先日購入した「Driving Technical Change」という洋書の内容が面白かったので、簡単に概要を紹介しておきます。
この本は新しいツールや技術を導入する際にしばしば遭遇する抵抗勢力のパターンや、その対抗技術、導入戦略などを解説した本です。
目からウロコというような斬新な発見は特にないかもしれませんが、こういったジャンルの本は今まであまりなかったように思います。
特に抵抗勢力や対抗技術をうまく分類し、それらをパターン化している点が特筆すべき点です。
それではこの本の目次をベースにして、概要を見ていきましょう。
Introduction
はじめに
Why This Book?
この本は同僚に新しいツールや技術を納得して導入してもらうようにするのが目的である。
Defining the Problem
プロフェッショナルな開発では生産性が高く、不具合が少なく、コードを理解しやすくするためのツールや技術を使うものである。
懐疑論者はあなたが使おうとしているツールや技術を拒絶する人たちで、いくつかのパターンに分かれる。
我々開発者は時間や工数を減らすために投資する。
Solve the Right Problem
問題を解決するのは良いことだが、ソリューションを押し付けることは良くない。
Skeptic Patterns
懐疑論者のパターン
Who Are the People in Your Neighborhood?
あなたの同僚は今から紹介するどのパターンに該当するだろうか?
The Uninformed
無知な人々(単に知らないだけの人々)
The Herd
群衆(従うことしかできない人々)
The Cynic
皮肉屋(議論好きや他人よりも賢く見せたがる人々)
The Burned
燃え尽きた人々(かつて紹介されたツールや技術を使って失敗した人々)
The Time Crunched
時間短縮狂信者(とにかく「時間がかかるから」という理由で反対する人々)
The Boss
上司(プロフェッショナルな開発技術を理解しないマネージャー)
The Irrational
理解不能な人々(全く話が噛み合わない人々)
Techniques
対抗技術
Filling Your Toolbox
以下のような対抗技術を使って懐疑論者を納得させよう
Gain Expertise
専門技術を身につける
Deliver Your Message
メッセージを伝える(話を聞いてもらう)
Demonstrate Your Technique
デモを見せる
Propose Compromise
妥協案を出す
Create Trust
信頼してもらう
Get Publicity
有名になる
Focus on Synergy
相乗効果を狙う(ビジネス上の関心事と導入しようとするツールや技術をマッチさせる)
Build a Bridge
ブリッジプログラムを作る(導入したい技術と現場の技術の橋渡し役となる技術を見つける、または開発する。たとえばRails for .NETなど。)
Create Something Compelling
強制力のある何かを作り出す(その技術の導入が不可欠なキラーアプリを開発する)
Strategy
導入戦略
Simple, Not Easy
これから紹介する戦略はどれもシンプルだが、決して簡単ではない。
Ignore the Irrational
理解不能な人々を無視する(苦労に見合わないため)
Target the Willing
人々を改心させる
Harness the Converted
味方の協力を得る
Sway Management
マネージャーに許可をもらう
Final Thoughts
新しいツールや技術の導入に成功した後でも落とし穴はあるので注意すべし。
技術の導入は目的地ではない。よりよい職場環境を実現するための旅は続いていく。
・・・目次から概要を抜き出すとこんな感じになります。
向上心の強いあなただったらきっと、新しいツールや技術を導入したいのに同僚や上司に同意してもらえず、悔しい思いをしたことが何度かあるのではないでしょうか?*1
ここでは概要しか説明しませんでしたが、本の中では具体的な事例を交えたりして、より詳細に説明してくれています。
この本の内容を参考にすると、あなたが今度新しいツールや技術を導入する時に役立つかもしれませんよ?
Driving Technical Change: Why People on Your Team Don't Act on Good Ideas, and How to Convince Them They Should
*1:ええ、おいらもあります。