はじめに:「三役=新人」というわけのわからない子供会の慣習をなくした話
先日Facebookにちょっと長めの書き込みをしました。
内容的にブログに書いても良さそうな話だったので、こちらに転載してみます。
昨夜は子供会の役員会があった。
うちの子供会には「三役(会長、副会長、会計)は新人の役員から選出する」という、わけのわからない慣習がある。
その慣習のせいで、今年新人だった僕が会長に当たってしまった。
しかし、三役が全員新人だと当然、「何を進めるにあたっても誰かに聞かなければわからない」という状況が繰り返されるわけで、非常に非効率。
役員の経験がないだけに、「次はどんなイベントがあるんだろう?」という先の見えない不安みたいなのもあって、精神的にもあまり嬉しくない。
また、新しく子ども会に役員になる保護者の方からも「役員になったら三役をやらされるから、子ども会の役員にはなりたくない」というネガティブな意見が挙がっているらしい。
というわけで、昨夜は僕から「少なくとも会長は新人ではなく、役員経験者から選ぶ」という新ルールを提案し、長い議論の末に可決された。
幸い「三役が全員新人なのはおかしい」という点ではみんなの意見が一致していたので、建設的な議論ができた。
「何かよくわからないけど、どこかおかしい気がするけど、毎年これをやっているから今年もこれをやる」というのは一番良くないパターンだと思う。
「例年通りにやるのがベストか?もっと良いやり方はないか?」ということを常に問いかけながらやらないと、状況はよくならない。
もちろん、何かを変えることには大きなエネルギーが必要で、「よくわからんけど、どこかおかしいけど、今年も同じにしておこう」と考える方がラク。
しかし、それではどんどん組織が衰退し、巡り巡っては自分の住む地域に活気がなくなってしまう。
長い目で見れば自分たちにもリターンがあるはず、と信じて、「何事も例年通り」という悪しき慣習から抜け出す必要がある。
来年の会長にもそのことを伝えて、「毎年改善を続けていける子供会」になっていくことを期待する。
・・・と、こんな話を載せました。
ただ、コンテキストを共有しておいた方が上の話を理解しやすいと思うので、子供会に関する補足説明をいくつか載せておきます。
「うちの子供会」に関する補足説明
「うちの子供会」というのは、「町内の子供会」のことです。
子供会には原則として町内の全小学生と全中学生が参加します。
町内はさらに隣保(りんぽ)と呼ばれるエリアに分かれていて、毎年各隣保から1名ずつ子供会の役員を選出します。
役員を選出するルールは隣保内で自由ですが、だいたいローテーションで回すことが多いです。
「三役を新人役員から選出する」という慣習がいつから始まったのかはよくわかっていません。
ただ、同じに町内に住む義父が言うには「俺らが役員をやってる頃はそんなルールはなかった」そうなので、それほど古い伝統ではなく、おそらく10~15年前ぐらいに始まったんじゃないかと思います。
この慣習が始まった理由もまた謎です。
周りの人に話を聞いても、詳しいいきさつを知っている人はおらず、「単なる新人いじめじゃないのか?」と考えている人もいました。
ただ、一つの意見として、隣保ごとの人数格差に由来しているんじゃないかという説があります。
ある隣保は子供の数が多く、ある隣保は子供の数が少ないため、これが「三役選出の不公平感」につながって「三役=新人ルール」ができたのではないか?という説です。
「三役=新人ルール」の人数格差起源説 (単なる推測)
人数の格差が「三役=新人ルール」につながる理由はちょっと分かりにくいと思うので、ここで極端かつ単純な例を使って考えてみます。
小中学生が10人いる隣保1だと、役員が回ってくるのは10年に一回です。
一方、小中学生が2人しかいない隣保2だと、1年交代で役員が回ってきます。
隣保1の新人役員Aさんが三役に当たらなければ、次に役員が回ってくるのが10年後、つまり自分の子供が中学校を卒業した後になるので、Aさんは一度も三役を経験せずに子供会を抜けることになります。
一方、隣保2の役員Bさんは2年に1回役員が当たるので、三役に選ばれる可能性も当然高くなります。
となると、「隣保1に住んでいれば三役が当たりにくく、隣保2に住んでいると三役が当たりやすい」という不公平感が出てきます。
そこで「新人を三役にする」というルールにすれば、隣保1に住んでいる人も三役に当たる可能性が高くなります。
これで隣保間の不公平感が軽減される・・・というのが「三役=新人ルール」の起源説です。(あくまで推測ですよ)
まあ仮にこの推測が当たっていたとしても、ちょっと本末転倒なルール設定じゃないかな~とは思いますね。
理由があまりにもネガティブというか、ディフェンシブすぎるというか。
もちろん、「少なくとも会長は新人ではなく、役員経験者から選ぶ」ルールにすると隣保1の人が会長に当たる可能性は低くなるわけですが、そこは「代わりに副会長や会計は積極的に隣保1の新人から選ぶ」等の柔軟な発想で切り抜けてほしいな~と思ったりします。(副会長と会計は新人でもOKにしているので)
まとめ: 「いつ変えるの?」「誰が変えるの?」
冒頭の話にも書いたとおり、「変だけど例年通り」を選ぶのはラクチンです。
しかし、誰かがどこかで流れを変えないと、永遠に「変なまま」です。
良くも悪くも今年僕は会長に当たってしまったので、「どうせなら会長権限をフル活用して、変なところは徹底的に正してやろう」と思いました。
もちろん、おかしいと思ったところでも話をよく聞いてみるとそれなりに合理的だった、ということも何度かありました。
一方で、今回のように「変えた方がプラスになること」もたくさんありました。
たとえば、長年続いていた役員電話連絡網を廃止して、代わりに今年からメールで連絡事項を役員に一斉送信するように変更しました。
「これだけメールが普及している時代に、わざわざ電話で伝言ゲームだなんて信じられない」というのが、僕の率直な感想だったからです。
電話連絡網からメールの一斉送信に変えるメリットはみなさん容易に想像がつくと思うので、あえてここには書きません。
ところで、こういう姿勢が大事なのは田舎の小さな子供会だけに限らず、会社の中で仕事をするときも同じです。
「昔からそうしてるから」というルールに出会ったら、「なんでそうするの?それがベストなの?」という疑問を持つようにしましょう。
周りの人に聞いてみて、明確で合理的な理由が出てこなければ、それは変更すべきルールです。
「じゃあ、いつ変えるの?」「今でしょう!」
「じゃあ、誰が変えるの?」「あなたでしょう!」
・・・どこかで聞いたようなフレーズですが、「あなたが」「今」、古いルールを変えることで、組織の体質が変わり、自分へのプラスにつながります。
周りの人もきっとあなたが古いルールを変えてくれるのを待っているはずです。
あ、くれぐれも自分が「誰かを待つ側」に回らないようにしましょうね!
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