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【DIY】妻のリクエストに応えてホールソーでキッチン棚の区切り板に穴を空けた話

はじめに

先日、妻が「トースターの位置が高くて使いにくいので、左のキッチン棚に移動させたい」と言い出しました。
ですが、左の棚にはコンセントがないため、そのままだと左の棚にはトースターが置けません。

・・・と言っても、何を言ってるのかわからないと思うので、写真で説明します。

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はい、そういうことです。
(上の写真では左の棚は扉で隠れていますが、扉をスライドさせるとふつうに棚があります)

最初は「業者を呼んで左の棚にコンセントを追加してもらおうか」と妻と話してたんですが、「これ、そんなことしなくても、区切り板に電源コードを通す穴を空けたら解決するんじゃない?」というアイデアがひらめきました。
つまり、こういうことです。

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手描きの完成予想図

が、問題は「どうやって穴を空けるか」ということです。
というわけで、この記事ではDIYで区切り板に穴を空ける方法を紹介します。

板をくり抜くならホールソーが便利(らしいのだが・・・)

ネットをいろいろ調べていると、世の中にはホールソーという便利道具があることを知りました。
ホールソーというのは電動ドリルに輪っか状の刃を取り付けて、それを回転させながら板に穴を空ける工具です。

makit.jp

「ほうほう、なるほど。これを使えば一発で穴が空けられるじゃないか!」と思い、近くのホームセンターで電動ドリルとホールソーを買ってきました。

リョービ(RYOBI) ドライバードリル CDD-1020 645801A

リョービ(RYOBI) ドライバードリル CDD-1020 645801A

E-Value 木工用7枚刃ホールソー 20mm

E-Value 木工用7枚刃ホールソー 20mm

さっそく電動ドリルにホールソーを装着して、「よーし、穴を空けるぞー!」と作業に取りかかったのですが・・・

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ホールソーで穴を空ける準備万端の伊藤さん

まったく刃が立たない!!😂😂😂

本来であれば下の写真のように、先端のドリルが板に入っていくはずなんですが、どれだけ力を入れて押し込んでも刃先が板の表面でツルツル滑って先へ進みません。

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本当ならこうなるはず!(画像の引用元: https://makit.jp/01968/

これは困った!!せっかく電動ドリルまで買ったのに〜😣

先に下穴を空けておけば大丈夫?

そこで、弊社ソニックガーデンのメンバーに雑談ネタとして「かくかくしかじかで穴を空けられなくて困ってるんだけど、誰かいい方法を知らない?」と尋ねてみました。

すると、あるメンバーから「化粧板のように硬い板の場合は、先に細い下穴を空けてからやればいけるかも」という意見が挙がりました。

その意見を聞いて「なるほど、その発想はなかった。やってみよう!」と思い、もう一度ホームセンターに行って、下穴を空ける細めのドリルをいくつか買ってきました。

最初は一番細い2.5ミリの下穴錐を使って穴開けに挑戦してみました。
すると・・・おお、入った!
これだと結構すんなり穴を空けることができました。素晴らしい!

それから、3ミリと4ミリのドリルを使って少しずつ穴を広げていきました。
こちらも先ほどと同様、問題なく板を貫通していきました。

下穴は空けることができた。じゃあ、ホールソーは?

それではいよいよ、この記事の主役であるホールソーの出番です。
はたしてリベンジできるのか・・・!?

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4ミリの下穴を空けてから、もう一度ホールソーを使おうとする図

では、やってみましょう。スイッチオン!

チュイ〜〜〜〜〜ン・・・・おお、いけた!!

下穴を空けてからホールソーを使うと、しっかり先端のドリルが板の中に入っていきました!
これならホールソーがホールソーとしてちゃんと機能しそうです。

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ホールソーで穴を空ける途中経過です。これならいけそう!

そして、ついに・・・!!

それからホールソーでガリガリやること数分間。
ついに穴を空けることができました!ばんざーい!!🙌

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逆サイドから見てもきれいに穴が空いてます。

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これでトースターの電源コードもこのとおり!!

