give IT a try

プログラミング、リモートワーク、田舎暮らし、音楽、etc.

ブログデザインをちょっとだけ変えてみました

致命的な問題では無いけど、以前からなんとなく「直したいなー」と思っていたブログデザインを少し修正してみました。

PC向け画面

画面幅の拡大

ベースにしているテーマはEpicです。
デフォルトのままだと本文の横幅が少し狭い気がしたので、50pxほど広くしました。

BEFORE
f:id:JunichiIto:20180517081151p:plain

AFTER
f:id:JunichiIto:20180517081210p:plain

画像で見比べてもあまりわからないレベルですね。
最初は200pxにしたり、100pxにしたりしてみたのですが、あまり横に長すぎても読みづらいなと思い、結局+50pxに落ち着きました。
以前に比べると、若干ゆったりしたはずです。

見出しスタイルの設定

あと、大見出しと小見出しの区別をつきやすくするように、大見出しの左側に色付きの縦棒を表示するようにしました。

BEFORE
f:id:JunichiIto:20180517081626p:plain

AFTER
f:id:JunichiIto:20180517081632p:plain

これで、大見出しと小見出しの違いがハッキリするようになったはずです。いかがでしょう?

f:id:JunichiIto:20180517081808p:plain

サンプルコードの背景色

サンプルコードの背景色を薄いグレーから、黒に近いグレーに変更しました。

BEFORE
f:id:JunichiIto:20180517084452p:plain

AFTER
f:id:JunichiIto:20180517084527p:plain

おそらく以前よりもちょっとギークっぽくなったと思いますw

スマホ向け画面

こちらもPC向け画面と同様に、大見出しの左側に色付きの縦棒を表示するようにしています。

f:id:JunichiIto:20180517082102p:plain:w300

サンプルコードの背景色も同じようにしています。
f:id:JunichiIto:20180517085050p:plain:w300

さらに、画像に枠線を表示するようにしました。

BEFORE
f:id:JunichiIto:20180517082229p:plain:w300

AFTER
f:id:JunichiIto:20180517085718p:plain:w300

CSS設定例

PC画面用のCSSはこんな感じです。

#container {
  width: 1010px;
}
#wrapper {
  width: 770px;
}
#main {
  width: 610px;
}
.entry-content img {
  max-width: 610px;
}

.entry-content h4 {
  padding: 0.1em 0.5em;
  border-left: solid 4px #7d9ab7;
}

pre.code {
  background: #333;
  color: white;
  line-height: 1.4em;
  font-size: 12px;
}

/* 画像の枠線(以前から設定済み) */
img.hatena-fotolife {
  border: 1px #ccc solid;
}

スマホ画面用はこちら。

<style type="text/css">
.entry-content h4 {
  padding: 0.1em 0.5em;
  border-left: solid 4px #7d9ab7;
}
pre.code {
  background: #333;
  color: white;
  line-height: 1.4em;
  font-size: 12px;
}
img.hatena-fotolife {
  border: 1px #ccc solid;
}
</style>

それぞれ、以下の場所に設定すればOKです。
f:id:JunichiIto:20180517082947p:plain
f:id:JunichiIto:20180517082840p:plain

まとめ

というわけで、このエントリでは今回適用したブログデザインのリニューアル点を紹介してみました。
あまりごちゃごちゃしたデザインは好きではないので、元のスッキリしたデザインを保ちつつ、少ない工数で見やすさを向上できたんじゃないかなーと思います。

はてなブログをお使いのブロガーのみなさん(特に技術系の方々)は参考にしてみてください!

岡山で「ITエンジニアの生存戦略」について話してきました #oso2018

はじめに

2018年5月12日、岡山で開催されたオープンセミナー2018@岡山で、「したたか?天然?なんかうまくやってるITエンジニアの生存戦略」という発表をしてきました。

このエントリでは登壇内容やイベントの感想を書いていきます。

使用したスライド

発表で使用したスライドはこちらです。

僕はスライドにあまり情報を詰め込まず、口頭でたくさんしゃべっていくスタイルなので、当日話した内容のすべてが載っているわけではありませんが、スライドを見ればだいたいの雰囲気は伝わるかなーと思います。

f:id:JunichiIto:20180514081730j:plain
著書の宣伝、ではなく登壇の様子ですw (写真提供: @aguuu)

2018.12.05追記:動画も公開しました

当日の動画はないのですが、自宅で発表の練習をしていたときの動画が残っていたので、これを貼っておきます。
喋っている内容は9割方本番と同じです。
www.youtube.com

Q&Aコーナーが意外と好評でした

先日、このブログでみなさん自身の生存戦略やキャリア設計に関する質問を募集していました。

実際、いくつか質問をいただいたので、中盤のQ&Aコーナーにて僕からの回答を述べてみました(スライドの26~35ページ)。

Twitterの反応を見てると、このQ&Aコーナーが意外と好評だったようです。

質問をくださったみなさん、どうもありがとうございました。
意外と難しい質問が多くて回答を考えるのにちょっと苦労しましたが、僕の回答や登壇内容が何かのヒントになれば幸いです。

僕の回答がちょっとブラックだった?

