はじめに
ITエンジニアのみなさんは「常日頃からアウトプットすることが大事」という話をよく耳にすると思います。
僕自身もそういう話をよく言っていますし、実際にたくさんアウトプットしている方だと思います。
このとき、アウトプットするメディアは大きく分けて「自分のブログ」か「それ以外」になると思います。
日本に住むITエンジニアであれば、自分のブログ以外のメディアとしてQiitaを使うことが多いでしょう。
このとき、選択肢は以下の3つになります。
- 自分のブログにだけ記事を書く
- 自分のブログとQiitaを使い分ける
- Qiitaにだけ記事を書く
僕は2のパターンですが、人によっては1か3の場合もあると思います。
僕のおすすめは1か2です。
3の「Qiitaだけ」という選択肢もアリと言えばアリなのですが、気を付けてアウトプットする必要があると思います。
というわけで、このエントリでは技術ネタのアウトプット先について議論してみたいと思います。
僕の使い分け
先ほども述べたとおり、僕はブログ(このブログです)に書くこともあれば、Qiitaに書くこともあります。
ブログとQiitaの使い分けには自分の中である程度ルール・観点があります。
ブログに書く内容
- まったく技術系でない話(子育ての話とか音楽の話とか)
- 技術系だけどコードの割合が少ない話(いわゆるポエム系)
- ブログは「自分の庭」なので、主役は僕自身
- PV(閲覧数)の面では若干不利(めちゃくちゃ有名なブロガーでない限り)
Qiitaに書く内容
- 技術系オンリー
- コードの割合が多い技術ネタ
- Qiitaは「みんなの公園」で、主役は技術
- いろんな人の目に止まるので、PVは稼ぎやすい。うまく波に乗れば一気にバズる。
上の観点で一番重要なのは「自分の庭」vs「みんなの公園」という考え方かもしれません。
Qiitaは「みんなの公園」なので、ルールやマナーに従ってみんなが気持ちよく使えるようにしなければなりません。
Qiitaのルールやマナーについては以下のページに詳しく書いてあります。
最低限、ここに書いてあるガイドラインは守るべきです。
上のガイドラインでは明示的に書かれていませんが、僕はこのガイドラインに加えて、「必ず他の人の役に立ちそうな記事」かつ「オリジナリティのあるコンテンツ」を書くことも心がけています。
「必ず他の人の役に立ちそうな記事」とは?
自分が書いた記事が役に立つかどうかは、客観的に判断するのは難しいですね。
なぜなら「役に立った」と考えるのは自分以外の第三者だからです。
とはいえ、以下のような質問を自問自答することである程度客観的に判断はできると思います。
- その技術を知らなかった頃の自分がその記事を読んで嬉しい、ありがたいと思うか?
- 文章やコードをバランス良く配分し(理想は50:50)、読者の立場に立って説明ができているか?
- 本文の内容にふさわしい、適切なタイトルを付けているか?
上の問いに対して全部YESと答えられれば、人の役に立つ可能性が高いです。
「オリジナリティのあるコンテンツ」とは?
