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【書評】テキストが苦手な人でもサクサク読める!「マンガでわかるITパスポート」と「マンガでわかるLLMの仕組み」を読みました

はじめに

湊川あいさんから「マンガでわかるITパスポート」と「マンガでわかるLLMの仕組み」をご恵贈いただきました。

どちらの本も一通り読み終わったので、感想を書いてみたいと思います。

「マンガでわかるITパスポート」について

情報処理技術者試験のひとつである「ITパスポート」の試験内容を解説した資格対策本です。

タイトルの通り、各トピックがマンガ付きで解説されます。
ただし、全ページがマンガになっているのではなく、トピックごとに

「数ページ分のマンガで概要を説明する」
  ↓
「テキストで詳細を解説する」

という流れで解説が進んでいきます。


ビジネス寄りの話題が意外と勉強になった

ITパスポートはエンジニア向けというより、「ITを使って仕事をする人(ITエンジニアではないビジネスパーソン)」に向けた資格試験のようです。
そのため、本書の前半(1〜6章)はビジネス寄りの話題になっていました。

  • 1章 企業と法務
  • 2章 経営戦略
  • 3章 システム戦略
  • 4章 開発技術
  • 5章 プロジェクトマネジメント
  • 6章 サービスマネジメントとシステム監査

7章以降がテクニカルな知識中心になります。

  • 7章 アルゴリズムとプログラミング
  • 8章 ハードウェア・ソフトウェア・システム構成要素
  • 9章 データベース
  • 10章 ネットワークとセキュリティ

僕はそもそも「ITパスポート」という試験のことをよく知らなかったので、ビジネス寄りの話題が半分以上占めていることにちょっと驚きました。
7〜10章の内容は日常業務でよく使っているので馴染みがありますが、1〜6章の内容はそうじゃないので、個人的に勉強になりました。

マンガがあるとテキストパートも読みやすい

情報処理技術者試験でいうと、僕は「基本情報技術者」の資格を持っています。
もう10年以上前の話ですが、資格試験の本が文章ばかりだと、だんだん眠くなったり、読み進めるにつれてしんどくなったりした記憶があります。

「マンガでわかるITパスポート」は前述の通り、「マンガで概要を説明→テキストで詳細を説明」という順番で進んでいくので、メリハリが付いて良いなと思いました。

テキストだけを読み続けるのはしんどいですが、マンガならスルスルと読めますし、テキストパートへのイントロダクションを兼ねているので、マンガのおかげでテキストパートも読み進めやすくなる効果があります。

結果として、テキストばかりの参考書よりもスムーズに読み終えられそうです。

分厚いけど、サクサク読める

ちなみに本そのものはなかなかの分厚さがあります。

最初に手にしたときは「おお、すごいボリュームだな💧」と思ったのですが、上に述べた理由で意外とサクサク読み進められるので安心してください!

というわけで、「マンガでわかるITパスポート」は、

ITパスポートの資格を取りたいが、テキストばかり読むのは苦手。
でもマンガがあれば読み進められそうな気がする!

という人におすすめの一冊です。

余談:初級シスアド → ITパスポート、だったのね

余談ですが、僕は「ITパスポートって最近できた資格なんじゃないの?」と思っていたのですが、どうやら2009年からある資格試験のようです。
その前はITパスポートに近い資格試験として「初級システムアドミニストレータ試験」がありました。


出典: 情報処理技術者試験 - Wikipedia

「おっ、初級シスアドなら知ってるぞ!」と思ったのですが、ITパスポートに切り替わったのが15年以上前の話なので、自分の不勉強さを痛感しました💧

「マンガでわかるLLMの仕組み」について

「マンガでわかるLLMの仕組み」は技術書典 20で販売されていた、いわゆる技術同人誌です。
こちらは「マンガでわかるITパスポート」と異なり、最初から最後までマンガでLLMやAIに関する解説が展開されていきます。

湊川さんからは「伊藤さんなら全部ご存知のことばかりだと思いますが」とコメントをいただいていたのですが、実は僕はLLMの仕組みについてガッツリ勉強したことはありません。
どっちかというと「雰囲気でAIを使っている勢」の人なので、ベクトル演算の話なんかは「へ〜、そうなんだ!」と普通に勉強になりました😅


「AIは全部正しい」と妄信しがちな現代人の必読書!?

「マンガでわかるLLMの仕組み」は技術的な勉強になる点もさることながら、それ以上に「AIは万能、AIの言うことはなんでも正しい」と勘違いしがちな人たちの誤解を解くために最適な本、という印象が強かったです。

テキストばかりの分厚い本だと「これを読んでAIについてしっかり勉強してください」と伝えても読んでもらえなさそうです。
ですが、「マンガでわかるLLMの仕組み」はわずか60ページですし、全部マンガで解説されているので、「これ読んでみて」と気軽に渡しやすい本になっています。

しかも、小学生でも読めるようにフリガナまで付いています!

