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Zennで「Rubyの公式リファレンスが読めるようになる本」という無料の本を書きました

お知らせ

Zennの書籍作成機能を使って、「Rubyの公式リファレンスが読めるようになる本」という本を書きました。この本は無料で提供しています。

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zenn.dev

どんな本なの?

その名のとおり、Ruby初心者のみなさんにRubyの公式リファレンスが読めるようになってもらうための本です。

以下は本書の内容紹介からの抜粋です。

つよつよエンジニアからは「ネットの技術記事より公式リファレンスを読め!」って言われるけど、公式リファレンスを見ても変な記号や英語がたくさん出てきて全然意味がわからない・・・という初心者Rubyプログラマのみなさんに向けて、公式リファレンスの読み方を丁寧に解説します。

本書を執筆した背景

僕はフィヨルドブートキャンプでメンターをやっています。受講生のみなさんには「ネットの記事よりもちゃんと公式リファレンスを読もうね」という指摘をよくしてきました。ですが、公式リファレンスを読まない受講生のみなさんにくわしく話を聞いてみると 「公式リファレンスを読めと言われても、そもそも読み方がわからない。リファレンスで使われている記号の意味がわからない。だからネットの記事を読んでいるんです」 というような回答が返ってきました。

なるほど、そういうことか!!

僕ら熟練者からしてみると、「知りたい話は全部公式リファレンスに載ってるやん」と思っても、初心者の方は僕らと同じ感覚でリファレンスを読み解けないわけです。たとえば、length -> Integerという説明がリファレンスに載っていても、初心者の人は「->って何?Integerって何??」ってなってしまうんです。

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上級者にとっては当たり前のことも、初心者はちんぷんかんぷん

というわけで、こういう問題点をフィヨルドブートキャンプのメンター内で話し合い、「リファレンスの読み方を丁寧に教える教材が欲しいね」ということになりました。

もちろん、ご存じの方も多いかもしれませんが、Rubyの公式リファレンス内にもヘルプページはあります。

docs.ruby-lang.org

ですが、まだプログラミング知識の浅い人たちには少し淡泊すぎる内容なので、僕が改めて詳しく説明してみることにしました。そして完成したのが本書です。想定している読者はフィヨルドブートキャンプの受講生ですが、内容自体は汎用的なので、無料の本としてZennで一般公開することにしました。

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スクショを豊富に交えながら丁寧に解説しています

本書のライセンスはCC BY 3.0です

本書のライセンスはRuby公式リファレンスに合わせて、CC BY 3.0にしてあります。

creativecommons.org

ライセンスに従えば、商用利用も可能です。なので、フィヨルドブートキャンプ以外のプログラミングスクールで使ってもらっても全然OKです!

なんでZennなの?(Qiitaじゃないの?)

実は最初はQiitaで公開しようと思ってたんですが、思いのほか長くなったため「本の体裁を取った方が読みやすいな」と思い、書籍作成機能が提供されているZennを使うことにしました。

ちなみに、Zennで本を書いたのは初めてだったんですが、GitHubと連携して原稿をGitHubで管理できることにビックリしました。

  • 使い慣れたエディタ(僕の場合はVim)でMarkdownの原稿を書く
  • 専用のCLIツールをインストールして、ローカルで原稿をプレビュー
  • GitHubに原稿をpushするとネット上の本も自動的にアップデート

という手順で本が作成されるのはとても新鮮なユーザー体験でした。これはなかなか良い!

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ローカルで原稿をプレビューする様子

何か気になる点があればGitHubのissueかプルリクをどうぞ!

そうそう、原稿はGitHub上で公開されているので、誤字脱字を見つけたり、文面の改善案を送りたくなったりしたときはissueやプルリクエストを投げてもらったらOKです👌

github.com

表紙デザインは株式会社フィヨルドの町田さん

せっかく本の体裁にしたので、ちょっとカッコいい表紙が欲しいなと思い、株式会社フィヨルドの町田さん(@machida)にデザインをお願いしてみました。

おかげで素敵な表紙ができあがりました。町田さん、どうもありがとうございます!!

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まとめ

というわけで、このエントリではZennで「Rubyの公式リファレンスが読めるようになる本」という無料の本を出したよ、という話を書いてみました。「公式リファレンスが読みたくても読めないんです(だって、難しいから……)」という人はぜひ本書を読んでみてみてください!

zenn.dev

次回予告「実はもうひとつあるんだ」

ところで、実はもうひとつRuby関連のお知らせがあります。次のエントリではそのお知らせを書く予定です。ちょっとしたビッグニュースなので、乞うご期待!(気になる人はぜひ本ブログの読者登録を!)

