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【書評】SOFT SKILLS 第2版も、やはり全ITエンジニア必読の1冊だった

日経BP社さんから「SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル 第2版」をご恵贈いただきました。
日経BP社さん、どうもありがとうございます!

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左が第1版で、右が第2版です

上の写真にもあるとおり、僕は第1版を持っていて、過去にこんな書評ブログを書いたことがあります。

blog.jnito.com

約6年ぶりにSOFT SKILLSを読み直してみたので、このエントリではその感想を書いてみようと思います。

劇的に変わったわけではないが、熟成が進んだように思われる第2版

僕のように第1版を持っている人は、第2版ではどこが変わったのか気になる人も多いかもしれません。

まず、章の数は第1版の全71章だったのが、第2版では全74章に増えています。
ただし、第2版では第1版にあった付録A〜Dがカットされています。
ページ数は第1版が455ページで、第2版が473ページです。少しだけページ数が増えていますが、本の厚みはほぼ同じです。

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第1版の内容を全部暗記しているわけではないので、どこがどう変わったのか細かく把握できたわけではないのですが、「第22章 YouTubeによるブランド構築」など、ところどころに「これは第1版には載ってなかったよな」という項目を見つけることができました。

一見同じように見えても、実は細かなブラッシュアップが図られているっぽい

ちなみに、目次のdiffを取ってみるとこんなふうになりました。

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左が第1版で、右が第2版です

ご覧のとおり、まったく同じ見出しはほとんどありません!

でも、よ〜く見ると第1版と第2版も実はほぼ同じことを言ってるものも多いです。

  • 第4章 社交術:考えている以上のものが必要だ(第1版)
  • 第4章 社交スキルを鍛える(第2版)

第2版の「訳者あとがき」では以下のように書いてありました。

原型のある各章でも、多くはかなり書き替えられており、著者が新しく本を書くのと同じぐらいの力を注いで改訂版を作ったことが感じられました。

なので、一見同じように見えても、細部を見ると実はいろんな部分がブラッシュアップされているものと思われます。
目次の見出しの大半が何かしら変更されていることからも、その改善具合がうかがわれますね。

そして、相変わらずSOFT SKILLSは良い本だった

第1版が出たのが2016年なので、最近ITエンジニアになったみなさん(もしくはITエンジニアになりたいと思っているみなさん)はまだ本書を読んだことがない、という人も多いかもしれません。

SOFT SKILLSを一度も読んだことがない人は、ぜひこの第2版を買って読んでみることをお勧めします。

6年ぶりに読み直してみましたが、「うんうん、そのとおりだわ」「せやな、せやな」と心の中で何度も相づちを打ってしまいました。本書に書いてある大半の内容は6年経ってもうなずけるものばかりです。それだけでなく、むしろ6年経って「いや、ほんまにそうやわ」と第1版を読んだとき以上に強く同意する部分も多かったです。

具体的にどのへんが?と言われると、「第1部から第4部までの内容ほぼ全部」という答えになります。第1部から第4部までのテーマは以下のとおりです。

  • 第1部 キャリア
  • 第2部 セルフマーケティング
  • 第3部 学習
  • 第4部 生産性

自分のキャリアをどう捉えるかということは基本中の基本だし、何かしら自分を売り込んでいくことも大事だし、エンジニアなんて死ぬまで学び続けてなんぼの世界だし、自分の生産性を上げるために自分自身をハックするスキルも必要不可欠だし、どのトピックもプロのプログラマ・ITエンジニアとしてこの業界で生きていくのであれば、避けては通れない話題がてんこ盛りです。

それでいてほとんどの内容が僕の経験と照らし合わせても「うんうん、そうそう」と思うものばかりなので、僕の言いたいことはだいたいSOFT SKILLSに書いてあると言っても過言ではないかもしれません。