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もともとイメージしていたアイデアスケッチのとおりに仕上がりました。

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まとめ

というわけで、工事完了後のキッチンの全景がこちらです。
これまでは完全にデッドスペースになっていた左の棚を有効活用することができました。

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今はこんな感じです(キッチン棚の扉は邪魔なので処分しました)

「業者を呼ばなくても自分でできた!」と、妻も喜んでいました😄

今回のDIYで得た知見は「板が硬ければ先に下穴を空けてからホールソーを使え」ということです。
みなさんもキッチン棚の区切り板に穴を空けたくなったときは、この記事を参考にしてみてください!

おまけ:妻が使っているトースター(小型オーブン)はこちら

ちなみに妻が使っているトースターはこちらです。

アイリスオーヤマ コンベクションオーブン 15L PFC-D15A-W

アイリスオーヤマ コンベクションオーブン 15L PFC-D15A-W

厳密にはトースター専用機ではなく、トースターとしても使える小型オーブンです。
妻はときどきこのオーブンを使ってパンやケーキを焼いています。

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先日妻が焼いてくれたシフォンケーキです

Rails 6リリース記念!?Qiitaにいろいろ記事を書きました

先日、Rails 6が正式にリリースされました。

だから、というわけでもないのですが、Rails関連の記事をいくつか書いてQiitaにアップしています。

Railsアプリのアップグレードの手順

1つ目はRailsアプリのアップグレード(バージョンアップ)の手順です。

永久保存版!?伊藤さん式・Railsアプリのアップグレード手順 - Qiita
qiita.com

これまでに何度もRailsアプリのアップグレード作業を繰り返してきた僕が編み出したベストプラクティス、いわば「秘伝のタレ」的なノウハウが詰め込まれております。
記事としてはやや長文です。

config.load_defaultsとnew_framework_defaults_x_x.rbの解説記事

2つ目はこれまたRailsアップグレード時に登場するconfig.load_defaultsとnew_framework_defaults_x_x.rbの解説記事です。

config.load_defaultsとnew_framework_defaults_x_x.rbの関係を詳しく調べてみた - Qiita
qiita.com

ぶっちゃけ、このあたりの設定はしっかり把握しておらず「なんとなく雰囲気で」使ってきてた感があったので、じっくり調べてその調査結果をまとめてみました。
Railsガイドを読んでもここまで詳しく説明されていないので、以前の僕みたいに「なんかようわからん」と思っている人は一読の価値があると思います。

Rails 6.0.0で発生する警告文に関する情報

3つ目はRails 6へアップグレードしている最中に発生した警告文に関する情報です。

Rails 6に上げると”DEPRECATION WARNING: Initialization autoloaded the constants ActionText::ContentHelper, and ActionText::TagHelper.”のような警告が出る - Qiita
qiita.com

Rails本体のissueなのでそのうち修正されるとは思いますが、僕がググったときは「これ!」という日本語記事が見つからなかったので、同じように困ってる人がすぐに見つけられるようにQiitaに書いておきました。


ためしに手持ちのRailsアプリをRails 6に上げてみました

Rails 6がリリースされたので、ためしに手持ちのRailsアプリをRails 6に上げてみました。
アップグレードしたのは妻のパン屋のWebサイトです。

coupe-baguette.com

外から見てもよくわからないと思いますが、いちおうRails 6 + Ruby 2.6 + Herokuで動作しています。

アップグレード時に発生したその他のトラブル

詳細な原因は追えていませんが、アップグレード時にはいくつかのトラブルが発生しました。
Rails 6になったせいなのか、Rails以外のgemを上げたせいなのか、はたまたHerokuのスタックをheroku-18に上げたせいなのか、どれが引き金になっているのかは僕もよくわかりません。

トラブル1:サーバーが起動しない

デプロイ直後に以下のエラーが出てサーバーが起動しなくなりました。

Errno::ENOENT: No such file or directory @ rb_sysopen - tmp/pids/server.pid 

Procfileにtmp/pidsディレクトリを作成するコマンドを追加したら動きました。

 release: bundle exec rake db:migrate
-web: bundle exec puma -C config/puma.rb 
+web: mkdir -p tmp/pids && bundle exec puma -C config/puma.rb
トラブル2:jsやcssが404エラーになる

サーバーは起動するようになりましたが、今度はjsやcssが軒並み404エラーになって「素のHTMLを表示しているだけ」の状態になってしまいました。

この件はRAILS_SERVE_STATIC_FILES=1という環境変数をHerokuに追加することで直りました。
(これでいいのか確信はありません・・・)

