか「Eclipseを使ったことがある人は同じIDEだからRubyMineグループへ!」といった追加の条件を付けて、ある程度グループの人数が均等になるようにしてみました。

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Emacsを知ってる人は挙手!(Photo by fuku_tech)

施策2. 会話のテンプレートを提供

初対面の人同士だと「こんにちは。どうも初めまして」のあとが、なかなか続かないかもしれません。
というわけで、懇親会中は会場のスクリーンに次のような会話のテンプレートを表示しておきました。

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施策3. みんな「コミュ障」であることを強調

男女を問わず、ITエンジニアは自分のことを「コミュ障」だと考えている人が非常に多いです。
僕だって人と話すのはあまり得意な方ではありません。

にもかかわらず、もしくすると大半のエンジニアは「コミュ障なのは自分だけ」「他の人はみんな仲良くしゃべってるのに、自分だけ仲良くできない」と思っていたりするかもしれません。

であれば、「いやいや、そんなことないですよ。コミュ障だと思っているのはお互い様ですよ」ということを予め伝えておけば、知らない人同士でも互いに優しく接することができるんじゃないでしょうか?

というわけで、懇親会を始める前に「コミュ障だと思っているのはあなただけではありませんよ!」ということを強調して説明しておきました。

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さらに:初心者の参加者が多いことも事前に告知

また、オープニングでは事前アンケートの回答を元にした参加者のプログラミング歴の分布も公開しました。

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上の図を見てもらえばわかるとおり、今回の勉強会では全体の約4分の3がプログラミング歴3年以下の方で占められていました。

隣の人が誰だかわからない状況では、自分だけが初心者で、周りはみんな百戦錬磨の熟練者ばかりに見えてビビッてしまうかもしれません。
ですが、具体的な数字を提供することで、「初心者は自分だけではない」ということを理解してもらおうと僕は考えました。

結果は・・・大成功!

こういった工夫をこらしたせいか、懇親会をスタートさせてみると、出だしから全員がわいわいと話し始めて、懇親会中はぼっちの人をほとんど見かけませんでした。

運営スタッフには「ぼっちの人を見かけたら、声をかけてぼっちを解消する」というタスクが与えられていたのですが、ぼっちの人が全然いなくて「ぼっちの人を探す運営スタッフだけがぼっちになっている」という奇妙な現象が発生しました😅

もともと懇親会の時間は40分しかなかったので、あっという間に時間が過ぎてしまい、みんなおしゃべりばかりするので用意した食べ物がほとんど減らないという嬉しい(?)誤算も起きました。

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懇親会でおしゃべりを楽しむ参加者のみなさん(Photo by りさきゃん)

開催後のアンケートでも「手厚いぼっち対策をしてくれたのが良かった」という声をいくつも見かけました。

というわけで、この対策はなかなか良かったと思います。
そして次回はもうちょっと懇親会の時間を長めに取ろうと思います!

2020.1.24追記 : 第2回ミートアップの工夫や施策をブログにまとめました

第2回ミートアップで実践した工夫や施策を以下のエントリにまとめました。
こちらもあわせてどうぞ!

blog.jnito.com

その他、本イベントに関する裏話やエピソード

どういう発表をお願いしていたのか

登壇内容のレベルとしてはRuby初心者から中級者向け(カレーでいうと甘口から中辛ぐらい)で、登壇テーマとしてはテック寄りとキャリア寄りのものを半々に、というのが、運営サイドで企画していた内容でした。

しなもんさんとようさんには少しテクニカルな話を、かなきゃんさんとかとりえさんにはキャリア寄りの話をお願いしていました。

また、事前アンケートで集まったプログラミング歴の分布は、事前に登壇者のみなさんにお知らせして、登壇内容の難易度レベルを検討する際の参考資料にしてもらいました。

女性が多い勉強会ならではのエピソード

どの発表も登壇後にたくさんの質問が出ました。しかも、ほとんどが女性からの質問でした。
男性よりも女性の方が積極的に質問する勉強会というのも、そんなにないかもしれません。

また、勉強会にしては珍しく(?)、休憩時間には女子トイレに列ができていました。
それだけ女性が多かったということで、ある意味嬉しいことなのですが、実際使おうとしていた人はちょっと困ったかもしれません(ごめんなさい🙏)。

