give IT a try

プログラミング、リモートワーク、田舎暮らし、音楽、etc.

託児室付きのIT勉強会を開催したので、僕の知見を全部書き出します #tokyogirlsrb

はじめに

前回のブログでもお伝えしたとおり、2019年3月2日に開催したTokyoGirls.rb Meetup vol.1ではパパ・ママエンジニア向けに無料の臨時託児室を提供しました。

blog.jnito.com

臨時託児室は僕にとって初めての試みで、いろんな場面で「これはどうしたらいいの?」と頭を抱える場面がありました。
ですが、結果としては臨時託児室の提供は大成功だったと思います。

そこで、このエントリでは「IT勉強会で託児室を提供してみたい、でもどうすればいいのかわからない」という方が参考になるような、知見や学びを書いてみようと思います。
ただし、かなり長くなってしまったので、2回ぐらいに分けて読むことをお勧めします(苦笑)。

【もくじ】

エントリ内で紹介している資料等は気軽に再利用してください

エントリ内では今回のTokyoGirls.rbで使用した、託児室の詳細説明ページや、スポンサー向け募集要項等の資料を紹介しています。
これらの資料の中に「これは自分の勉強会でも同じ物を作ることになりそうだ」というものがあれば、気軽に文面等を流用してもらって構いません。

特に許諾は必要ありませんが、その際はこのブログのコメント欄やTwitter等でひとこと、「自分の勉強会でも参考にさせてもらいました」といったコメントをいただけると、僕が喜びます😄

それでは以下が本編です。(本当に長いよ!)

臨時託児室の概要

TokyoGirls.rb Meetup vol.1の臨時託児室は、以下のような内容で提供しました。

  • 利用時間 : 2019年3月2日(土)12:00-18:00の6時間
    • 利用時間 = 派遣託児サービスとレンタルスペースの利用時間
    • イベントの開催時間は13:00-17:00の4時間
    • 託児可能な時間帯は12:30-17:30の5時間
  • 託児室の提供場所 : 会場近くのレンタルスペース
    • レンタルスペースを利用した理由 = 会場のTECH PLAY SHIBUYAには託児室として利用できる個室がなかったため
    • 安全確保のため、託児室の具体的な場所は非公開
  • お子さんの対象年齢 : 0歳(生後57日以上)〜小学校低学年
  • 申込者数 : 保護者ベースで5名、お子さんベースで7名
    • ママでもパパでも申込み可としていたが、今回の申込者は全員ママだった
    • お子さんの内訳は、0歳=1名、1歳=2名、2歳=2名、5歳=1名、7歳=1名
  • 当選者数 : 保護者ベースで4名、お子さんベースで5名
    • 事前に設定した予算内で保護者の人数が最大になるよう、運営サイドで当選者を決定
    • お子さんの内訳は、1歳=2名、2歳=1名、5歳=1名、7歳=1名
    • ただし、5歳のお子さんは体調不良で当日キャンセルされたため、結果的にはお子さんは4名となった
  • 派遣託児サービスの委託先 : 株式会社ポピンズ
  • 派遣スタッフ数 : 2名
  • 発生した費用 : 約11.5万円
    • 託児サービス利用料 = 約10万円
    • レンタルスペース利用料 = 約1.5万円
    • この金額はあくまで今回の例です。依頼する業者さんや地域によって、金額(単価)は異なる可能性があります
  • 臨時託児室の財源 : スポンサー5社の協賛金
    • 1社あたり2万5000円 x 5社 = 12.5万円
    • 余剰金のプールはしない方針とし、余った協賛金はスポンサー各社の了承をいただいた上で、消耗品の購入や懇親会の飲食費に充当
  • リスク対策 : 万一事故が発生した場合は、ポピンズさん加入の保険が適用される

臨時託児室のようす

イベント当日の臨時託児室の様子はこんな感じでした。
(お子さんの顔や名前が見えてしまう部分には、こちらでぼかしを入れています)

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会場近くのレンタルスペースに臨時託児室を作ってもらいました

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小さなお子さんが喜びそうな絵本やおもちゃは、委託業者のポピンズさんが用意してくれます

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専門の託児スタッフさんがお子さんの面倒を見てくれます

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遊び疲れたのか、途中からぐっすり眠ってしまうお子さんもいました(かわいい)

詳しくはのちほどご紹介しますが、特に大きなトラブルもなく、ほとんどの保護者の方から「とても良かった」「託児室を用意してくれてありがたかった」という感想をいただきました😊

臨時託児室を提供するまでの流れ

さて、ここから臨時託児室を提供するまでの流れを、順を追って説明していきます。

2か月半前

会場と託児室用の部屋を確保する

勉強会をやるぞー!臨時託児室を提供するぞー!と決めたら、何はともあれ会場と託児室用の部屋を確保します。

2ヶ月半前であれば、まだキャンセルも十分可能だと思うので、いったん会場と託児部屋を仮押さえしてしまいましょう。
なお、託児部屋は準備と片付けの時間を考慮して、イベント開催時間の前後1時間をプラスして予約します。

TokyoGirls.rbの場合、会場のTECH PLAY SHIBUYAには託児室として利用可能な個室がなかったため、会場近くのレンタルスペース(貸し会議室)を借りることにしました。
会場内に利用可能な個室や会議室がある場合は、そちらを利用する方がベターです。

個室やレンタルスペースは子どもが出入りしても大丈夫か最初に確認する

ただし、どんな場所を借りるにしても、そのスペースを託児室と利用しても良いか、小さな子どもが出入りしても問題ないか、といった点を事前に確認しておく必要があります。

以下のように、場合によっては「他の利用者の迷惑になるからNG」と言われて許可が下りないケースもあるそうです。

 会場、秋葉原コンベンションホールのメイン会場は2Fだったのですが、同じ階に託児スペースとして用意できる部屋はなく、別の階に休憩スペースとしていくつか借りた会議室の一室を託児スペースにあてる予定でした。

 ですが、その階をすべて東京RubyKaigi11で借り切ることはできず、そうなると「子どもの騒音等でその階を利用する別の団体に迷惑がかかるので許可できない」という理由で、会場側の許可が得られませんでした。
 

2016/ポエム/yuki/託児所運営まとめ - esa-pages.io
託児室の面積も要チェック!

ポピンズさんの規定では、託児をするにあたって、お子さん1人につき3.3㎡の面積が必要になります。
いくら予算があっても、託児室が狭いと規定以上のお子さんを預けることはできないので、使おうとしている部屋の面積にも注意する必要があります。

ちなみに今回利用したレンタルスペースの面積は約20㎡でした。
なので、最大で6名のお子さんを預かれることになります。

託児室を用意するなら土日に開催するのがベター

TokyoGirls.rb Meetup vol.1の開催後アンケートでは、託児室を利用したお母さんから「土日開催だったから参加できた。平日の晩でなくて良かった」という回答がありました。
ですので、託児室を提供するのであれば、土日や祝日にイベントを開催する方が良いかもしれません。

専任の「託児室担当者」をアサインする

この続きを読んでいくとわかると思いますが、託児室の運営はいろんなタスクが発生して、結構大変です。
もし主催者が1人で、全部自分で切り盛りしようとすると、タスクがあふれかえってオーバーフローしてしまうと思います。

運営スタッフは最初から複数人を集めておいて、その中から専任の「託児室担当者」を決めておくのが良いと思います。

(できれば)託児室の提供経験者や現役のママさん、パパさんに相談役になってもらう

臨時託児室の提供が初めてなのであれば、相談できる経験者がいると非常に心強いです。
TokyoGirls.rbでは、株式会社万葉のとりいさん(@yotii23)にTwitter DM等で随時相談させてもらいました。(とりいさん、どうもありがとうございました!)