たとえば、第46章は「分解は生産性を上げる」というテーマで筆者の考えが述べられていますが、大きなタスクを小さく分解することの重要性については僕も以下の記事でほぼ同じことを書いています。

qiita.com

そして、第5部以降はやはり「そういう考え方もあるよね」という内容だった

第1版を読んだときも同じような感想を抱いたのですが、本書は第5部に入ると急に毛色が変わります。第5部から第7部のテーマは以下のとおりです。

  • 第5部 資産形成
  • 第6部 フィットネス
  • 第7部 マインドセット

第7部の「マインドセット」はメンタル面の話なのでまだソフトウェア開発者と関わりがありそうですが、「資産形成(不動産投資の話がメイン)」と「フィットネス(主に筋トレの話題。それもかなりディープなやつ)」については、第1版を読んだときと同様、「それ、この本でそこまで詳しく書く必要がある?」という違和感を覚えました。

なぜ違和感を覚えたのかというと、ソフトウェア開発者に特化した話題ではないからです。書いてある内容は自体は「へえ〜、なるほど」と興味深く読めるのですが、そこだけ抜き出すとソフトウェア開発者以外の人が読んでも違和感のない内容になっています。そこに僕は違和感を覚えました。

本書の対象読者は「ソフトウェア開発者」なので、「ソフトウェア開発者ならでは」のトピックに終始してほしかったかな、という思いがあります。

ただ、筆者のジョン・ソンメズ氏としては不動産投資や筋トレで人生が変わった、ということが筆者自身の成功体験と強く結びついているようなので、本書を執筆する上でこの話題を避けて通れなかったのでしょう。

でもソフトウェア開発者向けの本なのだから、不動産投資ではなく「私は自分が書いたコードのおかげでアーリーリタイアできました。その方法をみなさんにも伝授します」という内容であれば100点満点だったのにな〜と思います。

とはいえ、筆者の考え方も嫌いではない

不動産投資の話は「ITエンジニア向けの本でそこまで詳しく語るべきか?」という点では違和感を覚えるものの、「そりゃ何かしらの不労所得はあった方がいいよね」という点では個人的に同意します。

本書にも何度か出てくる「金持ち父さん 貧乏父さん」の考え方も僕は昔から結構好きです。

まあ、だからといって僕が今日から不動産投資を始めるわけではないんですが・・・。

僕の疑問:不動産投資はノーリスクなん?🤔

ちなみに本書では首尾一貫して「不動産は一度購入すれば、そこから永遠に家賃収入が転がり込んでくる」というスタンスで書かれているのですが、空き家(空き部屋?)になって家賃収入が途絶えるリスクは考慮してないんだろうか?というのがちょっと気になりました。

そのリスクについて本書のどこかで説明があることを期待しながら読み進めたのですが、結局最後まで「不動産投資は無敵!インフレが起きても心配無用!!」みたいな話で終わってしまいました。

不動産投資にも何かしらのリスクは絶対あると思うんだけどなあ。アメリカは日本と事情が違うのかな?

まとめ:後半はともかく、第4部までの内容がマストなのは間違いなし!

後半は若干ネガティブな話を書いてしまいましたが、第5部から第7部の内容がまったく役に立たないわけではありません。読み物として「へ〜、なるほど」と思いながら読むぶんには面白いですし、人によっては「よし、自分もちょっとトライしてみよう」と思う人もいるかもしれません。(そして、筆者のジョン・ソンメズ氏と同じように大成功するかもしれません!)

後半部分の僕の評価がなんであれ、ITエンジニアのみなさんは本書の第1部から第4部をしっかり読むべきです。このパートは読む価値が非常に高いです。

ITエンジニアのみなさんにとって参考になる考え方やTipsがたくさん載っているので、ぜひ本書を手に取って読んでみてください!

あわせて読みたい

冒頭でも紹介した本書の第1版の書評です。全体的な感想は第1版と大きく変わっていないので、SOFT SKILLSに興味がある人はこちらのエントリも読んでみてください。

blog.jnito.com

「第2版を書く」といえば、僕が執筆した「プロを目指す人のためのRuby入門」も第2版が出版されています。
「第2版つながり」ということで拙著についてもみなさんよろしくお願いします!