アンチハラスメントポリシーを策定していました

イベント開催中に(もしくは開催後に)、参加者間で何かしらのトラブルが起きるといけないので、念のためアンチハラスメントポリシーを策定し、参加者に周知していました。

TokyoGirls.rb アンチハラスメントポリシー · GitHub

幸いなことに運営スタッフの対応を要するようなトラブルは何も起きず、平和にイベントは終わりましたが、万一何か起きたときはこのポリシーに従って対処できるので、事前に準備しておいて良かったなと思います。

なお、このアンチハラスメントポリシーはCC BY 4.0で提供されているので、どのコミュニティでも再利用可能です。
詳しくは以下のエントリをご覧ください。


まとめ

というわけで、このエントリでは先日開催されたTokyoGirls.rb Meetup vol.1の開催レポートをまとめてみました。

参加してくれたみなさん、登壇者のみなさん、スポンサーのみなさん、そして一緒に運営をがんばってくれたスタッフのみんな、どうもありがとうございました!
会場提供をしてくれたTECH PLAYさんと、後援という形で関わってもらった日本Rubyの会の方々にも感謝します。
みなさんのおかげで、今までにはなかった新しいRuby勉強会が開催できました😄

次回の予定は?

もちろん、TokyoGirls.rb Meetupはこの1回で終わりにするつもりはありません。
第2回の具体的な日程は未定ですが、できれば半年後ぐらいにやりたいなと考えています。
次回の詳細が決まった際はみなさん、よろしくお願いします!

もし、次回は自分も登壇してみたい、運営スタッフとしてイベントを盛り上げたい、スポンサーとして協力したい、といった方がおられましたら、気軽にお声がけください。

他の地域や他の言語コミュニティでもぜひ!

また、こういった形式のイベントは他の地域や他の言語コミュニティでももっと活発に開催されてほしいなと思います。
決して僕たちの専売特許にするつもりはないので、「面白そう!うちでもやってみたい」と思った方はぜひアクションを起こしてみてください。

そもそも僕は東京ではなく、関西在住の人間なので、関西でも同じ形式のイベントをやってみたいですね。(名前はKansaiGirls.rbになるのかな??)

主催者が何か特別な配慮をしなくても、女性エンジニアと男性エンジニアのバランスがいい状態に保たれるITエンジニアの世界をみんなで目指していきましょう!

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最後に全員で集合写真を撮りました(Photo by crafter_gene)

参考資料1:当日の登壇資料

どの発表も期待以上の内容で、スタッフ全員感激していました😭
登壇者のみなさん、どうもありがとうございました!

なお、各登壇者の発表の様子は動画に収めてあり、後日YouTubeにアップする予定です。

かなきゃんさん
好きなことを仕事に エンジニアはいいぞ😉/ TokyoGirlsrb - Speaker Deck


しなもんさん
システム障害との向き合い方 @sinamon129 #tokyogirlsrb - Speaker Deck


ようさん
Rubyでプログラミングの楽しさを知ろう!
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かとりえさん
チームの変化は私の変化!チームとともに成長する! - Speaker Deck


万葉・とりいさん(スポンサーLT)
株式会社万葉会社説明 #tokyogirlsrb - Speaker Deck


ユカシカド・寺田さん(スポンサーLT)
ヘルシーにやっていく - Speaker Deck


GMOペパボ・つみちゃんさん(スポンサーLT)
新卒エンジニア研修での学び - Speaker Deck


高橋達さん(スポンサーLT)


オープニング / 懇親会の説明 / クロージング
僕がオープニングで使ったスライドです。
ただし、28枚目から36枚目は懇親会前に使ったページで、37枚目から42枚目はクロージングで使ったスライドになります。

TokyoGirls.rb Meetup vol.1 OPENING #tokyogirlsrb - Speaker Deck

参考資料3:参加されたみなさんの感想ツイート

開催後に投稿された感想ツイートをいくつかピックアップしてみました。

その他、イベント当日のツイートは以下のページにまとめてあります。
当日の雰囲気を知りたい方はこちらをどうぞ!