トラブル3:hamlの文字参照が文字にならない

全角チルダ(〜)をきれいに表示するために、~という文字参照をところどころで使っています。
ですが、この文字参照がそのまま~で表示される画面が出てきました。

ふつうに文字が表示されるよう、一度.html_safeしているのですが、ここではさらにもう一度.html_safeすることで修正できました。

 - menu_items.each do |img, name|
   - name = name.html_safe
   %figure
     = image_tag "menus/#{img}.jpg", alt: name
     %figcaption
-      %h2.text-shadow= name
+      %h2.text-shadow= name.html_safe

2019.8.20追記
この件はRails側の不具合だったようです。以下のpull requestで修正済みです。
(Rails 6.0.1のタイミングでリリースされるかな?)

Prevent TagBuilder modify options by tsuka · Pull Request #36981 · rails/rails · GitHub

情報提供してくれた、tkawaさん、tsukaさん、どうもありがとうございます!


その他、最近書いたQiita記事

ついでに、最近書いたその他のQiita記事も紹介しておきます。

統合テストはリクエストスペックに移行させよう、という話

【動画付き】Railsチュートリアルの統合テスト(integration test)は、RSpecのリクエストスペックに置き換えるのがラクです - Qiita
qiita.com

Rails標準の統合テスト(integration test)をRSpecに書き換えるなら、リクエストスペックがいいですよ〜、という解説記事です。
解説動画も作りました。


Railsチュートリアルの統合テスト(integration test)は、RSpecのリクエストスペックに置き換えるのがラクです

Cloud9上でフィーチャスペックを動かす方法

【2019年7月版・動画付き】Cloud9上でEveryday Railsの`js: true`付きのフィーチャスペックを実行する手順 - Qiita
qiita.com

Cloud9上でEveryday Railsのフィーチャスペックを動かす方法を解説した記事です。
こちらも動画付きです。


【2019年7月版】Cloud9上でEveryday Railsの`js: true`付きのフィーチャスペックを実行する手順

Cloud9、Chrome、ChromeDriverは、いずれもRubyから見ると外部リソースになるので情報をきれいに同期させるのが難しいですね。

strftimeじゃなくてlメソッドを使おう、という話

【初心者向け・動画付き】Railsで日時をフォーマットするときはstrftimeよりも、lメソッドを使おう - Qiita
qiita.com

最後に紹介するのは「お前ら、すぐにstrftimeに頼らず、l(える)メソッドを使っていこうぜ」という啓蒙記事です。
lメソッドはググラビリティが悪いせいか、どうもstrftimeの方がよく使われている気がします。
でも僕は使っていません。みなさん、日時フォーマットはDRYに書きましょう。

こちらもやはり動画付きです。

【初心者向け】Railsで日時をフォーマットするときはstrftimeよりも、lメソッドを使おう

別にYouTuberを目指しているわけではないのですが、「文章で書くより、画面を見せながら口で話した方が早くてわかりやすい」と思ったときは、先に動画を作って、その内容をQiitaとかに簡単にまとめるようにしています。

宣伝:何はともあれテスト!テスト!!Everyday Railsでお勉強しましょう

Railsのアップグレードには自動テストが必要不可欠です。
テストが苦手な人は「Everyday Rails - RSpecによるRailsテスト入門」を読んで、テストの自動化をマスターしましょう!
まだ読んだことがない方はぜひチェックしてみてください😄

Everyday Rails - RSpecによるRailsテスト入門
leanpub.com

Rubyプログラマが中学校で情報モラル講演会をしてきたよ

講演を依頼されたいきさつ

去年の情報モラル講演会は本当にひどかった

僕の地元の中学校では毎年、生徒向けの情報モラルの講演会を開催しています。
保護者も参加できるので去年は僕も出席したのですが、なかなかに ひどい内容 で、学校側に「あんな講演をする講師は来年から呼ばないでほしい」と申し入れをしました。
そのときのいきさつは以下のエントリにまとめてあります。

blog.jnito.com

今年は誰かな〜? → えっ、僕!?

で、「今年はいったい誰が講演するのかな〜?」と思っていたところ、中学校から突然電話が入り「今年は伊藤さんにお願いできないでしょうか?」とお願いされました。(しかも講演会予定日のわずか1か月前に!)

