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幸せな仕事の3つの条件

僕は自分の父親が嫌いではないし、今も普通に良好な関係を保っています。小さい頃はたくさん遊んでもらいました。
でもその昔、ひとつだけ悪い意味で僕の記憶に強く残っている言葉があります。


「お父さんは仕事を楽しいと思ったことなんて、一度もないわー」


あれを聞いたのは中学生のときだったかな。
父は銀行に勤める普通のサラリーマンで、特別お金に困るような生活をしていたわけではないですが、半分冗談で半分本気のような、そんなトーンだったように僕には聞こえました。


時は過ぎて学生時代、僕はバンド活動にあけくれて、「プロになりたいから就職なんかせえへん!やりたいことをやる!」とか言って、両親を困らせていました。
もちろん、音楽が好きだからそう言ってたんですが、今考えるとそれと同時に、「どうせ働いたって楽しくないんやろ?親父が言ってたみたいに」というモラトリアムな気持ちも混在してたんだと思います。


あれから10年経ち、自分もプログラマとして働くようになりましたが、働くことは心配していたほど苦痛ではありません。
というよりもむしろ、仕事は楽しいぐらいです。
妻も去年から自宅で小さなパン屋を始めましたが、肉体的にはちょっと大変でも、精神的には楽しんで働いています。


若い頃は「働くこと = 生活のために会社に入ってお金をもらうこと」のイメージしかありませんでした。
しかし、最近はそういうイメージはありません。
働くことが楽しくなってくると、自分の好きなことをやって、その結果としてお金が入ってくるような感覚になってきます。


自分や妻を含めて、楽しく働いている人を見ると、だいたい次の3つの条件を充たしている気がします。
 

  1. 自分の仕事が好きである。自分の仕事にやりがいがあり、誇りを持っている。
  2. お金をいただいているはずのお客さんに感謝される。すなわち、いただいている金額以上の価値が提供できている。
  3. 大金持ちではなくても、自分や家族が幸せに暮らせるだけの収入がある。すなわち、自分が提供している価値に見合った対価を給与として得ている。


ちなみに、これらの条件はそれぞれ独立しているわけではなく、互いに関連しているものだと思っています。
たとえば、2や3の条件を充たしているからこそ、1の条件を充たしている、というように。


3つの条件をすべて充たすことは決して簡単だとは言いませんが、不可能なことでもありません。
現に、妻やソニックガーデンのメンバーを見ていると、ほぼ実現できているように思います。
なので、現状にどこか不満を持っている人がいれば、最初から無理だとあきらめず、これらの条件をすべて充たせる方法を考えて、行動に移してほしいなあと思います。


具体的には今の会社の中で努力する、転職する、もしくは独立する、といった方法が考えられます。
しかし、傷をなめ合うように会社のグチや自虐ネタをツイートしたり、行動に移せない理由をきれいにリストアップするするだけじゃ、いつまでたっても今のままです。


IT業界にアンテナを張っていると、「あ、この人は結構充実した仕事をしているな」と思えるプログラマやエンジニアと、「あ〜、この人は不満だらけなんだろうなあ」と感じるプログラマやエンジニアは、外目に見てもわかるような気がします。


前者の人ならいいですが、後者の人を見てると「じゃあ、どうするのか」をちゃんと考えているのかな?と、他人事ながら心配になります。
ネットで見かけるだけの人たちに直接お会いすることはないかもしれませんが、同じ業界人なのでそういう人たちにも幸せになってほしいです。


そうすればきっと、「お父さんは仕事を楽しいと思ったことなんて、一度もないわー」ではなくて、


「お父さんの仕事って、結構楽しいんだぞ」


と、胸を張って子どもに言えるプログラマやエンジニアが増えるはずですから。


少なくとも僕は働くことに対して前向きな気持ちを持てるような姿を、自分の子どもたちに見せてやりたいと思っています。