料理をしない夫と、包丁を研がない妻
僕は包丁を研ぐ人、妻は包丁を使う人です。
でも僕は包丁を研ぐだけで料理はしません。
妻も包丁は研ぎません。
僕は料理はしないですが、包丁の切れ味を高めるのは好きです。
自分で包丁を研ぐなら自分でも使えよ、というツッコミが聞こえてきそうですが、作詞作曲はしても自分では歌わないバンドメンバーもいたりするので、包丁は研いでも自分では使わない人間がいてもいいんじゃないでしょうか😅
それはさておき、この1年で包丁と砥石と包丁研ぎグッズがめちゃくちゃ増えました。
これまでに購入した包丁
實光(じっこう)刃物・青二 三徳包丁 (165mm)
ちょっと高くてもいいからよく切れる包丁が欲しい!ということで初めて購入した高級包丁です。
青紙二号という鋼(はがね・非ステンレンス材)を使っている包丁です。
「おお、さすが。めちゃくちゃよく切れる!」という感動を味わいました。
播鍛(ばんか)・ステンレスV金10号ダマスカス牛刀 鎚目 (210mm)
僕は兵庫県西脇市という町に住んでるのですが、車で20分ほどで行ける兵庫県小野市に播鍛という包丁メーカーがあります。
試しに足を運んでみたら、いい包丁が比較的手頃な値段で売っていたので購入したのがこちらの牛刀です。
一般的に「切れ味が優れているのはステンレスよりも鋼」と言われますが、実際に使ってみると「ステンレスでもめっちゃ切れるやん!」となりました。
播鍛・ステンレス粉末ハイス鋼 三徳 (180mm)
播鍛の包丁、いいね!ステンレスの包丁、いいね!ということで、もう一本買ってみたのがこちらの三徳包丁。
V金10号よりもさらに高級な粉末ハイスというステンレス材を使っています。
前評判通り、V金10号よりもさらに鋭い切れ味でした。
播鍛・ステンレスV金10号ダマスカス牛刀 鎚目 (180mm) と ステンレス粉末ハイス鋼 ペティ (135mm)
それまでは三徳包丁をメインで使っていたのですが、2つ前に購入した牛刀が便利で妻がすごく気に入ったので、サイズ違いの牛刀を買おうということになり、購入したのがこちらの180mm牛刀です。
また、ペティナイフは長年GLOBALのペティナイフを使ってたのですが、これもよく切れるやつに買い換えたい、ということで、2本同時に購入しました。
堺山凰 青2 牛刀 (210mm) と 堺北辰 白3 本焼ペティ (180mm)
鋼はサビやすいから、という理由でしばらくステンレスをメインで使っていたのですが、久々に鋼の包丁を使ってみると「やっぱり鋼は切れ味がいい!ステンレンスとはひと味違う!」となり、鋼の包丁を求めて日本三大刃物産地のひとつ、大阪府堺市にある「堺刃物ミュージアム CUT」を訪れました。
「堺刃物ミュージアム CUT」には数多くの魅力的な包丁がありました。
もともと鋼の牛刀を買う目的で行ったのですが、気付いたら鋼の牛刀に加えて本焼きのペティナイフまで買っていました(苦笑)。
ちなみに本焼き(本焼き包丁)というのは一枚の鋼を鍛造して作る最高級包丁のことです。
別に本焼き包丁が欲しかったわけではないのですが、180mmという万能包丁代わりに使える絶妙なサイズ感と見た目の美しさに惚れてつい購入してしまいました(かなり高かったけど・・・😅)。
ですが、使い勝手と切れ味のバランスが良いので、今のところこの包丁が普段使いで一番よく使う包丁になっています。
コラム:鋼の包丁に熱湯をかけてはいけない!?
鋼の包丁はよく切れる代わりに錆びやすいというデメリットがあります。
そのため、使い終わったらすぐに水分を拭き取る必要があります。
また、水分を拭き取るのではなく、強制的に乾燥させる目的で「包丁に熱湯をかけると良い」というアドバイスもネットやYouTube動画もよく見かけます。
「そうか、なるほど」と思い、上で紹介した本焼きのペティナイフに熱湯をかけてみたところ・・・包丁に白いシミができてしまいました!!😱
ビックリして購入した「堺刃物ミュージアム CUT」に電話したところ、「サビ防止のために塗ってあったコーティング用の液体ビニールが熱で溶けたんだと思います」とのこと。
持ち込めばその場で職人さんが直してくれるとのことで、すぐに包丁を持っていきました(兵庫の山奥から片道1時間半かけて💦)。
とりあえず液体ビニールとやらは別になくても構わないので、剥がしてもらうことにしました。
また、職人さんいわく、サビ防止の目的なら熱湯でなくシンクで使うお湯でも十分とのこと。
それからは熱湯は使わず、シンクで使うお湯で包丁を洗っています。
それにしても液体ビニールが塗ってあるなんて全然知らなかった!