登壇が終わったあと、「Q&Aコーナー・その2の回答が伊藤さんにしてはちょっとブラックでしたね(苦笑)」という感想を同僚のT氏からもらいました。
該当のQ&Aはこんな内容でした。

f:id:JunichiIto:20180514051655p:plainf:id:JunichiIto:20180514051701p:plain

うーん、まあたしかにバッサリと言えばバッサリなんですが、この質問内容だと僕からの回答はどうしてもこうなっちゃうかな~、というのが僕の正直な感想です。

でも、「発注者視点」というのは非常に大事だと思うんですよね。
質問者の方は「技術的に広く浅くか、狭く深くか」ということを気にされていますが、もしかすると「発注者視点」で考えると、例えば「メールを受け取ったら素早く返信してくれる人」とかの方が評価が高かったりするかもしれません(あくまで「例えば」の話ですが)。

どの質問者の方もご自身の技術スキルを気にされていましたが、スライドの最後でも語ったとおり「戦略」を考えるのであれば、意外と「技術力以外」の要素が鍵になってくるのかもしれません。

「自分を客観視する=人の目を気にする」ではない

発表後の質問タイムで次のような質問をもらいました。

客観的な視点が重要とのことですが、それがデメリットになって人の目を気にするようになり、かえって自分の行動が制限されることはないですか?

当日はぱっとうまく答えられなかったのですが、あとからいろいろ考えると「客観的な視点」と「人の目」は似て非なる物だという結論に至りました。

僕がスライドで言っている「客観的な視点」は、自分の目的を達成するために必要な要素であり、その視点は自分の利害関係者(ステークホルダー)の視点です。

一方、「人の目が気になる」というときの「人」は、「世間」や「空気」のような、自分と利害を直接共有しないような人たちです。もっと言えば、「自分の足を引っ張る人たち」と言い換えてもいいと思います。

もちろん、客観的な視点で考えた結果、自分の行動を制限することはあります。
ですが、それは人の目を気にしてやめるのではなく、それをやると、自分か利害関係者(もしくはその両方)にデメリットが生じるためにやめるのです。
(たとえば、「こんな発言をツイートすると、怒ったり傷いたりするフォロワーさんが出てくるだろうな」とか。フォロワーさんは僕にとっての利害関係者です。)

逆に「こんなことをする人は滅多にいないから、ちょっと恥ずかしい」みたいな理由で、自分の行動を制限することはほとんどありません。
「恥ずかしい」と思われるのは自分だけですし、見知らぬ人から「あの人、ちょっと変だね」と思われたとしても、その人は自分の利害関係者ではないからです。
自分と無関係な人の存在を気にして、自分の目的達成を放棄する必要はありません。

・・・と、こんなふうにうまく回答できれば良かったのですが、アドリブ力が弱いので当日はなんかちょっと腰砕けな回答になってしまいました(苦笑)。

生存戦略を考える上でオススメの本やネット記事など

スライドの中では、生存戦略を考える参考文献として、以下の本やネット記事をオススメしていました。

SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル

SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル

人を動かす 新装版

人を動かす 新装版

あとで考えると、これに加えて「情熱プログラマー」もオススメしておけば良かったなー、と思いました。

情熱プログラマー ソフトウェア開発者の幸せな生き方

情熱プログラマー ソフトウェア開発者の幸せな生き方

この本は、スライドにも出てきた「一番の下手くそになろう」という話が載っている本です。
僕はこの本をSIer時代に読み、今後の自分の方向性考えるきっかけになりました。

あと、「SOFT SKILLS」や「人を動かす」はこのブログの中でも紹介しています。


60分ちょうどで発表を終わらせるコツ

この日の僕の持ち時間は60分で、これまで登壇してきた中で過去最長でした。
スライドを作る前は「60分も話す内容あるかな~?」と不安だったのですが、実際スライドを作り始めると余裕で60分を超えてしまい、逆にたくさん内容を削るハメになりましたw