また、子育て真っ最中のパパ・ママエンジニアが知り合いにいる場合は、「こういうことをやろうと思うんだけど、保護者としてどう思う?」と参考意見を伺うことができます。

僕自身は子育て経験者ではあるのですが、手のかかる時期はとっくに過ぎてしまったので、もはや当時の記憶はあいまいです。
当事者である現役のママさん、パパさんの方が、「これが必要」「こうだと嬉しい」というリアルな意見が聞けます。

TokyoGirls.rbでは現役のママエンジニアとして、このイベントの登壇者でもあるかとりえさん(@katorie)にときどき相談させてもらいました。(かとりえさんもどうもありがとうございました!)

そして、僕も経験値をゼロからイチに増やすことができたので、いちおう託児室運営の経験者になりました。
IT勉強会の託児室について何か聞いてみたいことがあれば、このブログのコメント欄やTwitter DMでお気軽にご相談ください!

業者さんにざっくりと見積もりを出してもらう

派遣託児サービスを依頼するにあたって、一番気になるのが費用だと思います。

業者のホームページやネットの情報をいろいろ調べるのもひとつの手ですが、案ずるより産むが易しで、とりあえず業者さんに「こういう形で臨時託児室を提供したいんですけど、見積もりしてもらえませんか?」と電話してみるのが一番早いと思います。

TokyoGirls.rbで利用したポピンズさんは、丁寧に応対してくれましたし、ざっくりした見積もりもすぐに提示してもらえました。
だいたいの費用がつかめれば、予算はどれくらいにするか、財源はどうやって確保するのか、といった金銭面の検討事項も考えやすくなります。

金額は依頼する業者さんや地域によっても変わってくると思うので(東京以外ならもっと安いかも?)、このブログに載せている金額を鵜呑みにせず、まずは業者さんに見積もってもらいましょう。

ただし、参加者の方の大事なお子さんを預かる仕事なので、「安かろう悪かろう」だけにはならないように気をつけてください。
安くても実績やクチコミが見当たらない業者さんは避けた方が良いかもしれません。

2ヶ月前

おおよその予算を決める

次に、業者さんから提示された見積もり額を元にして、託児室提供の予算を決めます。

とはいえ、いったい何歳ぐらいのお子さんが何人ぐらいやってくるのか、この時点ではまったく予想が付かないため、どれくらいの規模で提供すればいいか迷うところだと思います。
RubyKaigi2016のように、蓋を開けてみると思ったより申込者数が伸びなかった、ということもあり得ます(参考)。

ですので、初めて託児室を提供する場合は、スモールスタートの考え方で「託児スタッフさんが1〜2名で対応できる範囲」に押さえておくのが良いんじゃないかと思います。

また、見積もりも松・竹・梅のように、何パターンか作ってもらうと、いくらぐらいの料金で、何歳のお子さんを、何名ぐらい預かれるのかがシミュレートしやすくなるので、よい検討資料になります。

財源はどうするか検討する

財源の確保についてはいろいろな方法が考えられますが、TokyoGirls.rbではスポンサーを募って、その協賛金を託児室関連の費用にあてることにしました。

・・・というのは、結果的にそうなったというだけで、実はこの時点では財源の見通しはまったく付いていませんでした。

実際の議論では「スポンサーを募ってもまったく連絡が来ない可能性もあるので、財源が確保できなければ会場内にキッズスペースを作り、保護者の方はそこでお子さんと一緒に観覧してもらおう(つまり派遣託児サービスは利用せずになんとかしよう)」という話になっていました。

ブログでイベントの開催を予告して、同時に託児室スポンサーを募る

TokyoGirls.rbの臨時託児室提供は、ここが大きなターニングポイントでした。

僕が「こんな趣旨でこんなイベントをやろうと思ってます!できたら託児室も提供したいので、スポンサーさんも募集してます」という内容のブログを書いたのです。

最後に一つお願いがあります。

イベント当日は会場内に託児スペースを設けて、子育て中のエンジニアさん(こちらは男女問いません!)も気軽に参加できる勉強会にしたいと考えています。
託児スペースは派遣型託児サービスの業者さんに依頼する予定です。
正確な見積もりは出ていませんが、おそらく10万円以内で抑えられるのでは、という話をもらっています。


そこで、この費用をサポートしてくださるスポンサー企業さんを募集しています。
全額でなく、一部でも構いません。


検討してもいいよ、という企業さんがありましたら、運営チームの伊藤(@jnchito)、りほやん(@rllllho)、りさきゃん(@_risacan_)、南谷(@yuki3738)の誰かにご連絡いただけると幸いです。
よろしくお願いします🙇‍♂️

 

女性も参加しやすい(でも女性限定ではない)Ruby勉強会を企画中です #tokyogirlsrb - give IT a try

すると数日のうちに、複数の企業さん(1人は個人)から「協力します!」という連絡がありました。
これはめちゃくちゃ嬉しかったです!

スポンサーさんが現れてくれたことで、派遣託児サービスの利用が一気に現実的になってきました。

(後述)スポンサーさんとのやりとりについて

請求書の発行や入金方法など、スポンサーさんとのやりとりに関する内容は、ここに書き始めると長くなるので後述します。

1ヶ月半前

臨時託児室を提供する or しないを判断する

「託児室を提供する場所」「派遣託児サービスを依頼する業者」「サービス利用料を支払うための財源」の3つに目処が立てば、臨時託児室は提供可能と判断できます。

もしどれかが欠けてしまうようであれば、別の方法を検討するか、そもそも託児室の提供を断念する、という選択肢もあり得ます。

多くの勉強会やIT系イベントは営利目的ではないはずなので、無理のない範囲で「自分たちにできること」を検討しましょう。

いろんな好運が重なったおかげで、TokyoGirls.rbでは「派遣託児サービスを利用した臨時託児室は提供できる」と判断しました。

託児室利用者の当選ルールを決め、イベントページとは別のページで詳しく説明する

臨時託児室の詳細や注意事項をイベントページに記述すると、かなりボリュームが大きくなってしまうので、今回のイベントでは説明用のgistページを別途作成しました。

託児室について - TokyoGirls.rb Meetup vol.1 · GitHub

このページにおける重要な通知事項は、当選者の決定方法です。
TokyoGirls.rbでは「予算を固定して、定員を柔軟に変更する」というルールを採択しました。

これはすなわち、申込みがあったらあったぶんだけ受け入れるのではなく、事前に決めた予算を超える場合は託児利用を諦めていただくという方式です。

また、純粋な先着順ではなく、「予算を超える場合は、参加できる保護者の数が最大になるようにする」という指針で、運営サイドにて当選者を決定します。

保護者の人数だけでは託児費用を正確に見積もることはできない

託児にかかる費用はお子さんの年齢によって大きく変動します。
具体的に説明すると、大きいお子さんならスタッフさん1人でも複数人の託児可能ですが、0歳の赤ちゃんだとスタッフさん1人につき1人しか託児できません。

また、兄弟や姉妹がいる場合は、1人の保護者が2人以上のお子さんを連れてこられる可能性もあり得ます。

こういった理由があるため、イベントページで設定した定員(=保護者の人数)だけでは、託児費用を正確に見積もることができません。
そして、TokyoGirls.rbは有志のRubyistが開催する非営利の勉強会であるため、予算を無尽蔵に増やすこともできません。

このような事情があり、申し込まれた方全員に対して必ずしも託児サービスを提供できるとは限らないという話を、前述の詳細説明ページで予めお断りしておきました。

申込時アンケートに託児関連の入力項目を用意する

今回利用したTECH PLAYのイベントページでは、申込時にアンケートを採る機能が付いていました。
この機能を利用して、託児利用希望者には以下の内容を記入してもらいました。

  • 保護者の連絡先(メールアドレス)
  • イベント開催日時点でのお子さんの年齢または月例
  • お子さんの性別
  • アレルギーの有無
  • その他、備考や連絡事項等

年齢、性別、アレルギーの有無は、兄弟・姉妹での申込みを考慮して2名分、入力項目を用意しました。
ご兄弟が3名以上いる場合は備考欄に記入してもらうようにしましたが、今回の申込みでは最大でも2名でした。

保護者の方とは個別に連絡を取る必要が出てきますし、ポピンズさんもお子さんの人数や年齢がわからないと正確な見積もりができないので、これらの入力情報は託児室の準備を進める上で必須です。