ごく少量なのでそのまま使っても人体には影響がないそうですがこういうトラブルに遭遇するとビックリするかもしれないので、鋼の包丁を買うときは予め液体ビニール(またはなんらかのコーティング材)の有無を確認した方がいいかもしれません。
これまでに購入した砥石と包丁研ぎグッズ
自分で包丁を研ぎ始めたのは去年の夏頃からなのですが、包丁と同じく、あれよあれよという間に砥石と包丁研ぎグッズが増えていきました(苦笑)。
貝印のコンビ砥石セット #400 #1000
包丁研ぎについて右も左もわからない状態でとりあえず買ってみた砥石セットです。
包丁研ぎ入門者にはちょうどいいと思います。
が、すぐにこれでは満足できなくなり、このあといろいろと砥石や包丁研ぎグッズを買い足していくことになります。。。
ALTSTONE 「深 FUKAMI」の3000番 と 8000番
砥石の番手を上げた方が切れ味がよくなる、という情報を聞いて買い足した砥石です。
たしかに番手を上げた方が滑らかな切れ味になりますね。
シャプトン 刃の黒幕 #12000 クリーム
8000番の砥石で研ぐと切れ味は滑らかになるものの、YouTube動画で見るようなシャープな切れ味にはならないな〜、さらに番手を上げないといけないのかな〜?と思いながら買ってみたのがこの砥石です。
が、結構固くて砥石の上で包丁が滑るような感覚があり、研げてるのか研げてないのかよくわからない感じでした。
また、これを使えば誰でもYouTube動画のようにスパスパ切れるのか、というとそうでもなかったです。
半年以上使って最近ようやくこの砥石のクセや上手な使い方がわかってきたような気がします。
なので、これはちょっと上級者向けの砥石かもしれません。
ツボ万 砥石修正用アトマ 中目
使い終わった砥石の面を平らにするための修正砥石です。面直し(つらなおし)と呼んだりもします。
最初に購入した貝印の砥石セットにも修正砥石は付いていたのですが、持ち手の付いてるこっちの方がずっと使いやすくて便利です。
包丁研ぎにハマった人は買って損はないと思います。
ALTSTONE 「深 FUKAMI」の1000番
1000番は最初に買った貝印の砥石があるからいらないかな、と思ってたのですが、やっぱりもうちょっといい1000番の砥石が欲しいと思って買い足したのがこの砥石です。
貝印の砥石よりもよく研げますし、研ぎ心地もいいですね。
SHARPAL 205Hレザーストロップ
いわゆる革砥(かわと)っていうやつです。
僕は研磨剤を塗らず、バリ取り(包丁研ぎの仕上げとして刃先の小さな削りかすを除去する作業)だけに使っています。
バリ取りは丸めた新聞紙の上で包丁をすべらせればOK、と説明されることも多いですが、雑にシャカシャカやると切れ味が悪くなるような気がして、革砥の上で包丁の角度を一定にしながら丁寧にバリ取りをするようにしています。
また、いちいち新聞を丸めるのが地味に面倒だった、という理由もあります。
ピカール ネオ
鋼の包丁はすぐ錆びます。
こまめに洗って拭けば錆びないのでは?と思っていましたが、どれだけがんばってもすぐにうっすらと変色してきます。
というわけで、錆びるのは鋼の包丁の宿命です。絶対に避けられません。
包丁が錆びてきても金属磨きで磨けば十分きれいになります。
代表的な金属磨きとして、ピカールとピカール ネオがありますが、ピカールの方はめちゃくちゃ臭いらしいです(使ったことないけど)。
ピカール ネオは部屋の中で使ってもほとんど臭いが気になりません。
ただし、人体にはよくないらしいので使ったあとはしっかり包丁を洗う必要があります。
また、相手は鋭い刃物なので気を付けて磨かないとケガの原因になります。
僕はいらなくなったまな板の上に包丁の刃先をピタッとくっつけながら磨くようにしています。
包丁を研いだら紙の筒を切ってみる
YouTubeで包丁研ぎ師のRyotaさんが、包丁の切れ味を確かめるためによく紙の筒を切っています。
www.youtube.com