「プロを目指す人のためのRuby入門 改訂2版」のアップデート内容については以下のエントリで詳しく紹介しているので、こちらもあわせてどうぞ。

blog.jnito.com

プチネット断食しています

最近、見るのもつらいニュースが次々と目に飛び込んできて平常心が保てなくなりそうな気がしてきたので、一部のサイト・サービスにアクセスするのをやめました。
具体的には以下のようなサイトです。

  • Twitter
  • はてなブックマーク
  • Yahoo!
  • 新聞社のニュースサイト等

Chromeはブックマークバーからブックマークを削除し、iPhoneはアプリアイコンを奥の方のページへ移動させました。

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一方、以下のサービスは今のところつらいニュースをあまり見かけないのでアクセス可、としています。

  • Facebook
  • Instagram
  • YouTube

たまにそれっぽい情報を見かけたときは急いで画面スクロールしたりしていますが。

プチネット断食をやってみた感想

プチネット断食を始めて1週間ぐらい経ちました。
意図的に情報を遮断しているので、以前に比べると平常心を保ちやすくなりました。
ただ、つらい情報だけでなく、有益な情報も一緒に遮断せざる得なくなるので、諸刃の剣みたいなところもあります。

断食前は「ちょっとでも暇があればタイムラインをチェック」みたいな生活をしていたので、無意識にTwitterやはてなブックマークをタップ or クリックしそうになるときがありますが、リンクやアイコンを隠しているので、うっかり開いてしまうことはありません。
たまにTwitterのタイムラインを読みたいな〜と思うこともありますが、トレンドや他の人のツイートでつらい情報を目にするリスクがあるので我慢しています。

というわけで、僕がツイートする頻度はしばらく減ると思いますが、いちおう生きてますのでご心配なく。
あ〜、早く平和な世界が戻ってこないかなあ。。

電脳会議 Vol.212に「他の言語経験者がRubyを使い始めると驚くこと」という記事を寄稿しました

お知らせ

技術評論社さんで定期的に発行されている冊子「電脳会議」のVol.212に「他の言語経験者がRubyを使い始めると驚くこと」という記事を寄稿しました。

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「電脳会議」は無料で提供されているので、こちらからPDF版もしくはWeb版を読むことができます。

gihyo.jp

gihyo.jp

何が書いてあるの?

プログラミング経験はあるが、Rubyは使ったことがない、もしくはしばらくRubyをチェックしていない、という人向けに、Rubyの特徴的な言語仕様や最新の言語機能を紹介する記事です。といっても、PDF 2ページ分しかないので、非常にあっさりとした軽い読み物になっています。

対象読者は他言語経験者ですが、「Rubyしか使ったことがない」という新人プログラマさんが読んでも、「なるほど、これはRuby特有の機能だったのか〜」という新鮮な驚きがあるかもしれません。

ちなみに、熟練者の人が読むと「その機能はRubyで初めて実装されたんじゃなく、○○という言語の影響を受けてRubyに取り込まれたもんだろ!」みたいなツッコミがあるかもしれませんが、あくまで軽いコラムなのでそのへんは大目に見てやってください😅

まとめ:もっと詳しく知りたい方は「プロを目指す人のためのRuby入門 改訂2版」をどうぞ!

というわけで、今回のエントリでは電脳会議 Vol.212に「他の言語経験者がRubyを使い始めると驚くこと」という記事を寄稿しました、という話を書いてみました。

寄稿記事の方にも書いていますが、「⁠Rubyがどんな言語なのかもっと詳しく知りたい」という方や、「⁠最近のRubyの進化が気になる」という方は、拙著「プロを目指す人のためのRuby入門 改訂2版(通称・チェリー本)」に詳しい説明が書いてあるので、ぜひこちらをチェックしてみてください!(番宣)

チェリー本がどんな本なのかはこちらのエントリで紹介しています。こちらもあわせてどうぞ。
blog.jnito.com