うちの場合、娘が高校生で勉強するときによくChatGPTを使っていたりするので、この本を読んでもらいました。
娘いわく、「AIに関する仕組みがわかったのに加えて、本編の最後にあったメッセージがとても印象に残った」そうです。
こんな感じで、「家族で回し読み」するのにも最適な一冊だと思います。

ガチの専門書ではなく、誰でも読める気軽な入門書

もちろん「LLMガチ勢」の人たちが読むと、「こんな解説じゃ全然ダメだ」と思うような部分もあるかもしれません。
しかし、上の画像にも書いてあるように、

  • 分厚い技術書を読む時間がない
  • 文章よりもイメージでつかみたい
  • 数式はあんまり見たくない

といった人たちが対象読者なので、より専門的な内容を学びたい人はそちらへどうぞ、というのが本書の立ち位置なんだと思います。

ちなみに、本書の最後にはより専門的な参考文献も載っているので、もっと詳しく知りたくなった人はそこから知識を深めることもできますよ。

booth.pm

まとめ:テキストにはない「マンガならではの力」がきっとある

というわけで、このエントリでは「マンガでわかるITパスポート」と「マンガでわかるLLMの仕組み」の感想を書いてみました。

僕はどちらかというと「文章で説明するのが得意な人」ですが、湊川さんはマンガやイラストで説明できてすごいな〜と思います。
(「マンガでわかるITパスポート」についてはマンガパートだけでなく、テキストパートも湊川さんが書いてるんだから、さらにすごい!)

最近はそれこそAIが発達してきているので、「マンガやイラストもAIで作れるのでは?」と思うかもしれませんが、それでもしばらくはきっと、

素人が書いたマンガ < AIが書いたマンガ << 越えられない壁 << 本職の人が書いたマンガ

になるんじゃないかなーと思います。

「マンガでわかるITパスポート」も「マンガでわかるLLMの仕組み」も、機会があればぜひ手に取って、テキストにはない「マンガならではの力」を感じてみてください!

booth.pm

「技術書の話をしよう。」と「Qiita Conference 2026」に登壇します

お知らせ

登壇のお知らせです。来週、2つのイベントで登壇します。
ひとつは「技術書の話をしよう。」で、もうひとつは「Qiita Conference 2026」です。

sebook.connpass.com

qiita.com

「技術書の話をしよう。」について

「技術書の話をしよう。」は、毎回技術書の著者が登壇する翔泳社主催の勉強会です。
僕が登壇する第8回は「高めよ!ソフトスキル」というテーマで、僕を含めて3人の著者が登壇します。

開催日時
2026/05/27(水) 12:00 〜 13:00
開催場所
オンライン
参加費
無料
登壇者
出石聡史、松本均、伊藤淳一

開催時間がちょうどお昼休みの時間なので、昼食を食べつつ、のんびりと視聴してもらうといいんじゃないでしょうか?

僕は「技術書を書く技術」に関連した話をする予定ですが、出石さんは「受託開発の失敗」について、松本さんは「要件定義の極意」についてそれぞれ本を書かれているので、こういったテーマの話を聞いてみたい方にもおすすめです!

「Qiita Conference 2026」について

「Qiita Conference 2026」は毎年開催されているQiita最大のオンラインイベントです。
今年は「AI時代を迎えた今、エンジニアの『可能性』を広げる」というテーマで3日間、様々なエンジニアが登壇します。

開催日時
2026/05/27(水) 〜29(金) 17:00 〜 20:25
開催場所
オンライン
参加費
無料
登壇者
多数のゲスト登壇者

僕の出番は5月29日(金)の19:35〜19:55です。
「技術記事、AIに書かせるか、自分で書くか? 〜それでも私が自分の手で書く理由〜」というタイトルでお話します。

コードを書くときは僕もAIに任せることが増えてきましたが、技術記事を書くときは今のところ自分の手で書いています。
とはいえ、AIと手書き、どっちがいい・悪いという話ではなく、この講演を聞いたみなさんが自分なりのスタンスを見つけるきっかけになるようなお話ができればと考えています。

まとめ

というわけで、今回は「技術書の話をしよう。」と「Qiita Conference 2026」に登壇しますよ、というお話を書いてみました。

どちらもオンライン&無料なので、全国どこからでも気軽に参加できます。
興味がある方はぜひ聞きにきてください!

sebook.connpass.com
qiita.com

人に物を教えるときに安易に「簡単ですよ」「誰でもできます」と言わない

「技術記事を書く技術」にこれを書いておけばよかったなー、という話をふと思い出したので、ここに書いておきます。

「簡単です」と言わない方がいい理由

人に何か物を教える際は、「とっても簡単です」とか「これは誰でもできます」みたいな枕詞は付けない方がいいと僕は思っています。

というのも過去の経験上、「簡単ですよ!」と言われても、話を聞いたら「うーん、そうか??」と思うことも結構多かったからです。

それに、「簡単です」「誰でもできます」と言われたにもかかわらず、もし自分ができなかったら、

「自分はそんな簡単なこともできないんだ」
「誰でもできるのに私だけダメなんだ」

と、自尊心が傷つく原因にもなります。

簡単なのは「あなただから」かも?