「えーっ、そんなの無理むりムリ!」と言いたいところだったのですが、去年書いた前述のエントリでも「エンジニアが情報教育を提供する側に回る」という改善案を僕は提示していました。

5. エンジニアが情報教育を提供する側に回る
 
ここまでは「他の講師に頼む」という前提で議論してきましたが、我々エンジニアが講師になったり、教材を作ったりする側に回る、という案も考えられなくはありません。
「文句を言うなら、お前がやれ」を自ら買って出るということも、やろうと思えばできるはずです。
 

【問題提起】篠原嘉一氏に情報教育の講演を依頼する前に考えていただきたいこと ~ITエンジニアから見た、情報教育のあり方について~ - give IT a try

ですので、「えーい、有言実行だ!」と腹をくくって引き受けることにしたのでした(うひゃー😅)。

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学校から配られたプリントに僕の名前がっ!

ちなみに僕はいちおう「e-ネットキャラバン認定講師」の資格は持っているので、「完全なド素人」というわけではありません。
(ですが去年資格を取ったばかりなので、まだ実際に講演したことはありません)

参考 ↓
blog.jnito.com

当日使用したスライド

というわけで、当日の講演会で使ったスライドがこちらです。
タイトルは『「怖い!危ない!」で終わらせない、 スマホ・インターネットとの付き合い方 』です。

スライドはこんな構成になっています。

  • 序論として「リスクとは何か」について語る
  • だまされるリスクを語る(偽のウイルス警告など)
  • SNSや動画投稿サイトのリスクを語る(炎上やSNSいじめなど)
  • スマホゲームのリスクを語る(高額課金など)
  • スマホ依存のリスクを語る
  • その他のリスクを語る(パスワード管理、有害サイト、利用規約等に関する話)
  • まとめ

ここから下では、この講演で僕が伝えたかった主なポイントを説明していきます。

この講演で伝えたかったこと

「スマホやSNSは怖い」だけでは終わらせない

去年の講演会がまさにそうだったのですが、世間ではむやみやたらに「スマホやSNSの怖さやリスク」を強調する講師がいます。
しかし、それでは根本的な解決にはならないと僕は考えています。

そもそも「リスク」とは何なのでしょうか?
「リスクがある = 危ない、怖い = 使うのをやめよう」と考えるのは必ずしも得策ではありません。

そこで僕は最初に「リスクとは何か」について語ることにしました。
僕が講演の中でしゃべった内容は以下のとおりです。

  • 「リスク = 必ず起きる = 怖い!」ではない
  • リスクは起きるかもしれないし、起きないかもしれない(世間では後者の性質が無視されがち)
  • リスクにはそれと引き換えに得られるメリットが必ずある
  • リスクを避けることは、メリットも一緒に捨てることになる
  • だから、リスクは避けるのではなく、うまく付き合うことが大事

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トラブルに遭遇したら大人に頼る(一人で解決しようとしない)

「リスクを避けるのではなく、リスクとうまく付き合え」と語ることはすなわち、「トラブルの発生をゼロにすることを諦める」と語ることに等しいです。
そこで、僕の講演では「小さな失敗は仕方がない。でも大きな失敗に発展する前に解決しよう」というスタンスを取っています。

小さな失敗を一人で解決しようとすると、傷口がどんどん広がって大きな失敗に発展しかねません。
ですので、生徒たちに対しては「何かトラブルに遭遇したら、一人で悩まずに保護者や先生に相談してほしい」と語りました。

また、子どもたちが安心して相談できるように、会場にいた保護者の方や先生方には「子どもの失敗を叱ったり、責めたりしないでほしい」と語りました。

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そうは言っても、「保護者や先生に相談するのは怖い、恥ずかしい」というケースもあると思います。
そういうときのために、公的な相談窓口があることも伝えました。