僕もRyotaさんの真似をして包丁を研ぎ終わったら毎回紙の筒を切っています(笑)。
上で使ったのはコピー用紙ですが、新聞紙を使うのもアリです。
ただ、新聞紙はコピー用紙よりもふにゃっとしているのでコピー用紙よりも難易度が高いかもしれません。
昔はなかなか切ることができませんでしたが、最近はだんだんとコツがわかってきました。
紙の筒を切るコツと注意点
そもそもの話として、よく切れる包丁とめちゃくちゃよく切れる包丁があります。
上で紹介した包丁は基本的にどれもよく切れるのですが、その中でも「播鍛・ステンレス粉末ハイス鋼 三徳」と「堺山凰 青2 牛刀」はめちゃくちゃよく切れます。
この包丁を使うとあまり神経質にならなくても包丁を研いだあとは結構簡単に紙の筒が切れます。一種のチートですね。
反対に「播鍛・ステンレスV金10号ダマスカス牛刀」とかは、かなり包丁を研ぐときの角度等に気を付けないとなかなか切れなかったりします。
とはいえ、がんばればなんとかなるんですが。
これは鋼材の違いや刃先の薄さの違いが切れ味に影響しているのかなーと思ったりしています。
あとは、単純に切り方の問題も大きかったりします。
切るときの角度はかなり包丁を縦気味にして(60度ぐらい?)、包丁のアゴの部分から先端に向かってゆっくり引きながら包丁を筒に押し当てると、包丁の刃先と紙が擦れ合うざらっとした感触と共に刃先が紙に食い込みます。
一回成功すると「こういう感じか!」というのがわかるのですが、一度も成功したことがないと「全然わからん」となるかもしれません。
逆上がりを覚えるときと同じような感じ、と言えば伝わるでしょうか。
最後に、紙の筒を切るのは研いだ人の自己満足です(苦笑)。
別に紙の筒が切れなくても、研ぎ終わった包丁を使う妻は「普通によく切れる」と言ってくれます。
なので、紙の筒が切れない包丁=全然研げていない包丁というわけではないので、あまり躍起にならないようにしてください。
新品の包丁が一番切れる、とは限らない
これまでに買った包丁のほとんどは購入直後の新品の状態でとてもよく切れました。
しかし、例外がひとつだけあります。
それは「堺北辰 白3 本焼ペティ」です。
これまでに買ってきた包丁の中で一番高い包丁だったので、当然一番よく切れるだろうとワクワクしていたのですが、家で試し切りしてみると「あれ?」という切れ味でちょっとガッカリした記憶があります。
ハッキリした理由はわからないのですが、これは「購入後に本刃付けしてもらう前提で作ってあるから」ということなのかもしれません。
聞くところによると、プロの料理人は研ぎ師に依頼して新品の包丁を自分好みの切れ味になるよう研いでもらうそうです。
もしかすると「堺北辰 白3 本焼ペティ」もそういう意図で、新品の状態では調整の余地を大きく取ってあったのかもしれません。
ちなみに「堺北辰 白3 本焼ペティ」もしっかり研いであげるとよく切れるようになりました(きれいな鏡面に傷を付けないように神経を使いましたが・・・)。
で、鋼とステンレス、どっちがいいの?
包丁について調べていくと、「包丁の鋼材は大きく分けて2つあります。鋼(はがね)とステンレスです」という説明を目にすると思います。
「えー、そんなの気にしたことがない」という人はおそらくステンレスの包丁=錆びない包丁*1を使っているはずです。
一般的に「鋼は切れ味は良いが錆びるのが難点」「ステンレスは錆びないが切れ味は鋼に劣る」と言われます。
じゃあ、どっちがいいのか?
鋼とステンレスの両方を使った妻いわく、
「めちゃくちゃこだわる人じゃなければステンレス。錆びないのはすごく大きなメリット。いい包丁なら切れ味も鋼とそこまで変わらない」
とのことです。
ただ、食材を切ったときの感触は微妙に違うらしく、ステンレスは「スコン!」と鋭く切れるのに対し、鋼は食材に油を塗っているかのような滑らかで優しい切り心地になるみたいです。
切ってて気持ちいいのは鋼の方なので、妻は「堺北辰 白3 本焼ペティ」を一番よく使っています。
研ぎやすさはどうなの?