自由に再利用&改変可能(CC BY)なアンチハラスメントポリシーを作成しました #tokyogirlsrb

はじめに

2019年3月2日に開催されるTokyoGirls.rb Meetup vol.1の開催に向けて、TokyoGirls.rbでは独自のアンチハラスメントポリシーを作成しました。
このアンチハラスメントポリシーは、クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際(CC BY 4.0)ライセンスで公開しているため、どのコミュニティでも自由に再利用および改変することができます。

このエントリではこのアンチハラスメントポリシーに関する詳しい情報を紹介します。

【もくじ】

Cotula turbinata flowerhead NC8

そもそも「アンチハラスメントポリシー」って何?

アンチハラスメントポリシーという言葉の意味を分解すると、以下のようになります。

  • アンチ=反〜、対〜の意味を表す接頭語
  • ハラスメント=いやがらせ
  • ポリシー=方針、考え方、行動原則

ですので、日本語に直訳すると「反いやがらせ方針」や「反いやがらせ原則」になるでしょうか。

ネットを調べてみましたが、そのまま「アンチハラスメントポリシー」とカタカナで書かれることが多く、明確な日本語訳は見当たりませんでした。

雑に意訳するなら「イベントに来た人たちが嫌な思いをしないようにするための共通ルール」みたいになるのかなー、と思います。

アンチハラスメントポリシーを策定する動機

TokyoGirls.rbは「女性も参加しやすい(でも女性限定ではない)Ruby勉強会」をコンセプトにしています。

イベントの趣旨をちゃんと理解してくれている人なら、あからさまなハラスメント(いやがらせ)をする人はおそらくいないと思うのですが、それでもたくさんの人が集まるので、絶対にトラブルが起きないとは言い切れません。

そこで予めルールや原則を参加者に周知しておくことで、トラブルを未然に防ぎ、このミートアップに申し込んでくれた人全員が安心して来場できるようにしたいと考え、アンチハラスメントポリシーを策定することにしました。

また、万一トラブルが発生した場合も、アンチハラスメントポリシーがあればそれを根拠にして、運営スタッフが自信をもってトラブルに対処できます。

このように、アンチハラスメントポリシーの策定はトラブルの予防と、トラブル発生時の被害を最小限に食い止めることが主な動機になっています。

で、どんなアンチハラスメントポリシーなの?

TokyoGirls.rbのアンチハラスメントポリシーは以下のURLで公開しています。

https://gist.github.com/JunichiIto/7a080f1cfb0ae27ef600c14b94a02db7

具体的な文面は以下のとおりです。

このアンチハラスメントポリシーの特徴

アンチハラスメントポリシーの文面はRubyKaigiやRuby25など、既存のアンチハラスメントポリシーを参考にさせてもらっています。
ですが、それらを全面的に拝借するのではなく、いくつか独自のアレンジを加えています。

見出しを付けて文書構造をわかりやすく

このアンチハラスメントポリシーには、「対象者」や「禁止行為」といった見出しを付けています。
こうすることで、最初から最後まで文章を目で追わなくとも、見出しだけに着目するだけで「このセクションで語られていることは何か」を把握できるはずです。
(コンピュータ用語でいうところの、シーケンシャルアクセスとランダムアクセスみたいな感じですね)

文章は極力簡潔に

アンチハラスメントポリシーはイベントの参加者全員が共通認識として理解しておくべきルールです。
なので、あれもこれも盛り込んだ重厚長大な文章にするのではなく、なるべくさっと読めて「なるほど、わかった」と思えるような文章の方が、「みんなに理解してもらう」という目的においては良いはずです。
そのために、このアンチハラスメントポリシーはなるべく簡潔な文章で書くことを心がけました。

あえて強い言葉を使わない

このアンチハラスメントポリシーでは、ポリシーに違反した場合の対処方法として「退場させます」「今後のイベントも出入り禁止にします」「場合によっては警察に通報します」等の強い言葉(強い警告)をあえて明記していません。

これは運営サイドが強権的な態度を見せれば見せるほど、「真面目な普通の参加者(=まったく問題を起こさない人たち)」が萎縮してしまうのではないかと考えたからです。

いくら強い言葉を使ったところで、無自覚な人による「うっかり事故」は起きてしまうときは起きてしまいますし、万一、本当に悪意を持った人が参加していたらどんな警告も無視すると思います。(もちろん、トラブルゼロで済むことが最善なのは言うまでもありません)