教える側が「簡単ですよ」と話す場合、「自分が経験豊富な専門家だから」というケースもよくあります。
自分では「こんなの簡単、誰でもできる!」と思っていても、実際は「あなただから簡単に思えるだけ」という事実に気づいていないことも多いのではないでしょうか。

教える側が教えられる側のプレッシャーを下げてあげよう

教える人と教えを乞う人の間には、多少なりとも権力勾配のようなものが存在しています。
もちろん、教える側が上で、教えを乞う側が下です。

教える側は無自覚でも、教えを乞う側は「できないことや、わからないことに対する劣等感」を抱えていることもあるはずです。
そういう状況下での「簡単ですよ」「誰でもできますよ」というセリフは、(教える側の意図に反して)教えを乞う側のプレッシャーを増大させる原因になるのではないかと僕は考えています。

教える側はむしろ、「これ、難しいですよね」「最初からできる人はいないと思いますよ」というように、「すぐにわからなくても大丈夫👌」という方向性の言葉をかけてあげる方が、教えを乞う側にとって救いになるのではないでしょうか(少なくとも僕だったらその方がありがたいです)。

技術記事を書くときも考え方は同じ

この考え方は僕が技術記事を書くときも同じです。
「難しい技術を優しく教える」系の技術記事では、「読者は⚪︎⚪︎のことをとても難しいと考えているはず」という前提で記事を書くようにしています。

もちろん、拙著「技術記事を書く技術」の説明も同様です。
記事執筆に関するノウハウやテクニックについて、15年選手の僕が「こんなの簡単」と思っていても、これから技術記事の執筆にチャレンジしようとしている人が同じように簡単と思えるはずがありません。

ですので、本の中では「とっても簡単です」とか「これは誰でもできます」といった言葉は極力使わないように意識しました*1
むしろ「最初はなかなかできないはず」「全部できなくても大丈夫」というスタンスで記事執筆のノウハウを伝えるようにしています。

記事のテーマは自由です。なんでもいいから書いてみてください!……と言われても、多くの人は「ええっ」と困ってしまうと思います。アウトプットをしたくてもできないから本書を手に取ったのに、最初のアドバイスが「なんでもいいから書いてみて」ではあまりにも乱暴すぎますよね。

引用 「技術記事を書く技術」p24

コラム:「〜ってありますよね?」という言い方も避けたい

他にもよく似た説明パターンとして、「〜ってありますよね?」というセリフもなるべく避けた方がいいと思っています。
たとえば、「"OSI参照モデル"ってありますよね?あれでいうと〜」みたいな説明です。

この場合、「"OSI参照モデル"は当然あなたもご存知だと思いますが」という前提が暗に含まれています。
もし自分が「OSI参照モデル」をよく知らなかった場合、相手の説明をさえぎって「あの、すいません、"OSI参照モデル"って何ですか?」と追加で質問しないといけなくなります。

こうなると、説明を受けているだけでも「何も知らなくて申し訳ない」と思っているのに、さらに輪をかけて「"OSI参照モデル"すら知らなくて本当に申し訳ない」と萎縮してしまう原因になります。

また、その場で相手が「"OSI参照モデル"って何ですか?」で聞いてこなかった場合、

  • 知っているから聞いてこなかった
  • 知らないが恥ずかしくて聞けなかった

の2パターンが考えられます。
前者であれば問題ありませんが、後者の場合、頑張って説明しても自分の説明が相手にうまく伝わっていない恐れが出てきます。

ですので、「"OSI参照モデル"ってありますよね?(=当然あなたも知ってますよね)」ではなく、「"OSI参照モデル"ってご存知ですか?」というように、まずは相手の知識の有無を確認してから説明を進めるようにしましょう*2

まとめ:簡単かどうかの判断は受け手に委ねよう

簡単かどうかは説明する側ではなく、説明を受けた側が判断することです。

説明する側は最初から「こんなの簡単」と断定せず、むしろその逆で「自分にとっては簡単でも、相手は難しいと感じるかもしれない」という前提で説明するようにしましょう。

*1:使っていないつもりですが、もしかしたらどこかで知らずに使っているかも?もしあったらすいません🙏

*2:「〜ってご存知ですか?」は文字にすると相手を煽っているように見えますが、適切なコンテキストをもった会話の中ではそんなニュアンスには聞こえないはずです