鋼とステンレンスには研ぎやすさにも違いがあり、一般的に「鋼の方が研ぎやすく、ステンレンスの方が研ぎにくい」と言われます。
が、僕自身は鋼材による大きな違いをそこまで感じないですね。
一般論でいうと、粉末ハイスを使っている播鍛の三徳とペティが一番研ぎにくいはずですが、意外とそうでもないです。
むしろバリがすぐに出るので研ぎやすい方かも。
一方、鋼を使っている「堺北辰 白3 本焼ペティ」は硬くて結構研ぎづらいです。
もっとも、これは「硬くて研ぎにくい」という本焼き包丁の特徴そのものかもしれませんが。
ステンレス系のV金10号を使っている播鍛の牛刀は研ぎにくいというよりも、よく切れる刃を付けにくい(=かなり神経を使う)という印象です。
なんとなく、研ぎやすさ・研ぎにくさは鋼材の違いよりも刃先が薄さの方が大きな要因になってそうな気がします。
最初から刃先の厚みが薄く仕上げてある包丁の方がすぐにバリが出て、なおかつ鋭い切れ味が出るので研ぐのが楽です。
おまけ:これまでに購入したまな板
包丁の切れ味が落ちる大きな要因がまな板です。
固いまな板を使うと刃先にダメージを与えてしまい、すぐに切れ味が落ちるそうです。
この話を聞いてから我が家もプラスチック製の固いまな板から、木製の柔らかいまな板に切り替えました。
が、木製のまな板もいろいろあって、包丁と同じくこの1年でいろんなまな板を買ったので、実際に購入したまな板と使ってみた感想をまとめておきます。
無印良品のまな板
「まな板はひのきが一番包丁に優しい」と聞いて購入したまな板です。
たしかに柔らかくて包丁には優しいのですが、ヒノキ風呂のような匂いが部屋中に漂うのと、いかにも「和風」な木目がインテリアにマッチせず、すぐに使うのを辞めました。
KEYUCA オリーブのまな板
見た目がオシャレ、という理由で買いましたが、思った以上に固いまな板だったため、すぐに使うのを辞めました。
item.rakuten.co.jp
KEYUCA マホガニーのまな板
一方、オリーブのまな板と一緒に買ったマホガニーのまな板は大きさ、重さ、柔らかさ、ともにgoodで今も使っています。
今はIKEAのまな板とKEYUCAのマホガニーのまな板をメインで使っています。
まとめ:包丁も包丁研ぎも奥が深い!
というわけでこのエントリでは最近夫婦で包丁と包丁研ぎにハマっているという話を書いてみました。
僕は料理をしないので包丁の切れ味については妻の感想が基準になるのですが、包丁がよく切れると料理がすごく楽しくなるみたいです。
というか、包丁をたくさん使いたくなるのでキャベツや人参を細かく刻んだりしたくなるんだとか。
また、生肉も思い通りに切れるので、最初からカットしてある肉ではなく、少し安い肉のブロックを買って自分でカットすることも多いみたいです。
プログラマであれば、いいキーボードを買うと打ち心地がよくてたくさんタイピングしたくなるような気持ち、と言えば伝わるでしょうか(伝わるか?)。
包丁研ぎは最高の切れ味を求めてもくもくと作業に熱中できるところが面白いですね。
精神集中というか、瞑想をしてるような、そんな感覚になることがあります。
また、砥石もいろんな砥石がありますし、YouTube動画を見ていると研ぎ方にも無限のバリエーションがあってとても奥が深いです。
包丁も同じく、鋼材、形状、大きさ、作り方、デザイン等々で無限の組み合わせがあります。
いい包丁を使い始めると、だんだんと自分の好みがわかってきて、次はあんな包丁を使ってみたい、こんな包丁があったら嬉しい、というようにどんどん欲しい包丁が増えていきます。
いやあ、どちらも沼ですね(苦笑)。
一度も包丁を研いだことがない人や、特にこだわりもなく安い包丁を使い続けているという人は、ぜひこちらの世界へ。
包丁がよく切れると楽しい!という感動を一度味わってみてほしいです😄
続・おまけ
あまり切れ味よくないなーと思ってたGLOBALの包丁でも紙の筒が切れました!!
*1:厳密には錆びにくい包丁です。条件によってはステンレンスも錆びるので。