こちらの基準は比較的明確です。
オリジナリティがあるかどうかは、自分が書こうとしている記事に関連しそうな検索キーワードを自分でググればチェックできます。
もし、検索結果の上位に自分が書こうとしている内容と同じような内容が上がってきた場合は、あまりオリジナリティはありません。
たとえばあなたがもし「Rubyのライブラリであるfactory_girlが、factory_botに名前が変わっていることを記事に書きたい!」と思ったとします。
このとき、"factory_girl factory_bot"というキーワードでググると以下のような結果が表示されます。
見たところ、どうやらすでに誰かが同じような記事を書いているようです(ちなみに一番上の記事を書いたのは僕ですw)。
この記事を読んで、自分の書きたい内容とほぼかぶっているようであれば、わざわざ同じ記事を書く価値は少ないでしょう。
逆に「一見同じように見えるが、自分の書きたい内容にはほとんどかぶっていない」という場合は、書く価値はあると思います。
タイトルをよく考えよう
あと、Qiitaの新着記事を眺めていてよく思うのが、「タイトル付けが雑な記事が多いな~」ということです。
よくあるのが、「〇〇〇まとめ」「〇〇〇基礎」みたいなタイトルを付けながら、中を覗くと「わずか3行」だったりするケースです。
例を挙げるとすればこんな感じです。
タイトル「Railsまとめ」
モデルの中に validates :hoge, presence: true と書くと、必須チェックができる。
(おわり)
ちなみにこういう記事だと、先ほど上げた「必ず他の人の役に立ちそうな記事」「オリジナリティのあるコンテンツ」という観点から見ても微妙です。
「〇〇〇まとめ」「〇〇〇基礎」の〇〇〇の中に入るキーワードは、RailsやSQL、正規表現など、「おいおい、それをまとめようと思ったら、めっちゃ大変やで!?」と心配するような巨大な技術であることが多いです。
プログラミングの世界では「名前重要」とよく言われます。
変数の名前やメソッドの名前は、実体を表す分かりやすい名前を付けることが推奨されます。
記事のタイトルも同じです。
プログラマであれば変数やメソッドに名前を付けるぐらいの慎重さで、記事のタイトルを考えましょう。
なので、いったんQiitaを離れてみる(案)
はい、Qiitaの中の人でもないのに、面倒くさいことをいろいろと書いてしまいました。
そうなんです。
Qiitaは「あなただけの場所ではない」ので、こんなふうに誰かからイチャモンを付けられる可能性が高いのです。
そこで上がってくるのが、Qiita以外の選択肢です。
どうでしょう?今書こうとしているそのネタ、自信がないなら自分のブログに書いてみませんか?
もちろん、自分のブログに書いてもイチャモンを付けられる可能性はありますが、「自分の庭(=ブログ)」vs「みんなの公園(=Qiita)」という観点に立つと、Qiitaよりはそのリスクは低くなると思います。
技術的に価値のある内容であれば、ブログでも十分ヒットする可能性はあります。
ヒットした記事を厳選してQiitaに転載する、という方法もとれますし、自分のブログで執筆スキルを磨いてからQiitaにチャレンジする、という作戦もアリだと思います。
Qiitaに依存せず、セルフブランディングを確立する
「Qiitaに書くと叩かれやすいから、ブログに逃げる」というのはちょっとネガティブな動機になってしまいますが、一方で「自分のブログで記事をヒットさせてセルフブランディングを確立する」ということも大事だと思います。
たしかに、Qiitaでもヒット記事を連発すれば有名にはなれます。
ですが、Qiitaよりもブログの方が「あなたという個人」が強調されます。
そして、もし将来何らかの理由でQiitaというサイトがなくなっても、あなたのブログは残り続けます。
(僕のこのブログのように、独自ドメインを持っておくとさらに安心です。)
あなたの評価をQiitaという外部のサイトに一極集中させず、うまく分散させることも大事なキャリア戦略の一つです。
2018.3.26追記:丸パクリはQiitaでもブログでもNGです+参考文献を明記しよう
あえて言うまでもありませんが、他の記事を丸パクリする(もしくは他の記事の一部を削っただけの記事を書く)のはQiitaでもブログでもNGです。
自分の記事として公開するのであれば、何かしらのオリジナリティを加えるべきです。
また、多少なりとも参考にした記事が他にあるのであれば、最低限、参考文献としてその記事のリンクを載せるようにしましょう。
まとめ
というわけで、このエントリでは技術系のネタをブログに書くか、Qiitaに書くか、そして、それぞれついてどういった内容が向いているのか、といった話を書いてみました。
僕はQiita黎明期から使用し続けている長老ユーザー(?)ですが、昔に比べると最近はQiitaも有名になりすぎて玉石混交の感が強くなってきているなーと感じています。
「技術ネタでアウトプット=とりあえずQiitaへ」という考え方が一般化しつつありますが、そんな状況だからこそ、ちょっと一呼吸置いて「ブログか、Qiitaか」をよく考えてみることも大事なんじゃないでしょうか。
何かしらのアウトプットをしようと考えているITエンジニアのみなさんにとって、この記事が参考になれば幸いです。
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