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リスクを語るときは、必ず予防策と対処法をセットで伝える

この講演ではさまざまなリスクを紹介しましたが、そのときに心がけたのは予防策と対処法をセットで伝えることです。

リスクは確率の問題です。
完全にゼロにすることはできなくても、事前に何かしらの対策をしておくことでその確率を下げることができます。

また、運悪くトラブルに遭遇してしまったときに「大変だ〜!どうしたらいいの??」と右往左往するのではなく、「次に取るべき行動」を予め知っておくことも重要です。

世間の情報モラル講演では「ほらほら、怖いよ、危ないよ!」と、生徒たちを脅すことに終始するものもあります。
しかし、子どもたちのことを本当に考えるのであれば、「その問題が発生する確率を下げるにはどうしたらいいか」「問題が起きたらどうしたらいいか」といったことも必ず伝える必要があると僕は考えます。

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2019.7.29 18:30追記
上記スライドの「対面で話合う」は、「テキストのみのやりとりで発生した友人とのいざこざや勘違いは、対面で話合えば解決するかもしれませんよ」という文脈で説明したものです。
見知らぬ人に会いに行って対面で話合いましょう、という説明ではないので念のため。

テクニカルな解決策(設定の変更等)は重視しない

情報モラル講演によっては「このアプリのここの設定を変えておけば、もう安心です!」と、「設定万能論」もしくは「設定免罪符説」のような話をする講師もいます。

もちろん、設定変更によってある程度リスクを避けられることもあります。
ですが、その方法も決して万能とは言えません。それは以下のような理由からです。

  • アプリの画面デザインは頻繁に変わるので、知識が陳腐化しやすい
  • 設定項目が追加されたり、新しいアプリが流行りだしたりしたら、その都度「その設定は有効にすべきかどうか」を指示する必要が出てくる。しかし、項目やアプリが増えるたびに同じ講師が指示を出しに来ることはまず不可能
  • 設定を変更すると、(避けられるリスクだけでなく)失われるメリットも絶対にあるはずだが、その点について語られることはほとんどない。講師の言うとおりに設定を変更した人は、本来得られるはずだったメリットを知らず知らずのうちに捨てていることになる

僕の講演ではトラブルの原因はテクノロジー(ネット関連の技術やアプリの設定等)にあるのではなく、それを使う人間によるものが大きいというスタンスを取っています。
なので、「SNSは鍵アカウントで使いましょう(いじめ写真を載せたりすると炎上するので)」と語るのではなく、「そもそも、いじめ自体がNGです」と語るようにしました。

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大人だって失敗したり、ちゃんとできてなかったりすることを伝える

こういう講演をすると、もしかすると中学生のみなさんにとっては変に「上から目線」に聞こえてしまう話も出てくるかもしれません。
しかし、「上から目線でむかつく」とか「大人だから、専門家だからできるんでしょ」とか思われるのは、教育上あまり効果的ではありません。

そこで僕はときどき、「いや、大人だってできないんですよ。僕も完璧じゃないんです」という話をいくつか盛り込むようにしました。

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講師の人(注:僕です)もスマホ依存気味・・・!?

また、スライドには書いていませんが、僕が数年前に詐欺サイトに引っかかりそうになったエピソードも、口頭で話したりしています。

blog.jnito.com

生徒さんたちの感想

講演後に中学校の生徒さんたち(対象者は中1〜中3の全校生徒)から感想文が届いたので、いくつかピックアップして紹介します。

今日講演会を聞いてインターネットのサイトを見たりするのはメリットやデメリットどちらもあることを知れました。私はデメリットだけを考えてとても気を付けて使っていました。でも、デメリットだけではなく、メリットがあることにも気づきました。なので、そのメリットを有効活用できるようにしたいです。(中1女子)

今日自分にとって、とても勉強になった講演会だった。実は最近ワンクリック詐欺にはまってしまったのだ。急に「会員登録できました」と変な画面になり、パニックになったけど、やっぱり一人でかかえこまず、相談できる人(家族など)に言うと助けてもらえた。そういうのは無視するのがいいと教えてもらったのが、この講演会と親の言葉が一緒だったので安心した。(中3男子)

今日はお忙しい中、情報教育講演会を行ってくださり、ありがとうございました。難しい話ではありましたが、危ない、怖いで終わらせず、そのようなことにあわないのが一番ですが、もしあった場合、そこで終わらせず、誰かに相談していこうと思います。(中3女子)

多くの生徒さんたちが「僕の伝えたかったこと」を感想文に書いてくれましたし、講演中も最後まで僕の話を熱心に聞いてくれていたように思います。
ですので、今回の講演は成功だったんじゃないかなと思います。