1か月前

ポピンズさんに正式に託児サービスを依頼する

ポピンズさんの規定ではイベント当日の3週間前までに正式にサービスを依頼することになっています。
当日の1週間前までは派遣スタッフさんの人数も変更可能なので、この時点で全ての内容を確定させる必要はありません。

TokyoGirls.rbではイベントページを公開する数日前に、メールベースで正式に託児サービスを依頼しました。

イベントページを公開する

さて、いよいよイベントページを公開します。
TokyoGirls.rbでは一般参加者枠とは別に、独立した託児室利用枠を5名分用意しました。

TokyoGirls.rb Meetup vol.1|IT勉強会ならTECH PLAY[テックプレイ]
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申込種別については、イベントページ公開後、10日ほどでいったん募集を締切り、それから当選者を決定する「抽選制」を採用しました。
これは前述のとおり、先着順では託児費用を正確に見積もれないためです。

イベント公開後はさらなる周知のため、ブログでも再度告知しました。

「思ったほど申込者が増えない場合もある」という話もあったのでちょっと心配でしたが、数日で託児室利用枠が無事埋まりました😄

託児室利用者の当選者を決定する

託児室利用枠が埋まった段階で申込みがあったお子さんの情報をポピンズさんに伝えて、正確な見積もりを出してもらいました。
残念ながらすべてのお子さんを受け入れるとやはり予算を超えてしまうので、1名は落選(正確には補欠)となりました。

また、今回は0歳と7歳のご兄弟で申し込まれた方がいたのですが、0歳児の赤ちゃんは1人のスタッフさんが専任で面倒をみる必要があり、そうなると受け入れ可能な保護者の数が減ってしまいます。
そのため、その保護者の方に事情を伝えて7歳の上のお子さんのみを受け入れることで、ご了承いただきました(この話をお伝えするのは非常に心苦しかったです・・・)。

リソースが有限であることを自覚して冷静に判断を下す

もちろん、運営スタッフの間では託児スタッフさんを1名追加するために「スポンサーさんを追加募集するのはどうか」、もしくは「すでにやりとりしていたスポンサーさんに追加の協賛金をお願いすればいいのではないか」といった案も出ました。
しかし、この時点ですでに全運営スタッフが託児室提供以外のタスクをたくさん抱えており、スポンサーさんとのやりとりをさらに増やす余裕がなかったために、予算はこれ以上増やさないことに決めました。

イベントへの参加を希望する保護者の方の気持ちを想像すると、我々運営スタッフはつい、人情的に「なんとかして1人でも多くのお子さんを受け入れることはできないか」という気持ちになってしまいます。
ですが、有志で開催する非営利のイベントである以上、金銭的にも人的にもリソースは有限です。
なので、「可能な範囲で対応する、無理をしてまで託児室を提供しようとしない」という冷静な判断も、ときには必要になると思います。

当選者と補欠者にお知らせメールを送信する

当選者と補欠者を確定したら、イベントページから自動送信される通知メールとは別に、臨時託児室の当選者の方と補欠者の方それぞれに、僕から直接メールを送信しました。

当選者の方にはレンタルスペースの場所や、当日の集合日時といった詳細情報を載せたページのリンクをお知らせしました。

臨時託児室を利用される方へ(サンプル) - TokyoGirls.rb Meetup vol.1 · GitHub

また、万一メールが届いていなくて当選に気づかなかった、というトラブルが起きるといけないので、当選者の方には「必ず返信をお願いします」と依頼しておきました。

一方、補欠者の方には「託児室はキャンセル待ち状態なので、繰り上げ当選の可能性があります」「託児室利用は繰り上げ当選にならなくても、当日ご本人のみが参加することは可能です」との旨をお伝えしました。

半月前〜1週間前

ポピンズさんとの最終調整

半月前から1週間前の間はポピンズさんと次のようなやりとりをしていました。

  • ポピンズさんからお子さんやイベントスペースに関するチェックリスト(Excelファイル)が渡されるので、それに記入して提出する
  • ポピンズさんから契約書が郵送されるので、書名と捺印をして返送する

また、依頼する託児スタッフさんの人数はイベント1週間前に確定する必要があるため、1週間前を過ぎるとお子さんの人数を大きく変動させることはできなくなります。

イベント当日

イベント開始前:託児室の設営と託児の受付

さあ、なんだかんだであっという間にイベント当日がやってきました!

イベント本編は13時スタートですが、1時間前の12時からポピンズさんによる託児室の設営始まります。
TokyoGirls.rbの運営スタッフも1名、12時にレンタルスペースに向かってもらいました。

12時半から託児の受付開始です。
保護者の方は最初に直接託児室まで来てもらい、お子さんを預けてから会場に向かってもらいます。

全員分の受付が完了したら、あとはポピンズさんにお任せして、臨時託児室にいた運営スタッフも会場に戻りました。

ちなみに、1歳と5歳のご兄弟のうち、5歳のお子さんが体調不良のため当日キャンセルになりました。
お子さんが突然体調を崩すことはよくある話なので、これはやむを得ないですね。

イベント開催中 : スポンサーさんを託児室へご案内

イベント開催中は運営スタッフとして特に何もすることはありません。

ただし、今回はスポンサーさんの中に「託児室の様子を見てみたい」とおっしゃるスポンサーさんがおられたので、運営スタッフがイベント開催中にスポンサーさんを託児室まで案内することがありました。

イベント終了後 : お子さんの引き取りと託児室の片付け

イベント開催後は託児室を利用した保護者のみなさんと運営スタッフ1名が一緒に、レンタルスペースまでお子さんを迎えに行きました。

お子さんの引き取りが終わったら、ポピンズさんに託児室を片付けてもらい、託児室の提供はおしまいです。
大きな事故もなく、無事に終わって何よりでした😊

イベント開催後

保護者向けのアンケートに回答してもらう

イベントが終わった後も、いくつか重要なタスクが残っています。
そのひとつがアンケートです。

託児室利用者の感想は次回の改善に向けた貴重なフィードバックになります。
託児室の利用に関して、良かった点や改善できそうな点を回答してもらいましょう。

スポンサーさんや業者さんにお礼を伝える

イベントが終わったらはいさようなら、ではなく、今後も良好な関係を続けるために、スポンサーさんや業者さんにはひとことお礼を伝えることをお勧めします。
お礼だけではなく、託児室利用者の感想も一緒に伝えると、さらに喜んでもらえるかもしれません。

ブログで託児室付きの勉強会を開催したことを報告する + 知見や学びを共有する

これは絶対にしなければいけないタスクではありませんが、託児室付きの勉強会を開催したことをブログで報告すると良いかもしれません。

託児室付きの勉強会はまだまだ珍しいですし、ブログを使って周知すれば、良いPRになって次回のスポンサー募集が楽になるかもしれないからです。

TokyoGirls.rb Meetupでは僕も開催レポートブログを書きました。

男女の参加バランスが良く、託児室があって、懇親会でぼっちにならないRuby勉強会を開催しました #tokyogirlsrb - give IT a try

また、今ご覧になっているこのブログのように、託児室設置に関する知見や学びを紹介すると、他のイベント主催者も参考になって託児室付きの勉強会がもっと増えるかもしれません。

業者さんに託児サービス料を支払う

ポピンズさんの託児サービス料は後払いになります。
イベント終了後、請求書が届いたら、その内容に従って利用料を支払います。

運営スタッフ内でふりかえりを行う

イベントの記憶が薄れないうちに、スタッフ内で勉強会のふりかえりをすることをお勧めします。
臨時託児室の提供はどうだったか、次回はどう改善できるか、といった点についてスタッフ同士で話合ってみましょう。
もちろん、臨時託児室のみならず、イベント全体のKPTを議論するのも非常に良いプラクティスです。

スポンサーさんとのやりとりについて

さて、ここからあとは、後回しにしていたスポンサーさんとのやりとりについて説明します。

実はスポンサー付きの勉強会に自分が主催者として関わるのは、今回が初めての経験でした。
「とりあえずスポンサーさんは集まったけど、それからどうしたらいいの!?」と戸惑った点も多かったので、スポンサーさんとのやりとりに関する知見や学びをまとめてみます。

