僕が翻訳しているRSpecの入門書「Everyday Rails - RSpecによるRailsテスト入門」は2014年2月に発売されました。
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そう、発売からちょうど10年が経ったのです。
いつの間にか10年!僕も全然気付いていませんでした!!
おかげさまで本書は何度となくアップデートを重ねつつ、RSpecの定番の入門書としてたくさんの人に読んでいただいています。
現時点での読者数はのべ6800人以上です。ご購入してくださったみなさん、本当にどうもありがとうございます!
これまでの歴史
どういう流れで本書が翻訳され、現在に至ったのかを簡単にふりかえってみましょう。
- 2012年5月
- 原著「Everyday Rails Testing with RSpec」がLeanpubで発売
- 2013年10月
- 僕が原著を読み、その感想をブログに投稿
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- 2013年12月
- 原著者のAaronさんに許可をいただき、Aki(秋元利春)さん、魚振江さんと一緒に翻訳プロジェクトを開始
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- 2014年2月
- 日本語版「Everyday Rails - RSpecによるRailsテスト入門」をLeanpubで発売。当時のサポートバージョンはRSpec 2.14、Rails 4.0、Ruby 2.0
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- 2014年10月
- RSpec 3.1とRails 4.1に対応したメジャーアップデート版を公開
- 2018年2月
- RSpec 3.6とRails 5.1に対応したメジャーアップデート版を公開
- 2022年1月
- 日本語版独自のアップデートを実施。Rails 7.0、RSpec Rails 5.0、Ruby 3.1に対応。またこのアップデートを機に翻訳者を3人体制から僕一人に変更
- 2024年1月
- 再び日本語版独自のアップデートを実施。Rails 7.1、RSpec Rails 6.1、Ruby 3.3に対応
- 2024年2月
- 祝・日本語版発売から10年!🎉
コラム:翻訳しようと思った「ウラの」きっかけ
僕がこの本を翻訳しようと思ったのは、原著を読んで「これはRSpecを学ぶのにとてもいい本だ」と思ったからです。
それまでは僕も「RSpecわからん!難しい!!」と思っていたRails初心者の一人だったのですが、この本を読んでからは苦手意識がぐんと減りました。
が、実はもう一つしょうもない理由があったりします。
それは「新しいキーボードを買ったから」です(笑)。
当時、RealForce 87UBというキーボードを買った直後で気分がハイになっており、「このキーボードを使って何か文章を打ち込みまくりたい!!」と思い、「本を書けばめちゃくちゃキーボードを打てるのでは?」と思いついたのが翻訳を開始したもうひとつの理由です😅
いやあ、何事も勢いって大事ですね〜。あははは。
本書を発売してから変わったこと
本書を発売して、というか、本書を翻訳することでRSpecの使い方にかなり詳しくなりました。
それまでは「RSpec苦手マン」でしたが、一気に「会社の中で一番RSpecに詳しい人」の地位を確立できたんじゃないかと思います。
また、ブログやQiitaの中でもRSpecに関する話題を頻繁に投稿するようになり、おそらく「RSpecのことを検索したら誰もが一度は見たことのある人」になってるんじゃないかと思います(自分で言うのも何ですがw)。
その中でも特に、2014年10月にQiitaに書いた「使えるRSpec入門」シリーズは今でもたくさんの人に読んでもらっています。
qiita.com
訳書とはいえ、本を一冊自分で作るというのは自分の中でも大きな経験になっていて、この経験は拙著「プロを目指す人のためのRuby入門」を執筆するのにも役立ちました。
そして、2024年は原著にも動きが!?
実は原著の「Everyday Rails Testing with RSpec」は2017年からほとんどアップデートがありません。
そのため、原著者のAaronさんと交渉し、日本語版は原著からフォークして独自にアップデートさせてもらうようになりました。
よって、2022年1月以降のアップデートはすべて日本語版独自のものです。
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ところが先日、Aaronさんから「こっちもそろそろアップデートを始めるよ」というメールが届きました!
Aaronさんのブログでも2024年版「Everyday Rails Testing with RSpec」のアップデート計画が公開されています。
everydayrails.com
まだ細かい内容はわかりませんが、Rails 7.1とRuby 3.3をサポートすることや、原著の購入者は無料でアップデート版を入手できることなどが書かれています。
日本語版独自のアップデートは「やむを得ず」の対応だったので、原著がアップデートされれば日本語版もまた原著に追従しようと考えています。
コラム:「Everyday Rails - RSpecによるRailsテスト入門」を「Everyday Rails」と訳すのは間違い?
「Everyday Rails - RSpecによるRailsテスト入門」の原著は「Everyday Rails Testing with RSpec」というタイトルです。
この中にある「Everyday Rails」というのは原著者のAaronさんが管理しているブログサイトの名前です。
everydayrails.com
もともと「Everyday Rails」というブログサイトがあり、その中で書かれたRSpec関連の記事をベースにして「Everyday Rails Testing with RSpec」が出版されました。
ですので本当は、
- Everyday Rails = ブログサイトの名前
- Everyday Rails Testing with RSpec = 電子書籍のタイトル
と使い分けるのが正解です。
電子書籍である「Everyday Rails Testing with RSpec」や「Everyday Rails - RSpecによるRailsテスト入門」を「Everyday Rails」と略してしまうと、ブログサイトの名前とごっちゃになってしまいます。
「WikipediaをWikiと訳すな」という話と同じですね。
僕もSNSなどではときどき「Everyday Rails - RSpecによるRailsテスト入門」を「Everyday Rails」と略すときがありますが、著者のAaronさんは正しく使い分けてほしいと考えているようなので、「それ、本当は間違いなんだよ」という話をここで書いておきます。
まとめ
というわけで、このエントリでは日本語版「Everyday Rails - RSpecによるRailsテスト入門」が発売10周年を迎えました、という話を書いてみました。
僕自身は引き続き本書のサポートを続けていくつもりですし、今年は原著のアップデートも期待できるので、本書はこれからもまだまだ動きがありそうです。
原著者のAaronさんの姿勢をリスペクトして、日本語版「Everyday Rails - RSpecによるRailsテスト入門」も引き続きアップデート版は無料で入手できるようにし続けます。
すでに多くのRails開発者のみなさんが本書を手にされていると思いますが、最近RailsやRSpecの勉強を始めた人や、興味はあるけどまだ購入されていない方がいたら、ぜひ本書を手に取ってみてください。
本書をお持ちの方も周りの開発者の方々やSNS等で本書をお勧めしてもらえるとありがたいです。
みなさん、今後とも「Everyday Rails - RSpecによるRailsテスト入門」をよろしくお願いします!
Everyday Rails - RSpecによるRailsテスト入門 - Leanpub