そして、当日はほぼ60分ちょうどで終わらせることができました。
手元のタイマーで見る限り、発表が終わったのは59分台だったと思います。

きれいに60分で終わらせることができた理由のひとつは、下の写真のような「時間配分表」を作ってPCの横に置いていたことです。

f:id:JunichiIto:20180514083403j:plain

当日はこれを見て大きく時間が前後していないか確認しながら、話を進めていきました。

あとは念入りなリハーサルですね。
発表をうまくやるには実際に口に出して話すしかありません。
スライドの中で紹介した「パワー・プレゼンテーション」にもそう書いてあります。

パワー・プレゼンテーション (グロービス思考シリーズ)

パワー・プレゼンテーション (グロービス思考シリーズ)

発表が苦手だと思ってる人も、スライドを1週間前に作って、当日までに5回以上練習すれば絶対うまくしゃべれます!
また、練習していると「なんかこの説明はしっくりこないな」という部分がポロポロ見つかるので、発表内容もどんどんブラッシュアップされていきます。
まさに一石二鳥ですね。

というわけで、僕も家で何度もリハーサルしたので、壇上では落ち着いて時間配分を調整することができました(息は切れてたけどw)。

参加者のみなさんからの反響

当日会場にいた参加者のみなさんの反響は以下のTogetterページにまとめられています。

全体的に好意的な感想が多かったので良かったです。
頑張って準備した甲斐がありました😄




その他、イベントの様子など

個性的・魅力的な登壇者の面々

このイベントには僕以外にも個性的で魅力的な登壇者の方が発表されていました。
ひとつずつ感想を述べていくと長くなるので、割愛させてもらいますが、発表を聞きながら僕自身も「へ~」とか「なるほど」とか「そのとおり!」を心の中で連発していました。
とてもいい刺激になりました。

アンチボッチランチ

この日の昼食は「アンチボッチランチ形式」で、初対面の方と食事に出かけました。
アンチボッチランチというのは「ひとりぼっちの昼食」を避けるために、ランダムに(そして強制的に?)参加者をグルーピングして、初対面同士の人たち(4人1組)でランチに出かけてもらうシステムです。

僕は今回初めてこの「アンチボッチランチ」を体験したのですが、思いのほか楽しかったです。
これ、他の勉強会でもどんどん採用するといいんじゃないかなー。
勉強会でひとりで昼食、って僕も何度か経験があるので。

ちなみに、ランチをご一緒させてもらった方の中に、去年まで息子の小学校で使っていたメール連絡網システムの開発会社の方がいました。
すごい偶然でビックリしました!

チェリー本の立ち読みコーナー

当日は受付にて、僕が執筆した「プロを目指す人のためのRuby入門」(チェリー本)を2冊、立ち読み用に置いてもらいました。

ときどき立ち読みしてくれている人を見かけたので、声をかけようかな?と思いましたが、「いや、そんなことしたら、無神経に声をかけてくるアパレル店員みたいになってしまうな」と思い、自重しました😅

サイン本プレゼントじゃんけん大会

イベントの最後には、登壇者のサイン入り書籍を参加者にプレゼントするジャンケン大会がありました。
僕も「プロを目指す人のためのRuby入門」に5冊サインを入れて、ジャンケン大会のプレゼンターとして参加させてもらいました。

1人目の方のジャンケンに結構時間がかかっていたので、挑戦者を減らす目的で「書評を書いてくれる人だけが参加してください!」と呼びかけてみたのですが、ほとんど人数が減らず、僕のもくろみは不発に終わりました(苦笑)。

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ジャンケン大会の様子(写真提供: @aguuu)

ジャンケン大会に参加してくださったみなさん、どうもありがとうございました。
チェリー本をゲットされた方は、書評を楽しみにしています!
(投稿先はブログ、Qiita、Amazonレビュー、gist、TwitterのDM等、どんな方法でも構いません👌)

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勝者の方には直接手渡しさせてもらいました(写真提供: oso2018実行委員会)

まとめ

というわけで、このエントリでは「オープンセミナー2018@岡山」での登壇レポートを書いてみました。

以前から「岡山のエンジニアさんたちって、なんかみんな仲が良さそうだよな~」と思っていたのですが、今回初めて岡山の勉強会に参加してみて、実際にその通りだったなと思いました。
仲がいいだけじゃなくて、すごくチームワークが良い。
とても素晴らしいと思いました。

参加してくださったみなさん、登壇者のみなさん、どうもありがとうございました。
そして、声をかけてくださった実行委員長の吉田さん(@zephiransas)をはじめ、イベントを運営してくださったスタッフのみなさんにも感謝します。
どうもありがとうございました!