募集要項を先にまとめておく

今回はスポンサーさんが集まるかどうかまったく確信がなかったので、ブログ上で「託児スポンサーに興味がある企業さんは僕たちに声をかけてください」と呼びかけるだけの、少し消極的な募集方法になってしまいました。

ですが、今考えると募集要項を事前にまとめておき、スポンサー募集と同時に募集要項も提示した方が良かったなと思いました。

募集要項には以下のような事項をまとめておきます。

  • イベントの概要
  • 託児室の概要
  • スポンサーになるメリット
  • スポンサー特典
  • 協賛金の金額
  • 申込み方法
  • 請求から入金までの流れ

実際の募集要項のサンプルはこのあとで紹介します。

協賛金の金額をどう設定するか

協賛金の金額設定はなかなか悩ましい問題です。
たとえば今回のTokyoGirls.rbでは約11.5万円の費用をスポンサー5社で分担してもらったので、協賛金は1社あたり2.5万円になりました。
ですが、これは最初から決めていたわけではなく、今回はたまたま5社ぐらい集まったので、このような金額になっただけです。

もしかすると「全額サポートします!」という太っ腹なスポンサーさんが現れるかもしれませんし、反対に、「1万円ならサポートします」という会社が10社集まるかもしれません。

スポンサー企業さんにとって、いったいいくらぐらいだと「高い」と思われるのか、反対に「安い」と思われるのかも、僕のようなサラリーマンの金銭感覚ではいまいちピンと来ません。
(当然、企業さんによって基準が異なると思いますし、企業さんから見た「イベントの価値」や「スポンサーになるメリット」によっても左右されるので、一概に「これが正解」と言えるものはないんでしょうけど)

とりあえず、3社〜5社ぐらいを想定するのがベストかも?

ただ、1つ言えるのはスポンサー数は増やしすぎない方がよいということです。
今回は5社でしたが、スポンサーさんとのやりとりにもそれなりに手を取られるので、1人で応対するのはこれぐらいが限界かなと思いました。
ですので、「1万円で10社募集するパターン」はあまりお勧めできません。

とりあえず、「えいやー」で雑に金額を設定するなら、「見積もり額 ÷ 3〜5社で端数切り上げ」で計算してみると良いのではないでしょうか。
(このあたりのベストプラクティスをご存じの方がいたら教えてください🙏)

スポンサーが何社集まるかまったく予想が付かない、という場合は、正直に「託児室の見積もりは○○万円ぐらいです。1社あたりの協賛金の金額は、お申し込み後に相談させてください」と書いておくのが良いかもしれません。
見積額の「○○万円」が提示されていれば、少なくともそれを上回る額にならないことは企業さんも推測できるからです。

お金のやりとりは請求書ベース

次に僕が悩んだのが「どうやってお金をいただくのがいいんだろう?」ということです。

ネットでいろいろ調べてみると、こういう場合は請求書を発行して銀行口座へ振り込んでもらうケースが多いようです。
というわけで、僕個人の名前でこんな感じの請求書を作ってみました。

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さらに、こちらの手間を減らすために、次のような制限事項を付けさせてもらいました。

  • 押印なし
  • 郵送なし(PDFファイルをメールに添付して送付)
  • 振込の記録をもって領収書の代わりとさせていただく

この方法で大きなトラブルもなく、スポンサーさんから協賛金を振り込んでいただきました。

スポンサー募集要項のサンプル

今回のTokyoGirls.rb Meetupで用意したスポンサー募集要項のサンプルを、以下のリンク先に置いてみました。

託児室スポンサーシップに協賛してくださる企業/個人さまへ(サンプル) - TokyoGirls.rb meetup vol.1 · GitHub

この募集要項は「すでに興味をもってくださった企業さん向け」に作ったので、これからスポンサーを募集する場合はそのままでは使えませんが、ある程度は参考になるんじゃないかと思います。

参考 : 今回は採用を見送ったアイデアあれこれ

ところで、ここまではTokyoGirls.rb Meetup vol.1での実績をベースに、臨時託児室に関する知見を書いてきました。
ですが、最初から「こうするぞ!」と決めていたわけではなく、ことあるごとに「うおー、何が正解なのかさっぱりわからん!!😭」と、スタッフ全員頭をかきむしりながらここに至った、というのが実際です。

その証拠に、というわけではないですが、託児室設置について議論していたGitHub issueのコメントは全部で39件になっています。

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というわけで、このセクションでは採用には至らなかったものの、「こういうやり方も考えていました」というアイデアをいくつか紹介してみます。

派遣託児サービスを使わずに、会場内にキッズスペースを設ける

これは、「派遣託児サービスはお金がかかるし、スポンサーを募っても申込みがあるとは限らない」という考えから、なるべくお金を使わないやり方として上がった案です。
保護者の参加者はキッズスペース内でお子さんと一緒に講演を見てもらいます。

お金があまりかからないのはメリットですが、以下のようなデメリットもあります。

  • お子さんの泣き声や騒ぎ声が会場内に響いてしまう可能性が高い
  • 保護者の方が講演に集中できない恐れがある
  • キッズスペースとは別に個室がないと授乳やおむつの交換がしづらい
  • 万一、何か事故が起きたときに金銭的な補償がまったくない
  • マットやおもちゃ、絵本の類いを誰が用意するのか(購入?レンタル?)を考えなければいけない

特に「事故が起きたときに金銭的な補償がまったくない」というのは一番の懸念点になるかもしれません。
万一のリスクを保護者の方に全部押しつけてしまうのは、主催者としても非常に申し訳ない気持ちになってしまいます。

このように考えると、費用はかかるものの、ポピンズさんのように「万一事故が起きたら保険が適用されます」という専門業者に依頼した方が、保護者も主催者も安心できると思います(もちろん無事故で終わるのが一番良いのですが)。

会場内にパーティションを立てて臨時託児室にする(派遣託児サービスも利用する)

TECH PLAY SHIBUYAには託児室として使える個室がないので、最初は会場内にパーティションを立てて臨時託児室を作ろうと考えていました。
派遣託児サービスのスタッフさんも、そこでお子さんの面倒を見てもらいます。
ただ、これもやはり「お子さんの泣き声や騒ぎ声が会場内に響いてしまう」というデメリットがあります。

当初は「やむを得ないが、これで行こう」という話になっていたのですが、やはり懸念が消えないので、「会場内の託児スペースって、どう思いますか?」とアンケートを採ってみました。

このアンケートで返ってきた回答の多くは「託児室を提供してくれるのはありがたい」「子どもの声が聞こえても大丈夫」という好意的なもだったのですが、中には「子どもの声が聞こえてくるのはちょっと困る」という正直な意見もありました。

その中でも、個人的に「ああ、これはたしかにつらい……」と共感したのが、「他人のお子さんの泣き声なら許容できるが、自分の子どもの声が聞こえてきたら申し訳なくて発表に集中できない」という意見でした。

あー、わかる!わかります!!

この意見を読んで、僕は「うーん、やっぱり会場内の臨時託児室はイマイチかもしれない」と思うようになりました。

運営裏話 : レンタルスペースを借りるアイデアは知人に出してもらった

でも、かわりにどうすればいいか分からなくてずっと悩んでたんですが、ちょうどその頃、地元のRubyist仲間であるAkiさん(@spring_aki)から、「貸し会議室とか使ったらええんとちゃう?」というアドバイスをもらいました。

そのアドバイスをもらうまで僕たちの頭の中には「貸し会議室やレンタルスペースを借りる」という選択肢はまったくなかったので、これはナイスアイデアだと思いました!
これがきっかけで急転直下で近くのレンタルスペースを借りる方向に話が進みました。(Akiさん、どうもありがとう!!)