その他の裏話等

「経験がない&時間がない」で、かなり準備が大変だった

冒頭の「いきさつ」でも書いたとおり、今回は講演を依頼されてから講演の当日まで1ヶ月ぐらいしかありませんでした。
また、プログラミング系の登壇であれば数をこなしているのでそれなりに経験がありますが、こういった中学生向けの情報モラル講演は初めてでした。
そのため、講演内容を考えるのに非常に苦労しました。

最初はCSR(Corporate Social Responsibility = 企業の社会的責任)活動の一環として、有志の企業がネットで公開している資料を利用させてもらうことも検討しました。
ですが、やはり自分の頭で考えた内容でないと、説明に熱が入らないし、説得力も弱くなるなと思い、今回は自分でゼロからスライドを作成することにしました。

ただし、そのぶん急ピッチでスライドを作成することになり、「もしかして、これは自分の登壇経験上、過去最大のピンチでは?」と思うぐらいスケジュールに余裕がない登壇となりました。
いやー、危なかった〜💦

信頼が置ける専門家の方たちにレビューしてもらった

今回の講演は子どもたちの「教育」の側面があるため、僕の独断で変な内容を教えてしまうと、かえって子どもたちに良くない知識を与えてしまうことになりかねません。
そこで、スライドが8割方できた段階で、以前からお付き合いがあって信頼の置ける専門家の方々に内容をレビューしてもらいました。

すると、「伊藤さん、ここはちょっと・・・」という指摘事項がたくさん上がり、講演の数日前に大急ぎでまたスライドを修正しなければなりませんでした😅
いや、でもどれも的確かつ有益なフィードバックだったので大変ありがたかったです。

スライドをレビューしてくださった、@hanazukinさんと@ohesotoriさん、どうもありがとうございました!

生まれて初めて「いらすとや」さんを利用させてもらった

上記のレビューで一番インパクトが大きかったのが、「中学生は文字が多いと話が頭に入りにくいので、イラストを利用して情報を可視化した方がいいですよ」というフィードバックです。

このフィードバックを受けて、僕はたとえばこんなふうにスライドを修正しました。

修正前
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修正後
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そこで活躍したのが「いらすとや」さんのイラストです。

僕は今まで「みんな使ってて似たようなスライドになるからイヤ!」という理由で、「いらすとや」さんを避けてきました。
ですが、さすがに今回は登壇まで時間がなく、「いらすとや」さん以外で無料で利用できるイラスト素材を探してくるのは無理そうだったので、生まれて初めて「いらすとや」さんを解禁しました。

いやあ、「いらすとや」さんのサイトでキーワード検索したら、求めていたイラストがすぐ出てきますね。すごい!すばらしい!
「いらすとや」さん、このたびはどうもお世話になりました🙏

参考文献

この講演ではスライドや講演内容の作成にあたり、以下の書籍や資料を参考にさせていただきました。

書籍

熊とワルツを - リスクを愉しむプロジェクト管理

熊とワルツを - リスクを愉しむプロジェクト管理

スライド等

まとめ:ITエンジニアのみなさんに考えていただきたいこと

というわけで、今回は先日僕が地元の中学校で実施した情報モラル講演会の話を書いてみました。
情報モラル講演の講師もピンキリで、僕らのようなIT技術者から見て「うんうん、そのとおり」と思う話をする人と、「おいおい、ちょっと待て!!」と思うような話をする人がいます。

去年のブログにも書きましたが、「専門家って名乗ってるぐらいだから、きっと大丈夫だろう」と高をくくっていると、自分の子どもがトンデモな内容を教えられているかもしれません。

ITエンジニアのみなさんは、情報モラル講演を学校任せにせず、機会があればぜひご自身も講演会に足を運んで講演内容をチェックしてみてください。
そして可能であれば、ぜひみなさん自身も子どもたちの前で講演する側に回ってみてください。

あわせて読んで考えていただきたい

このブログの冒頭でも書いたとおり、去年、息子の中学校にやってきたNIT情報技術推進ネットワーク株式会社の篠原嘉一(しのはらかいち)氏の講演は、僕のようなITエンジニアから見ると、とてもひどい内容になっていました。
具体的な内容は以下のエントリに詳しく書いています。
長文ですが、まだ読まれていない方は一度ご覧になってみてください。

blog.jnito.com