ただし、明記はしていないだけで、悪質なハラスメントが発生した場合は運営スタッフはしかるべきアクションを取ります。
その意思を示しているのが以下の2文です。

我々運営スタッフは、ハラスメントに直面している参加者の心理的、身体的な安全を、全力で確保するように努めます。

また、ハラスメント行為をやめるように要請された参加者は、運営スタッフの指示に直ちに従ってください。

「退場させます」「出入り禁止にします」「警察に通報します」といった具体的なアクションは、上の2文に含まれているものとお考えください。

自由に再利用と改変ができるライセンスにした

今回のTokyoGirls.rbの取り組みを見て、「よし、うちのコミュニティでもアンチハラスメントポリシーを作成するぞ!」と思っても、ゼロからアンチハラスメントポリシーを考えるのは結構大変です。
また、現実的にはゼロから文面を考える人よりも、既存のアンチハラスメントポリシーを参考にしながら作る人の方が多いはずです。(僕もそうでした)

そこで、これからアンチハラスメントポリシーを策定しようと考えている人たちのために、TokyoGirls.rbのアンチハラスメントポリシーは、クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際(CC BY 4.0)ライセンスで公開することにしました。

Creative Commons — 表示 4.0 国際 — CC BY 4.0

CC BYは比較的制約の少ないライセンスで、

  • 商用利用も含めて再利用が可能
  • 改変も自由

になっています。

ですので、この文面をほぼそのままご自身のコミュニティのアンチハラスメントポリシーとして利用してもらっても良いですし、必要に応じて内容を削ったり追加したりしても構いません。

ただし、再利用する場合は、

このアンチハラスメントポリシーは、CC-BY-4.0で公開されている「TokyoGirls.rb アンチハラスメントポリシー」を元に作成しています。

のようなクレジットを明記するようにお願いします。(これはCC BYに定義されている利用条件です)

アンチハラスメントポリシーがあって困る場面は少ない、いや、むしろあった方がみんな安心してイベントに参加できると思うので、これを機にいろんなコミュニティで積極的に採用されていってほしいなと僕は考えています。

まとめ:冷たい鎖ではなく、温かい日差しとしてのアンチハラスメントポリシー

というわけで、このエントリではTokyoGirls.rbで策定したアンチハラスメントポリシーを紹介しました。

こういったルールを作ると、「これはいいの?ダメなの?」「こんなときはどうなの?」みたいな個々の事象に関する疑問が出てくるかもしれません。
しかし、僕としては「あれはダメ、これはOK」と細かいルールをいちいち増やしたくありません。
禁止事項を増やしていくとキリがないですし、そうなっていくと「ルールに書いてないんだから、別にいいじゃん」と子どもみたいなことを言う人が出てきかねません。

そうではなく、もっとメタな視点で、

  • 隣にいる参加者が笑顔で帰るためにはどう行動したらいいか?
  • 「次もあの人が来るんだったら、もう自分は参加しないでおこうかな」と相手を悲しい気持ちにさせないためにはどうしたらいいか?

ということを考えてみてほしいです。

そんなふうに相手の立場や気持ちをちょっとだけ想像できれば、細かくルールを定めなくとも、自ずと自分が取るべき行動が見えてくるはずです。

このアンチハラスメントポリシーが「参加者のみなさんの自由を奪う冷たい鎖」ではなく、「思いやりの気持ちを芽生えさせる温かい日差し」になってくれれば嬉しいです。

このポリシーの「さいごに」で書いた文章には、その思いが込められています。

当ポリシーは禁止事項を増やして、みなさんの自由を制限するために策定されたわけではありません。

私たちは運営スタッフは次のような思いで当ポリシーを策定しました。

  • 参加者のみなさんが笑顔で帰ってほしい
  • 不安な気持ちやモヤモヤした感情を抱えることなく、素直に「また来たい」と思ってほしい

わざわざ厳格なルールを定めなくとも、参加者ひとりひとりが「ちょっとだけ、相手の立場や気持ちを想像してみること」を心がければ、上記の願いは容易に叶えられるはずです。