会場近くの一時預かりが可能なキッズルームにお子さんを預けてもらう

僕は利用したことはありませんが、世間には一時預かりが可能なキッズルームもあるようです。
ポピンズさんも渋谷にそのような施設を開設されています。

セルリアンタワーポピンズキッズルーム|保育・教育施設|ポピンズ

会場内に託児室として使える個室がない、近くに子どもが出入りできるレンタルスペースもない、という場合は、こういった施設を探してお子さんを預けてもらう(そして費用はスポンサーさんの協賛金でまかなう)のもひとつの手かもしれません。
ただし、施設ごとに定員が決まっているので、もし利用するなら早めに運営サイドで予約しておいた方がいいと思います。

スポンサーなしで託児サービス費用を集める方法あれこれ

スポンサーなしで託児サービス費用を集める方法もいろいろ考えてみました。

  • 参加費を上げて、託児サービス費用に充てる
  • 保護者の方にも一定の費用を負担していただく
  • 募金箱を用意して、募金を募る
  • イベントTシャツ等の物販を行って、その利益を託児サービス費用に充てる
  • スポンサー協賛金と上記の収入を併用する

が、どの方法も「当日の出席者数や協力者数によっては赤字になってしまう」というリスクがあります(物販だとさらに、グッズを準備する手間や在庫を抱えてしまうリスクもあります)。

当日ドタキャンのリスクを避けるために「返金不可の前払い方式にする」という作戦も考えられますが、自分が参加者の立場になってみると「返金不可の前払い方式」は結構敷居が高いです。
前払い方式を採用することで、「かえって人が集まらない」「イベントの数日前になってようやく申込みが増え始める」といった現象も起きるかもしれません。
特にTokyoGirls.rbのように、歴史も実績もまったくないイベントであれば、申し込む側も「これ、前払いでお金を払っても大丈夫か?」と不安に思うことでしょう。

なので、主催者としては金銭的なリスクを早めに潰すために、スポンサーさんを募って協賛金を確保するのがベターなんじゃないかと思います。
(ちなみに、スポンサーさんの申込みが少なくて協賛金が不足した場合は、我々運営スタッフの勤務先にスポンサー協力をお願いしようと考えていました。)

臨時託児室を利用された保護者のみなさんの声

さて、最後にTokyoGirls.rbの臨時託児室を利用された保護者のみなさんの声をいくつかご紹介します。

託児室のおかげで、身一つでミートアップを満喫できた

我が子は昼寝してしまうくらい、リラックスして過ごせたようです。保育者の皆さんにはとても丁寧に対応していただきました。
託児室があるお陰で、身一つでミートアップを満喫することができました。
託児を用意してくださり本当にありがとうございました!

子どもが長時間お昼寝するぐらい、リラックスできていた

保育士さんのベテラン感にとても安心感がありました。
用意していただいた玩具なども子供のツボを付いているものが用意されていて、さすがだなと感動してしまいました。
子供は3時間ほどお昼寝していたとお迎え時にお話をお聞きしましたが、そのくらいリラックスして過ごせていたんだなと安心しました。
とても素晴らしい託児所を用意していただけたこと大変感謝しております。
ありがとうございました!

このような託児所付きイベントがもっと増えてほしい

預ける際は予想通りぐずりましたが迎えに行くと、おもちゃを離さず帰りたくないと首を横に振られましたΣ(・∀・;)ポピンズさんの真っ白な佇まいが眩しかったです。
不安・不快になるような点は一切ありませんでした。むしろ我が子の泣き声が他のスペースを利用されている方へご迷惑だったのでは・・・という懸念があります・・でもイベント会場内での保育はやはり難しかったのではと思いました。
このような託児所付きイベントがもっと増えて欲しいので、私にできる協力はさせて頂きたいです!なにかお力になれそうなことがもしあれば是非お声がけください。


・・・と、このように、ほとんどの方から非常に好意的なフィードバックをいただくことができました。
こういった声を聞くと、託児室を提供して良かったな〜としみじみ思います😊

まとめ : 最初にWhyを明確にしておくのがくじけないコツ

ここまで読んでくださったみなさん、どうもお疲れ様でした!!
今回のエントリは僕のブログの中でもたぶん、歴代1位か2位を争うぐらいの長文エントリになってしまいました。

最初は「託児室を提供してみたい」と思って読み始めた方も、「こんなに大変だとは思わなかった。これは無理だわ」と思っているかもしれません(苦笑)。

たしかにすごく大変ではあったのですが、今振り返ってみると、最初に「なぜ託児室を提供するのか」というその理由を明確にしていたのが良かったと思います。
以下は運営スタッフ向けのGitHub issueで、託児室の検討を始めた頃に僕が投稿したコメントです。

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「面白そう!行ってみたい!!でも子どもがいるから行きづらい😢」ではなく、子どもがいてもいなくても、「行きたい」という気持ちさえあれば気軽に行ける勉強会にしたい

「託児室を提供する」というWhatだけにこだわりすぎると、「託児室を提供する上でのハードル」がいくつも立ちはだかったときに、心がくじけてしまうかもしれません。

ですが、「なぜ託児室を提供するのか?それはお子さんのありなしに関わらず、誰もが気軽に行ける勉強会にしたいからだ」というWhyを明確にしておけば、育児真っ最中のパパ・ママエンジニアさんたちを頭に思い浮かべて、「大変だけど、なんとかしよう、もうちょっと頑張ろう」という気持ちになれたりします(もちろん、限界を超えるような無理をしてはいけませんが)。

また、Whyが明確であれば「託児室以外の方法で、目的を達成できる何か」を思いついたりするかもしれません。

これから託児室の提供を検討されている方は、ぜひ最初に「自分がなぜ託児室を提供しようとしているのか」を明文化してみてください。

知見を共有しあって、子育て中でもIT勉強会に参加しやすい世の中に❤️

Whyの部分は人によって異なると思いますが、託児室運営の知見やノウハウに関してはある程度再利用が可能なはずです。
僕がTokyoGirls.rbの託児室提供で得た知見は、ほぼすべてこのエントリにアウトプットしました。

このエントリの知見がみなさんに再利用されて、託児室付きのIT勉強会やテック系カンファレンスが増えることを期待しています😉

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謝辞

TokyoGirls.rb Meetup vol.1の託児室運営に協力してくださった、以下のみなさんに感謝いたします。

みなさんどうもありがとうございました!

男女の参加バランスが良く、託児室があって、懇親会でぼっちにならないRuby勉強会を開催しました #tokyogirlsrb

はじめに

このブログでも何度か紹介してきた「女性も参加しやすい(でも女性限定ではない)Ruby勉強会」、TokyoGirls.rb Meetupの記念すべき第1回を2019年3月2日に開催しました。

TokyoGirls.rb Meetupを開催しようと思った目的や背景は以前書いたこちらのエントリにまとめてあります。

今回のエントリでは、「男女の参加比率」「無料託児室」「懇親会のぼっち対策」という3つのポイントに注目しながら、当日の様子や運営上の工夫を書いてみたいと思います。

【もくじ】

ポイントその1. 「男性ばかり」でも「女性ばかり」でもない男女比率になりました

この勉強会では女性限定の一般参加枠を35名、性別不問の一般参加枠を30名用意していました。
当日の参加者は女性が32名、男性が22名だったので、男女の比率が約2対3と、女性の方がやや多い勉強会になりました。

こんなふうに女性も男性も十分な人数がいて、どちらか一方に偏らない勉強会というのは、かなり珍しいのではないでしょうか?
少なくとも僕自身はこんな経験は今まで一度もありませんでした。
こんな光景が見られただけでも、僕個人は「この勉強会を開催して良かった」としみじみ感じました。

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登壇者の講演を聴いている参加者のみなさん(Photo by りほやん)

「男性ばかり」または「女性ばかり」のコミュニティで起こりうる弊害については、登壇者のようさんが発表スライド内で説明してくれています。

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Rubyでプログラミングの楽しさを知ろう!より引用

ただし、RailsGirlsのように、アフォーマティブ・アクションとして「女性限定」のテック系イベントを開催するのは、たとえ女性限定であっても問題なく、むしろ良いことだと僕は考えています。

参加者の感想(と僕自身の感想)

