はじめに
今回のエントリでは、先日ネットをちょっと賑わしていた堀江さんのこの発言について、僕の思うところを書いてみます。
嫌だと思ったら辞めればいいのでは?辞めるの自由よん RT @mastar579: 堀江さん、ブラック企業について ご意見お願いします。長時間労働や残業代未払い、休日の拘束など様々な要素がありますが、堀江さんも経営者としてスタッフの待遇についてお話いただけたら•••
— 堀江貴文(Takafumi Horie) (@takapon_jp) June 22, 2013
嫌だったら辞めればいい。そして転職すればいい。
僕も「嫌だと思ったら辞めればいい」には同意です。
会社を辞めるのは自由です。
辞めさせないように会社から妨害に遭ったとしても、しかるべき組織に相談すればたぶんなんとかなります。(会社を辞める権利はたしか法律で保証されていたはず)
で、堀江さんは上記のツイートの後、「起業すればいい」という発言をされているようです。
この点については「起業もいいけど、転職という手段もあるよね」というのが僕の考えです。
でもブラック企業に勤めている人の中には「そんな簡単に次の仕事が見つかるとは限らない」という人もいるかと思います。
まあ確かにそうですよね。
起業するにせよ、転職するにせよ、失敗するリスクがゼロになることはないので不安な気持ちになるのは避けられないと思います。
しかし、努力次第でリスクは減らせる、つまり転職できる可能性を高めることはできます。
自分の商品価値が高ければ、転職できる可能性も高くなる
じゃあ、どうやって転職できる可能性を高めるのか?
それは簡単に言えば、「他の会社が欲しがる人材になればいい」のです。
別の言い方をすると、「自分の商品価値を高めればいい」とも言えます。
そうすれば転職活動もスムーズに進めやすくなるはずです。
僕の場合はこれまで「この会社を辞めて転職したい」というよりも、「明日この会社をクビになってもすぐに次の仕事が見つけられるか?」という危機感を持ちながらいわゆる「自己啓発」をやってきました。
「すぐに次の会社を見つける必要がある」という点では「今の会社を辞めたい」も「明日クビにされるかもしれない」もほとんど同じ意味です。
僕は技術者の仕事を選んだので、自分の「技術力」を証明することが自分の商品価値を高める上で重要になります。
なので、自分が好きな技術、苦手な技術、将来チャレンジしてみたい技術分野などを考えて、「こういう技術を身につけていれば、明日クビになってもなんとかなるかもしれない」という課題を見つけ、トライしていきました。
具体的にはこんな感じです。
- 伸ばしたい分野の技術書を読む
- 伸ばしたい技術(英語や簿記も含む)に関連する資格を取る
- 技術関連のブログを書く
- 他の会社でも使える技術が身につきそうな社内のプロジェクトに参加させてもらう
前職ではあまりやっていませんでしたが、「自分でコードを書いてGitHub等で公開する」というのも良い方法だと思います。
それから、勉強会やIT系のイベントなどに参加して「会社の外に出て自分の技術力を客観的に評価する」ということも大事です。
技術レベルがそれほど高くない会社に勤めていると、実は自分は井の中の蛙だったということも往々にしてあります。
また、勉強会やイベントでは参加するだけでなく、発表者に回ることができればさらにGoodです。
こういったことは「積み重ね」によって価値が生まれてくることなので、「もう辞めたい」と思ったときに「やってれば良かった」と気づいても遅いです。
だから、僕の場合は現状になんとなく満足しているときでも「明日クビになるかもしれない」と考えて、自己啓発に取り組んでいました。
もちろん、そういうネガティブな動機だけでなく、単純に新しい技術を身につけるのは面白いというポジティブな動機も混在してましたけどね。
そうやって自分の商品価値を高めていくと、転職できる可能性を高められるのと同時に、転職先の選択肢を増やすこともできます。
なぜなら、自分の商品価値が低いと「自分の手の届く会社」の数は限られてしまいますが、商品価値が高ければ「手が届くかもしれない会社」の数を増やせるからです。
もしかすると自分の通勤圏内だけなく、「リモート勤務を認めてくれる遠くの会社」だって選択肢に加えられるかもしれません。
そういうふうに考えていくと、努力次第で次の転職先は見つけやすくなる、よってブラック企業も辞めやすくなると思うわけです。
「ブラックなんだもん、そんなのムリ!」という人へ
まあそうは言っても、「こっちはブラック企業に勤めてるんだよ!だから自己啓発する時間すらないんだよ!!」という声が聞こえてきそうな気もします。
確かにコンテキストは人それぞれなので、僕の考え方や僕がこれまでやってきたことが万人に適用できるとは限りません。
ただ、ブラック企業を辞めるための基本的な考え方は「自分はこの先どうありたいのか、そのためには何をすればいいのか、今何ができるのか」ということを考えて実行するだけです。
僕のやり方が実行できないのであれば、自分なりのやり方を考えて実行に移す必要があります。
本当に勤務状況が厳しくなってきたり、心身に不調を来したりしてからでは遅いことも多いので、時間のあるうちに、そして元気があるうちに行動に移すようにしましょう。
おわりに: 僕もブラック企業に在籍していた時代があった
ちなみに僕が最初に勤めていたSIerもブラック気味でした。
基本給20万と見せかけて、色々な「xx手当」を上乗せして「実質20万」になっていました。
中でも一番ひどかったのは「皆勤手当」で、理由に関わらず会社を休むと3万円、遅刻や半休で1万5000円が差し引かれました。
なので、どうしてもお役所関係に出向かなければいけないときは、給料を減らす覚悟で行かねばなりませんでした。
残業代も上司が承認した時間分だけしか出ませんでした。
3時間の残業を申請しても、承認されるのは決まって1時間半でした。
炎上気味のプロジェクトに参加している場合はもちろん深夜まで残業&休日出勤でした。
ある年のゴールデンウィーク前には上司から「今から用紙を配るので、ゴールデンウィーク中、どうしても休まなければいけない日に×を付けてください」と言われました。
まあ、そのときは妻が妊娠中だったこともあって、迷わず全て×にしましたけどね。
心身に不調を来して長期欠勤する先輩や同僚もたくさんいましたし、離職率もかなり高かったです。
社員数は200人前後でしたが、毎年20人ぐらい新卒を採用して、ほぼ同数の社員が毎年辞めていました。
そういえば会社を辞めるときも退職届をなかなか受け取ってもらえなくて、常務に直談判しにいったなあ。。。
まあ、ブラック自慢大会に出場したらこんな話は序の口だと思いますが、僕の中では「決してホワイトではなかった」と思っています。
いや、技術的にはいろいろと勉強させてもらったことも多かったので、その会社を恨んでいるわけではないんですよ。
技術面だけでなく、世間でよく言われる「SIerの終わってるところ」も実際に体験することができましたし(苦笑)。
そんな記憶が僕にもあるので、「逃げたくなったときのために、早めに準備していつでも逃げられるようにしておきましょうよ」と思うわけなんです。
このエントリがかつての僕と同じような境遇にいる人の参考になれば幸いです。
さっさと逃げ出しましょう!!
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「現場を変える?会社を変わる?」できることと、できないこと - give IT a try
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「転職」というテーマでいうと、DevLove関西 2012で発表した内容も結構近いですね。