エンジニアさんの知り合いも増えたし、非常に楽しいイベントでした。
来年も開催されるようなので、今回参加されなかった方はぜひ次回参加してみてください!

【書評】「失敗の本質」を読んで、「日本人的な気質」は昔も今も変わってないのでは?と思った

はじめに

個人的な感覚ですが、最近のニュースを見ていたりすると、なんとなく「日本人のあまり良くない側面が、物事を悪い方向に引っ張ってるんじゃないか」と感じることが多くなりました。

その「日本人のあまり良くない側面」が災いして大失敗したのが、70年前の戦争です。
そして、この「失敗」を社会科学的に分析してまとめた本が、有名な「失敗の本質」という書籍です。

以前から読んでみたいなと思っていたので、これを機に購入して読んでみました。
読んでみると「あー、これは今でも同じだわー」と思う部分がたくさんあり、非常に興味深い内容でした。

というわけで、このエントリでは「失敗の本質」を読んで、「これは今の時代でも当てはまりそう」「意識的しないと、自分も流されてしまいそう」と思った部分をあれこれピックアップしてみます。

本書の構成

本書は3つの章に分かれています。

  • 1章 失敗の事例研究
  • 2章 失敗の本質ーー戦略・組織における日本軍の失敗の分析
  • 3章 失敗の教訓ーー日本軍の失敗の本質と今日的課題

1章はノモンハン事件やミッドウェー海戦など、戦争中に起きた具体的な事例(日本軍が負けた戦闘)を解説した章です。

2章は1章で説明した各戦闘を総合的に分析し、日本軍の組織的特性や欠陥を議論しています。

3章は2章の分析をもとに、現代の組織に適用可能な教訓や課題を提示しています。

個人的に、この本のメインは2章ではないかと思います。
1章では個々の戦闘の具体例が記述されていますが、正直、文章だけだと何がどうなったのか細かいディティールを頭の中に思い描くのはちょっと難しいように思いました。
1章で細かい部分を把握できなくても、2章で1章の内容が総合的に分析されるので、1章はざっくりと読み進め、2章以降をしっかり読めば、それで大丈夫な気がします。

3章は2章における議論と内容がかなり重複します。
なので、結局のところ、読み物として一番面白いのは2章ではないかと思います。

個人的に興味深かったポイント

「失敗の本質」を読んでみて、個人的に興味深かったポイントを以下に挙げていきます。
僕にとっての「興味深いポイント」とは、「それって今の社会や、自分の身の周りでも同じやん!」とか「やばい、僕自身もそんな傾向があるかも?」と思った内容です。