イベントのオープニングで僕はこんなスライドを見せました。

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女性ITエンジニアの中にも「私は女性だけど、特に抵抗はありません」という人がいるのは十分理解しています。
ですが、それでもやはり「男性エンジニアが大半を占めるコミュニティだと、心理的に抵抗がある」という女性はそれなりにいると思います。

そして実際、懇親会や開催後のアンケートなどで参加者のみなさんの声を聞いてみると、やはり「こういう勉強会なら参加しやすかった」「いつもは本編が終わったらすぐ帰ってたけど、これなら懇親会もすごく楽しめた」という女性からの感想をたくさんいただきました。

なので、「男性中心のコミュニティだと飛び込むのに躊躇してしまう女性エンジニアは一定数いる」というのが実情で、そうした方たちのハードルを下げる意味でも今回のような勉強会のニーズは確実にあると僕は感じました。

ただし、僕は「女性向けの勉強会を提供すること」がゴールだとは思っていません。
最終的には「開発の現場や勉強会に当たり前のように女性がいる」状態になってほしいと考えています。
そうなればTokyoGirls.rbは晴れてお役御免、任務完了、全員解散!ということになります。

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これとまったく同じことを登壇者の一人である、しなもんさんが登壇後のブログに書いておられました。
これは本当にそのとおりです!

こういう活動が続いて、最終的にエンジニア界隈での男女比が気にならない状態になって、
girlsっていう単語をつけずとも、枠を半分にせずともバランスの良い状態になるといいなと思っていて、
でも最初にRailsGirlsのコーチをした4年ぐらい前から考えると随分と近づいてる気もします。
いつかそういう日がくるといいなぁ、そのための活動には積極的に参加したいな、と思うのでした。
(もしそういう話があったらお声がけください!)
 

TokyoGirls.rb Meetup vol.1で「システム障害との向き合い方」を発表した - mosowave

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登壇者席でイベントを楽しんでいる登壇者のみなさん(Photo by りほやん)

男性エンジニアにも何かしらの気づきを与えられる勉強会でした

男女の参加比率をバランス良くしたかった理由のひとつとして、「男性エンジニアと女性エンジニアの相互理解を深めたい」という思いもありました。
実際、そういう効果も確実にあったんじゃないかと考えています。

たとえば、男性の参加者からは「女性が働きやすい環境作りについて、何か改善できることはないか考えるきっかけになった」という感想をもらいました。

また、男女比が2対3で、そこまで極端に女性が多い状況ではなかったにも関わらず、「女性が多くて、ちょっと怖気(おじけ)づいてしまった。逆の立場になってみて女性エンジニアの気持ちが少し分かった気がした」と話す男性エンジニアもいました。

もちろん何を感じるかは人それぞれだと思いますが、このブログを読んで状況を理解したつもりになるのと、実際に参加してみてその場の空気を感じるのとでは、かなり大きな違いがあると思います。

ですので、男性エンジニアのみなさんも、次回のTokyoGirls.rb Meetupにぜひ足を運んでみてほしいと思います。

「自分は男性だし、興味がないなあ」という方も

「自分は男性エンジニアだし、特に何も困っていないので、こういったイベントに興味がない」という場合でも、もしかすると何年後かには状況が変わっているかもしれません。

たとえば将来、女の子のお子さんが生まれて、その娘さんが「エンジニアになりたい」と言い始めるかもしれません。
そうなったらこの話題は他人事ではなくなってきます。
もしくは娘さんではなく、自分のパートナーが、というパターンもあり得るでしょう。

今から未来のことを予測するのは難しいですが、男性エンジニアにとっても、この先もずっと他人事で終わるとは限らないことを、心の片隅に留めておいてほしいなと思います。

ポイントその2. 無料の臨時託児室を提供しました

今回開催したTokyoGirls.rb Meetupの大きな特徴のひとつとして、パパエンジニア、ママエンジニアのどちらも利用可能な臨時託児室の提供があります。

「女性エンジニアが気軽に参加しやすい勉強会を開催したい」と考えたときに、僕は「女性エンジニアだけど(もしくはエンジニアを目指しているけど)、小さい子どもがいるので行きたくても行けない」という人たちの存在がふと頭に浮かびました。

これは別に具体的な誰かを想像したわけではなく、「たぶんそういう人もいるだろうな」というレベルの想像です。

(注:本来であれば子育ては女性だけの仕事ではないので、女性エンジニアの姿だけを想像するのは間違いです。ですが、正直なことをいえば、このとき僕は男性エンジニアではなく、女性エンジニアの姿が頭に浮かびました)

そこで、「託児室もあったらいいかもね」という意見を出してみたところ、運営スタッフからも「託児室、いいですね!」という声が上がり、臨時託児室の提供を検討することになりました。

なかなか大変だった臨時託児室の提供までの道のり(後日別エントリで紹介予定)

IT系イベントにおける臨時託児室の提供は過去にいくつか事例があり、ネット上にも運営サイドから見た知見が残っています。
たとえば、以下のリンクはRubyKaigi 2016における、託児室提供に関するまとめ記事です(執筆者は万葉のとりいさんです)。

とはいえ、まだまだ一般的とは言えない状況であるため、臨時託児室の提供を実現するまでにいろんな場面で頭を悩ませました。

しかし、そのおかげで、僕も託児室運営については、かなりたくさんの知見を得ることができました。
ただ、これを今語り始めるとかなり長くなってしまいます。ですので、この件は後日別エントリとしてまとめることにします。
IT勉強会等で託児室の提供を検討されている方は、そちらのエントリをお待ちください。

2019.3.15追記 : 託児室運営の知見をブログにまとめました

託児室運営に関する知見は以下のブログにまとめました。
かなりの長文ですが、興味がある方はぜひチェックしてみてください。

blog.jnito.com

臨時託児室はとても好評でした

臨時託児室には5名(お子さんベースでは7名)の申込みがあり、そのうちの4名(お子さんベースでは5名)を受け入れることができました。
ほとんどの親御さんから「とてもありがたかった」「プロのスタッフさんが見てくれたので安心感があった」と嬉しい言葉をいただくことができました。

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臨時託児室のようす(Photo by りさきゃん)

託児室に関わってくれた方々への謝辞

臨時託児室にかかる費用はすべてスポンサー企業・個人さんの協賛金でまかないました。
こころよく協力してくださった、アクトインディ株式会社さま、株式会社万葉さま、株式会社ユカシカドさま、GMOペパボ株式会社さま、高橋達さまに心より感謝申し上げます。

また、託児室運営に関する疑問や懸念については、前述のまとめ記事の執筆者でもある株式会社万葉のとりいさん(@yotii23)に随時相談させてもらいました。
どうもありがとうございました。

最後に、素敵な託児サービスを提供してくださった株式会社ポピンズさんにもお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。

ポイントその3. 懇親会の「ぼっち対策」を充実させました

今回のTokyoGirls.rb Meetupでは、本編終了後に会場内でケータリング付きの懇親会を開催しました。

ただし、普通に「さあ、みなさん、お食事とおしゃべりをお楽しみください!」で始めるのではなく、ちょっとした工夫を入れてみました。
というのも、いきなり「さあ、どうぞ!」で始めてしまうと、

  • 知らない人ばかりで、誰と話せばいいのかわからない😖
  • 初対面の人といったい何を話せばいいのか分からない😖

という人が続出して、ぼっち状態になる人が出てくるからです。

いや、「出てくるから」というか、「僕自身がそういう気持ちになりやすいから」というのが本当の理由です(苦笑)。

でも実際、ふと気づくとぼっちになっていて、なんとも言えない気持ちで懇親会をやり過ごす人って結構多いんじゃないでしょうか。
たとえば、以下のツイートのまとめ記事を開いてみると、まさにそんなエピソードが満載です。

ぼっちが懇親会でするべき97のこと - Togetter

懇親会ぼっちを防止する3つの施策

そこで今回は「ぼっち防止策」として、

  • ある条件でグルーピングして、まずはそのグループ内で話してもらう
  • 会話のきっかけを作る会話テンプレートを提供する
  • ほとんどの人は自分のことをコミュ障だと思っていることを理解してもらう