誰もが気軽に参加しやすいイベントを維持するために、みなさんのご理解とご協力をよろしくお願いします。
 

TokyoGirls.rb アンチハラスメントポリシー · GitHub

参考文献

TokyoGirls.rbのアンチハラスメントポリシーは、以下のアンチハラスメントポリシーやガイドラインを参考にして策定しました。

あわせて読みたい

2019年3月2日に開催されるTokyoGirls.rb Meetup vol.1の詳細については、こちらのエントリをご覧ください。
blog.jnito.com

女性も(そしてママもパパも)参加しやすいRuby勉強会、TokyoGirls.rbのイベントページを公開しました #tokyogirlsrb

お知らせ

先日、このブログでもお知らせした女性も参加しやすいRuby勉強会のイベントページを公開しました。

techplay.jp

この勉強会の概要は以下のとおりです。

イベント名
TokyoGirls.rb Meetup vol.1
日時
2019年3月2日(土)13:00〜17:00(受付12:30〜)
会場
TECH PLAY SHIBUYA
定員
42名(女性専用枠=20名、性別不問枠=15名、託児室利用枠=5名、録画協力枠=2名)
参加費
1000円(ケータリング代)
その他
託児室を提供します
イベントページ
https://techplay.jp/event/716251

この勉強会の3つの特徴

この勉強会の特徴はいろいろあるのですが、個人的な観点であえて3つに絞り込むとしたらこんな感じになると思います。

その1・登壇者が全員女性Rubyist!

登壇者は全員、ITエンジニアとして働いている女性Rubyistで、登壇テーマは以下のとおりです。
女性向けのトピックのみならず、男女関係なく勉強になる技術寄りな知見もあって、とても幅広いコンテンツになっています。

  • 去年の4月に初めてプログラミングを体験した私がエンジニアになってよかったと思うことかなきゃんさん)
  • システム障害との向き合い方しなもんさん)
  • Rubyでプログラミングの楽しさを知ろう!ようさん)
  • チームの変化は私の変化!チームとともに成長する!かとりえさん)

どの登壇テーマもすごく興味深くて、運営をやっている僕がすでにめっちゃ楽しみです!😆

その2・女性専用枠を用意!(でも男性も参加可能!)

「女性も参加しやすいRuby勉強会」ということで、今回は女性専用枠と性別不問枠を設けています。
一般的なIT勉強会では男性が過半数を占めることが多いですが、あえて性別で参加枠を分けることで、できるだけ男女比が偏らないように配慮しています。

「そもそも女性限定の勉強会にすればいいのでは?」という意見もあるかもしれません。
ですが、この勉強会では「開発の現場や勉強会には男性と女性がバランス良くいてほしい」「女性エンジニアと男性エンジニアの相互理解を深めたい」という思いから、男性も参加可能な勉強会にしています。

その3・無料託児室を提供!

そして、女性だけでなく、子育て真っ最中のパパ・ママエンジニアも参加しやすくなるよう、臨時託児室を設置しました。

当初は「会場内にパーティションで区切った託児スペースを設ける」という案を考えていたのですが、最終的には会場近くのイベントスペースを借りてそこを臨時託児室にすることにしました。

イベントスペースのレンタル料と託児サービス利用料は、このイベントの趣旨に賛同してくださった以下のスポンサー企業・個人のみなさんの協賛金から支払われます。
そのため、託児室を利用される方は追加料金を払う必要がありません。

スポンサーのみなさん、本当にありがとうございます!

なお、託児室の詳細については以下のページで説明してあります。

託児室について (TokyoGirls.rb meetup vol.1) · GitHub

その他、この勉強会が企画された背景や目的など

その他、この勉強会が企画された背景や目的等については、先日公開した以下のエントリを参照してください。

blog.jnito.com

まとめ

というわけで、このエントリでは2019年3月2日(土)に開催される女性も参加しやすいRuby勉強会、TokyoGirls.rbについてお知らせしました。

当日は僕もスタッフとして会場に常駐しています。
みなさんと会場でお目にかかるのを楽しみにしています!😄

techplay.jp