【書評】入門書は卒業したあなたに!"Polished Ruby Programming"を読みました

はじめに

最近発売されたRubyの洋書「Polished Ruby Programming」を読みました。
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このエントリでは本書を読んだ感想を簡単にまとめてみます。

本書の感想

本書の著者はRubyコミッタとして有名なJeremy Evansさんです。

前書きにも明記されていますが、本書はRubyの中級者から上級者をターゲットにした本です。日本ではどうしてもRubyの本は初心者向けの本が多くなりますが(何を隠そう、僕もそういう本の著者の一人😅)、こういう「骨のある技術書」が出てくるのは非常に貴重だな、というのが第一印象です。

表面的なテクニックをなぞるのではなく、プログラムをどう設計すべきか、その設計にどういった良し悪しがあるか、といった点についても深く議論されています。そのため、サンプルコードだけでなく、英文もそれなりに書かれているのですが、使われている英語は比較的平易で、辞書無しでぱーっと読み進めてもだいたい内容がつかめました。ライブラリのREADMEを理解できる英語力があれば、本書を読むのもたぶん難しくないと思います。

各章の見出し

ざっくりどんな本なのかを把握できるように、見出しを簡単に訳してみます。

  • 第1部「基本的なRubyプログラミングの原則」
    • 標準クラス(コアクラス)を最大限に活用する
    • 便利な独自クラスを設計する
    • 変数の適切な使い方について
    • メソッドと引数について
    • エラー処理について
    • 可読性の高いコードフォーマットについて
  • 第2部「Rubyにおけるライブラリプログラミングの原則」
    • ライブラリを設計する
    • 拡張しやすいライブラリを設計する
    • メタプログラミングの使いどころについて
    • 便利なDSLを設計する
    • テストを書いてコードを検証する
    • 適切な変更(リファクタリングや機能の削除)について
    • よく使われるデザインパターンを適用する
    • ライブラリを最適化(高速化)する
  • 第3部「RubyにおけるWebプログラミングの原則」
    • 鍵を握るのはデータベース
    • Webアプリケーションの設計原則
    • セキュリティ的に堅牢なWebアプリケーションについて

この見出しを眺めるだけでも、巷でよく見かけるRubyの入門書とはひと味違うことが伝わるのではないでしょうか。

おまけ:個人的にびっくりしたところ

サンプルコードにalbum_infosという変数名が出てきていました。"information"は不可算名詞なので、"informations"や"infos"のように複数形にはしないもの、と思っていたのですが、こう書いちゃうのもありなのか!へえ〜!と思ったのが個人的なハイライトでした(笑)。

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まとめ

というわけで、今回は最近購入したRubyの技術書「Polished Ruby Programming」の簡単な書評を書いてみました。

「Rubyの本って入門書ばかりでつまんないんだよな〜」と思っている中級者・上級者のあなた!本書はもしかすると「そうそう、こういう本が読みたかったんだよ!」と思える一冊かもしれません。読み応えのあるRubyの技術書を探し求めている方はぜひ本書をチェックしてみてください。

と、言いつつ宣伝w

「最近Rubyを始めたばかり」という人や、自分のことを「初心者以上中級者未満かな」と思っている方は、拙著「プロを目指す人のためのRuby入門」(通称チェリー本)もよろしくお願いします🙏

Archtop Tribute AT105Mっていうジャズギター(フルアコ)を買いました

性懲りもなく、また新しいギターを買ってしまいました。
Archtop TributeのAT105Mというモデルです。

Archtop Tribute AT105M

もともと狙ってたわけではなくて、楽器屋さんで試奏したら予想以上に良いギターだったので、ほとんど衝動買いしてしまいました😅
正確には「いいジャズギターが欲しいな〜」とは以前から思っていて、「何かいいギターがあれば手に入れたい」とは思っていたものの、このモデルはまったくの候補外でした。

AT105Mとの出会い

ところで、僕はちょっと前までD'AquistoのDQ-NYE-Wというジャズギターを持っていました。
これも素晴らしいギターだったのですが、17インチのボディが大きすぎてちょっと弾きづらく、だんだんと手に取る機会が減ったので手放してしまいました。

以前所有していたD'Aquisto DQ-NYE-W

でも、また「ジャズギターがやりたい〜!」という衝動に駆られ、「もう少しボディが小さくて弾きやすいジャズギター」を探していました。
ネットでたまに「お、これはいいかも」と思うジャズギター(いわゆるフルアコ)を見つけては、楽器屋さんに試奏に行くんですが、なかなかピンと来るやつがありません。

その日も30万ぐらいするギブソンのES-175やES-125を楽器屋さんで試奏したんですが、弾き心地といい、音色といい、「うーん、これに30万出すのはなんか違うな〜」という感想でした。

「じゃあ別の楽器屋さんに行こうかな」と思ってふと店頭のレジ付近を見てみると、まだ値札の付いてない、ディスプレイ待ちとおぼしきギターが何本か並べられています。
その中の一本がAT105Mでした。

店員さんに「これ、試奏できますか?」って聞いたら「ええ、いいですよ」と二つ返事でOKをもらいました。
で、試奏してみたらめっちゃ良かったので、その場で「買います!!」って言って買ってしまいました😅

Archtop Tribute AT105Mのいいところ

このギターのどこがそんなにいいのか、という話を以下に書いてみます。

その1:弾きやすい!