戦略上の失敗要因分析(2章)
  • あいまいな戦略目的 p268
    • 戦争の開始と終結の目標があいまいだった
  • 短期決戦の戦略思考 p277
    • 日米開戦後の確たる長期的展望がないままに、戦争に突入した
  • 主観的で「帰納的」な戦略策定ー空気の支配 p282
    • 米軍は演繹的、日本軍は帰納的
    • 演繹的 = 既知の一般法則によって個別の問題を解く
    • 帰納的 = 経験した事実のなかからある一般的な法則性を見つける
    • 日本軍の戦略策定は情緒や空気が支配する傾向が強かった
    • あらゆる議論は最後に空気によって決定される
    • 個々の戦闘における「戦機まさに熟せり」、「決死任務を遂行し、聖旨に添うべし」、「天佑神助」、「神明の加護」、「能否を超越し国運を賭して断行すべし」などの抽象的かつ空文虚字の作文には、それらの言葉を具体的方法にまで詰めるという方法論がまったく見られない
  • 狭くて進化のない戦略オプション p289
    • 戦略発想が硬直的
  • アンバランスな戦闘技術体系 p297
    • ある部分は突出してすぐれているが他の部分は絶望的に立ち後れている
    • 一点豪華主義。典型例は大和と零戦
    • 零戦は入手と加工が困難な超々ジュラルミンを使用したため、大量生産できなかった
    • 米軍のグラマンF6F「ヘルキャット」は徹底した標準化による大量生産が行われた
    • 米国は平均的軍人の操作が容易な武器体系だった
    • 日本は一点豪華で、その操作に名人芸を要求した
    • 日本軍の技術体系では、ハードウェアに対してソフトウェア(暗号解読技術やレーダーなど)の開発が弱体であった
組織上の失敗要因分析(2章)
  • 人的ネットワーク偏重の組織構造 p308
    • 根回しと腹のすり合せによる意思決定
    • 組織目標と目標達成手段の合理的、体系的な形成・選択よりも、組織メンバー間の「間柄」に対する配慮を重視
  • 属人的な組織の統合 p318
    • 陸海軍の間には、戦略思想の相違、機構上の分立、組織の思考・行動様式の違いなどの根本的な対立が存在し、その一致は容易に達成できなかった
  • 学習を軽視した組織 p325
    • 敵戦力を過小評価し、自己の戦力を過大評価する精神主義
    • 同一パターンの作戦を繰り返して敗北する
    • 対人関係、人的ネットワーク関係に対する配慮が優先し、失敗の経験から積極的に学びとろうとする姿勢が欠如していた
    • 軍の教育機関では教官や各種の操典が指示するところを半ば機械的に暗記し、それを忠実に再現することが、最も評価され、奨励されさえした。いわば「模範解答」が用意され、その解答への近さが評価基準となっていた
  • プロセスや動機を重視した評価 p333
    • 日本軍は結果よりもプロセスを評価した。個々の戦闘においても、戦闘結果よりはリーダーの意図とか、やる気が評価された
    • 論理よりも声の大きな者の突出を許容した
自己革新組織の原則と日本軍の失敗(3章)
  • 創造的破壊による突出 p382
    • 組織の行為と成果との間にギャップがあった場合には、既存の知識を疑い、新たな知識を獲得しなければならない。そのためには既存の知識を捨てる学習棄却(unlearning)、つまり自己否定的学習ができるかどうかポイントになるが、帝国陸海軍は既存の知識を強化しすぎて、学習棄却に失敗した
    • 日本軍はある意味において、たえず自己超越を強いた組織であったが、往々にして、その自己超越は、合理性を超えた精神主義に求められた。そのような精神主義的極限追求は、そもそも初めからできないことがわかっていたものであって、創造的破壊につながるようなものではなかった
    • 米軍は戦争の間にテニスをする余裕があったが、日本軍には、悲壮感が強く余裕や遊びの精神がなかった

感想

興味深かったポイントをあれこれ挙げてきましたが、もっと抽象的に、「今でもそうなんじゃない?」と思える要素を抜き出すとこんな感じになるんじゃないかと思います。

  • 言っていることが抽象的な話ばかりで具体性がない
  • 個別最適の追求は得意だが、全体最適を進めるのは苦手
  • ソフトウェアよりハードウェアを偏重する
  • 人間関係や場の空気が尊重されて、合理的な意思決定ができない
  • 一度うまくいったパターンをやみくもに繰り返す
  • 勉強は暗記中心で、現場や社会に出たときの柔軟性や応用力に欠ける
  • 結果よりもやる気が評価される
  • 声の大きい人の意見が通る
  • 非合理的な精神主義で、現場が無茶を強いられる
  • 余裕や遊びの精神がない

どうでしょう?日本で生まれ育ってきた人であれば、みんな「あー、あるある!」と苦笑いしてしまうポイントばかりなのではないでしょうか。
分かってるなら直せばいいのに、と思ったりもしますが、何十年経っても変わらないのは、こうした考えや振る舞いが、もはや「日本人の文化」として社会に染みついてしまっているからなのかもしれません。

個人的にグサッと刺さったのは、「新たな知識を獲得するために、既存の知識を捨てる学習棄却(unlearning)ができるかどうか」という部分です(p369)。
うまくいっている期間が続くと守りに入ってしまうというか、「今の知識を捨てて新しい知識を取り入れる」という行動が取りにくくなってしまう気がします。
「失敗の本質」を読んで、僕自身も昔に比べると、そういう傾向が出てきてるんじゃないか?と少し怖くなりました。

なので、折に触れて本書を読み直し、意識的に自分自身を変化させていく必要があると思いました。

余談:紙の本のカバーについて

この本、最初はKindle版を購入したのですが、「これは何度も読み返したい」と思って紙の本も購入しました。
ペラペラペラーッとページをめくりながら内容を確認していく用途だと、やっぱり紙の本が向いてるんですよね。

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ちなみに紙の本はAmazonに載ってる表紙と全然デザインが違うのですが、実はカバーが二重構造になっていて、Amazonに載ってる表紙は下側に隠れています。

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こんな構造の表紙を見るのは初めてです。
本屋さんで買おうとすると、「あれ、もしかして違う本?」と勘違いするかもしれないので注意が必要です。

まとめ

というわけで、このエントリでは「失敗の本質」を読んだ感想をあれこれまとめてみました。
有名な本なのですでに読んだ人も多いと思いますが、まだ読んでいない人はぜひチェックしてみてください!