という3つの施策を懇親会前に実施しました。

その具体的な内容を以下で説明します。

施策1. 使っているエディタ/IDEでアンチボッチ・グルーピング

今回はグルーピングの条件として、普段愛用しているエディタやIDEを使ってみました。
具体的には以下のようなグループ分けです。

  • Vim
  • Emacs
  • VS Code
  • RubyMine または IntelliJ
  • その他(Atom、Cloud9、Progate、秀丸、etc)

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(注:「アンチボッチ」というネーミングは僕が去年参加した「オープンセミナー2018@岡山」での「アンチボッチランチ」を参考にしました。アンチボッチランチはRubyKaigi2011で初めて行われた取り組みのようです - 参考1参考2

比較的プログラミング初心者の方が多かったせいか、VS Codeが多数で、Emacsはほぼゼロ(スポンサー登壇者の中に数名いただけ)という結果になりました(苦笑)。

しかし、このままだとバランスがあまりに悪いので、「Emacsを知ってる人はEmacsグループへ!」とか「Eclipseを使ったことがある人は同じIDEだからRubyMineグループへ!」といった追加の条件を付けて、ある程度グループの人数が均等になるようにしてみました。

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Emacsを知ってる人は挙手!(Photo by fuku_tech)

施策2. 会話のテンプレートを提供

初対面の人同士だと「こんにちは。どうも初めまして」のあとが、なかなか続かないかもしれません。
というわけで、懇親会中は会場のスクリーンに次のような会話のテンプレートを表示しておきました。

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施策3. みんな「コミュ障」であることを強調

男女を問わず、ITエンジニアは自分のことを「コミュ障」だと考えている人が非常に多いです。
僕だって人と話すのはあまり得意な方ではありません。

にもかかわらず、もしくすると大半のエンジニアは「コミュ障なのは自分だけ」「他の人はみんな仲良くしゃべってるのに、自分だけ仲良くできない」と思っていたりするかもしれません。

であれば、「いやいや、そんなことないですよ。コミュ障だと思っているのはお互い様ですよ」ということを予め伝えておけば、知らない人同士でも互いに優しく接することができるんじゃないでしょうか?

というわけで、懇親会を始める前に「コミュ障だと思っているのはあなただけではありませんよ!」ということを強調して説明しておきました。

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さらに:初心者の参加者が多いことも事前に告知

また、オープニングでは事前アンケートの回答を元にした参加者のプログラミング歴の分布も公開しました。

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上の図を見てもらえばわかるとおり、今回の勉強会では全体の約4分の3がプログラミング歴3年以下の方で占められていました。

隣の人が誰だかわからない状況では、自分だけが初心者で、周りはみんな百戦錬磨の熟練者ばかりに見えてビビッてしまうかもしれません。
ですが、具体的な数字を提供することで、「初心者は自分だけではない」ということを理解してもらおうと僕は考えました。

結果は・・・大成功!

こういった工夫をこらしたせいか、懇親会をスタートさせてみると、出だしから全員がわいわいと話し始めて、懇親会中はぼっちの人をほとんど見かけませんでした。

運営スタッフには「ぼっちの人を見かけたら、声をかけてぼっちを解消する」というタスクが与えられていたのですが、ぼっちの人が全然いなくて「ぼっちの人を探す運営スタッフだけがぼっちになっている」という奇妙な現象が発生しました😅

もともと懇親会の時間は40分しかなかったので、あっという間に時間が過ぎてしまい、みんなおしゃべりばかりするので用意した食べ物がほとんど減らないという嬉しい(?)誤算も起きました。

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懇親会でおしゃべりを楽しむ参加者のみなさん(Photo by りさきゃん)

開催後のアンケートでも「手厚いぼっち対策をしてくれたのが良かった」という声をいくつも見かけました。

というわけで、この対策はなかなか良かったと思います。
そして次回はもうちょっと懇親会の時間を長めに取ろうと思います!

2020.1.24追記 : 第2回ミートアップの工夫や施策をブログにまとめました

第2回ミートアップで実践した工夫や施策を以下のエントリにまとめました。
こちらもあわせてどうぞ!

blog.jnito.com

その他、本イベントに関する裏話やエピソード

どういう発表をお願いしていたのか

登壇内容のレベルとしてはRuby初心者から中級者向け(カレーでいうと甘口から中辛ぐらい)で、登壇テーマとしてはテック寄りとキャリア寄りのものを半々に、というのが、運営サイドで企画していた内容でした。

しなもんさんとようさんには少しテクニカルな話を、かなきゃんさんとかとりえさんにはキャリア寄りの話をお願いしていました。

また、事前アンケートで集まったプログラミング歴の分布は、事前に登壇者のみなさんにお知らせして、登壇内容の難易度レベルを検討する際の参考資料にしてもらいました。

女性が多い勉強会ならではのエピソード

どの発表も登壇後にたくさんの質問が出ました。しかも、ほとんどが女性からの質問でした。
男性よりも女性の方が積極的に質問する勉強会というのも、そんなにないかもしれません。

また、勉強会にしては珍しく(?)、休憩時間には女子トイレに列ができていました。
それだけ女性が多かったということで、ある意味嬉しいことなのですが、実際使おうとしていた人はちょっと困ったかもしれません(ごめんなさい🙏)。

アンチハラスメントポリシーを策定していました

イベント開催中に(もしくは開催後に)、参加者間で何かしらのトラブルが起きるといけないので、念のためアンチハラスメントポリシーを策定し、参加者に周知していました。

TokyoGirls.rb アンチハラスメントポリシー · GitHub

幸いなことに運営スタッフの対応を要するようなトラブルは何も起きず、平和にイベントは終わりましたが、万一何か起きたときはこのポリシーに従って対処できるので、事前に準備しておいて良かったなと思います。

なお、このアンチハラスメントポリシーはCC BY 4.0で提供されているので、どのコミュニティでも再利用可能です。
詳しくは以下のエントリをご覧ください。


まとめ

というわけで、このエントリでは先日開催されたTokyoGirls.rb Meetup vol.1の開催レポートをまとめてみました。

参加してくれたみなさん、登壇者のみなさん、スポンサーのみなさん、そして一緒に運営をがんばってくれたスタッフのみんな、どうもありがとうございました!
会場提供をしてくれたTECH PLAYさんと、後援という形で関わってもらった日本Rubyの会の方々にも感謝します。
みなさんのおかげで、今までにはなかった新しいRuby勉強会が開催できました😄

次回の予定は?

もちろん、TokyoGirls.rb Meetupはこの1回で終わりにするつもりはありません。
第2回の具体的な日程は未定ですが、できれば半年後ぐらいにやりたいなと考えています。
次回の詳細が決まった際はみなさん、よろしくお願いします!

もし、次回は自分も登壇してみたい、運営スタッフとしてイベントを盛り上げたい、スポンサーとして協力したい、といった方がおられましたら、気軽にお声がけください。

他の地域や他の言語コミュニティでもぜひ!

また、こういった形式のイベントは他の地域や他の言語コミュニティでももっと活発に開催されてほしいなと思います。
決して僕たちの専売特許にするつもりはないので、「面白そう!うちでもやってみたい」と思った方はぜひアクションを起こしてみてください。

そもそも僕は東京ではなく、関西在住の人間なので、関西でも同じ形式のイベントをやってみたいですね。(名前はKansaiGirls.rbになるのかな??)

主催者が何か特別な配慮をしなくても、女性エンジニアと男性エンジニアのバランスがいい状態に保たれるITエンジニアの世界をみんなで目指していきましょう!

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最後に全員で集合写真を撮りました(Photo by crafter_gene)

参考資料1:当日の登壇資料

どの発表も期待以上の内容で、スタッフ全員感激していました😭
登壇者のみなさん、どうもありがとうございました!