なぜかよくわからないけど、めちゃくちゃ弾きやすいです。
弦高はローフレットからハイフレットまでちょうどいい高さですごく押さえやすいし、どこを押さえてもビビらない。
弦のテンションも固すぎず、柔らかすぎずでちょうどいい張り具合。
ネックの太さも太すぎ細すぎず、厚すぎず薄すぎず、ちょうどいい握り心地。
よって、コードを押さえても、単音で押さえても全然ストレスが溜まりません。

さらに、AT105Mは16インチボディの薄胴モデルなので、一般的なジャズギターに比べてとても抱き心地が良いです。
これならD'Aquistoのときのように「大きすぎて手に取る機会が減る」なんてことも起きなさそうです。

AT105Mの"M"は薄胴モデルを表す型番です
その2:音がいい!

また、音色も「これぞジャズギター!」という音がします。
30万のギブソンを弾いても、「うーん、なんかイメージと違うような??」という感想だったのですが、AT105Mを鳴らしてみると、「そうそう、これこれ!この音!!」と思いました。

また、アンプを鳴らさない生音で弾いても、僕が持ってるレスポールやES-335(セミアコ)とはまた違う、ほどよい温かみを感じる音がします。

その3:コストパフォーマンスがすごい!

そして素晴らしいのがその価格。店員さんに聞いたら税込みで10万円台でした。
30万超えのギブソンが「これで30万か。うーん……」という感想だったのに比べれば、このクオリティで10万円台は驚異的です。
もちろん、10万円超えの買い物は決して安いわけではないですが、30万越えを覚悟しなければいけない本家ギブソンに比べれば、半分以下の値段です。

Archtop Tributeというメーカーは名前だけは知っていて、「値段の割にハイクオリティ」という噂を聞いていたのですが、本当に噂通り、というか想像以上のコストパフォーマンスでした!

Archtop Tribute AT105Mの残念なところ

どれも全然大きな問題ではないのですが、あえて残念なところも挙げておきましょう。

その1:コピーモデルなのでブランド品としての価値は期待できない

ギターに詳しい人ならわかると思いますが、このAT105MというギターはギブソンのES-175という有名なジャズギターのコピーモデルです。
「俺はギブソンのES-175を持ってるんだ〜!」という所有欲を満たしたい人は、本家ギブソンのES-175を買うしかありません。

その2:見た目の威厳やオーラは希薄

弾きやすさや音の良さは前述の通り抜群なのですが、ルックスは値段相応な感じがします。
もちろん特別安っぽいわけではなく、必要十分なクオリティではあるのですが、僕が持っているギブソンのギターに比べると、威厳やオーラのようなものは感じづらいです。

あと、欲を言えばナチュラルカラーよりもサンバーストカラーだったらもっと嬉しかったのになー、という気持ちもあります。(僕は中古で買ったのでカラーは選べませんでした)

ちなみに下の写真が本家ギブソンのES-175です。
Gibson 1959 VOS ES-175

その3:実物を目にしづらい

Archtop Tributeは東京渋谷にある「ウォーキン」というギター屋さんのオリジナルブランドです。
新品はこのお店でしか買えません(たぶん)。
中古であれば他のお店でも買えますが、ネットを見る限りあまり数は多くないようです。
というわけで、僕が「このギター、いいですよ!!」って言っても東京近辺の人以外はなかなか目にする機会がないのが少し残念なところです。

逆を言えば、大阪の楽器屋さんで中古を手にすることができた僕はめちゃくちゃラッキーだった、とも言えます。

まとめ

というわけで今回は先日購入したArchtop TributeのAT105Mというギターを紹介してみました。
長年ジャズギターをやってきてるような人だと、もっと高価なジャズギターを手に取るのかもしれませんが、僕のような「ジャズギター初心者」にとっては、ちょうどいい、というかめちゃくちゃコスパのいい、ジャズギターですね。
このギターのおかげでジャズギターを練習するモチベーションが爆上がりしました。

これからジャズギターをやってみようかな、という人はぜひこのギターを弾いてみてください!

左からGibson ES-335、Archtop Tribute AT105M、Gibson Custom Shop Historic Collection 1960 Les Paul Reissue Tom Murphy Aged
おまけ:僕が持ってるジャズギターの教本

買ってみたものの一部のページしか練習できてないので、またちゃんとやらないと・・・!!