なお、各登壇者の発表の様子は動画に収めてあり、後日YouTubeにアップする予定です。

かなきゃんさん
好きなことを仕事に エンジニアはいいぞ😉/ TokyoGirlsrb - Speaker Deck


しなもんさん
システム障害との向き合い方 @sinamon129 #tokyogirlsrb - Speaker Deck


ようさん
Rubyでプログラミングの楽しさを知ろう!
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かとりえさん
チームの変化は私の変化!チームとともに成長する! - Speaker Deck


万葉・とりいさん(スポンサーLT)
株式会社万葉会社説明 #tokyogirlsrb - Speaker Deck


ユカシカド・寺田さん(スポンサーLT)
ヘルシーにやっていく - Speaker Deck


GMOペパボ・つみちゃんさん(スポンサーLT)
新卒エンジニア研修での学び - Speaker Deck


高橋達さん(スポンサーLT)


オープニング / 懇親会の説明 / クロージング
僕がオープニングで使ったスライドです。
ただし、28枚目から36枚目は懇親会前に使ったページで、37枚目から42枚目はクロージングで使ったスライドになります。

TokyoGirls.rb Meetup vol.1 OPENING #tokyogirlsrb - Speaker Deck

参考資料3:参加されたみなさんの感想ツイート

開催後に投稿された感想ツイートをいくつかピックアップしてみました。

その他、イベント当日のツイートは以下のページにまとめてあります。
当日の雰囲気を知りたい方はこちらをどうぞ!

自由に再利用&改変可能(CC BY)なアンチハラスメントポリシーを作成しました #tokyogirlsrb

はじめに

2019年3月2日に開催されるTokyoGirls.rb Meetup vol.1の開催に向けて、TokyoGirls.rbでは独自のアンチハラスメントポリシーを作成しました。
このアンチハラスメントポリシーは、クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際(CC BY 4.0)ライセンスで公開しているため、どのコミュニティでも自由に再利用および改変することができます。

このエントリではこのアンチハラスメントポリシーに関する詳しい情報を紹介します。

【もくじ】

Cotula turbinata flowerhead NC8

そもそも「アンチハラスメントポリシー」って何?

アンチハラスメントポリシーという言葉の意味を分解すると、以下のようになります。

  • アンチ=反〜、対〜の意味を表す接頭語
  • ハラスメント=いやがらせ
  • ポリシー=方針、考え方、行動原則

ですので、日本語に直訳すると「反いやがらせ方針」や「反いやがらせ原則」になるでしょうか。

ネットを調べてみましたが、そのまま「アンチハラスメントポリシー」とカタカナで書かれることが多く、明確な日本語訳は見当たりませんでした。

雑に意訳するなら「イベントに来た人たちが嫌な思いをしないようにするための共通ルール」みたいになるのかなー、と思います。

アンチハラスメントポリシーを策定する動機

TokyoGirls.rbは「女性も参加しやすい(でも女性限定ではない)Ruby勉強会」をコンセプトにしています。

イベントの趣旨をちゃんと理解してくれている人なら、あからさまなハラスメント(いやがらせ)をする人はおそらくいないと思うのですが、それでもたくさんの人が集まるので、絶対にトラブルが起きないとは言い切れません。

そこで予めルールや原則を参加者に周知しておくことで、トラブルを未然に防ぎ、このミートアップに申し込んでくれた人全員が安心して来場できるようにしたいと考え、アンチハラスメントポリシーを策定することにしました。

また、万一トラブルが発生した場合も、アンチハラスメントポリシーがあればそれを根拠にして、運営スタッフが自信をもってトラブルに対処できます。

このように、アンチハラスメントポリシーの策定はトラブルの予防と、トラブル発生時の被害を最小限に食い止めることが主な動機になっています。

で、どんなアンチハラスメントポリシーなの?

TokyoGirls.rbのアンチハラスメントポリシーは以下のURLで公開しています。

https://gist.github.com/JunichiIto/7a080f1cfb0ae27ef600c14b94a02db7

具体的な文面は以下のとおりです。

このアンチハラスメントポリシーの特徴

アンチハラスメントポリシーの文面はRubyKaigiやRuby25など、既存のアンチハラスメントポリシーを参考にさせてもらっています。
ですが、それらを全面的に拝借するのではなく、いくつか独自のアレンジを加えています。

見出しを付けて文書構造をわかりやすく

このアンチハラスメントポリシーには、「対象者」や「禁止行為」といった見出しを付けています。
こうすることで、最初から最後まで文章を目で追わなくとも、見出しだけに着目するだけで「このセクションで語られていることは何か」を把握できるはずです。
(コンピュータ用語でいうところの、シーケンシャルアクセスとランダムアクセスみたいな感じですね)

文章は極力簡潔に

アンチハラスメントポリシーはイベントの参加者全員が共通認識として理解しておくべきルールです。
なので、あれもこれも盛り込んだ重厚長大な文章にするのではなく、なるべくさっと読めて「なるほど、わかった」と思えるような文章の方が、「みんなに理解してもらう」という目的においては良いはずです。
そのために、このアンチハラスメントポリシーはなるべく簡潔な文章で書くことを心がけました。

あえて強い言葉を使わない

このアンチハラスメントポリシーでは、ポリシーに違反した場合の対処方法として「退場させます」「今後のイベントも出入り禁止にします」「場合によっては警察に通報します」等の強い言葉(強い警告)をあえて明記していません。

これは運営サイドが強権的な態度を見せれば見せるほど、「真面目な普通の参加者(=まったく問題を起こさない人たち)」が萎縮してしまうのではないかと考えたからです。

いくら強い言葉を使ったところで、無自覚な人による「うっかり事故」は起きてしまうときは起きてしまいますし、万一、本当に悪意を持った人が参加していたらどんな警告も無視すると思います。(もちろん、トラブルゼロで済むことが最善なのは言うまでもありません)

ただし、明記はしていないだけで、悪質なハラスメントが発生した場合は運営スタッフはしかるべきアクションを取ります。
その意思を示しているのが以下の2文です。

我々運営スタッフは、ハラスメントに直面している参加者の心理的、身体的な安全を、全力で確保するように努めます。

また、ハラスメント行為をやめるように要請された参加者は、運営スタッフの指示に直ちに従ってください。

「退場させます」「出入り禁止にします」「警察に通報します」といった具体的なアクションは、上の2文に含まれているものとお考えください。

自由に再利用と改変ができるライセンスにした

今回のTokyoGirls.rbの取り組みを見て、「よし、うちのコミュニティでもアンチハラスメントポリシーを作成するぞ!」と思っても、ゼロからアンチハラスメントポリシーを考えるのは結構大変です。
また、現実的にはゼロから文面を考える人よりも、既存のアンチハラスメントポリシーを参考にしながら作る人の方が多いはずです。(僕もそうでした)

そこで、これからアンチハラスメントポリシーを策定しようと考えている人たちのために、TokyoGirls.rbのアンチハラスメントポリシーは、クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際(CC BY 4.0)ライセンスで公開することにしました。

Creative Commons — 表示 4.0 国際 — CC BY 4.0

CC BYは比較的制約の少ないライセンスで、

  • 商用利用も含めて再利用が可能
  • 改変も自由

になっています。

ですので、この文面をほぼそのままご自身のコミュニティのアンチハラスメントポリシーとして利用してもらっても良いですし、必要に応じて内容を削ったり追加したりしても構いません。

ただし、再利用する場合は、

このアンチハラスメントポリシーは、CC-BY-4.0で公開されている「TokyoGirls.rb アンチハラスメントポリシー」を元に作成しています。

のようなクレジットを明記するようにお願いします。(これはCC BYに定義されている利用条件です)

アンチハラスメントポリシーがあって困る場面は少ない、いや、むしろあった方がみんな安心してイベントに参加できると思うので、これを機にいろんなコミュニティで積極的に採用されていってほしいなと僕は考えています。

まとめ:冷たい鎖ではなく、温かい日差しとしてのアンチハラスメントポリシー

というわけで、このエントリではTokyoGirls.rbで策定したアンチハラスメントポリシーを紹介しました。

こういったルールを作ると、「これはいいの?ダメなの?」「こんなときはどうなの?」みたいな個々の事象に関する疑問が出てくるかもしれません。
しかし、僕としては「あれはダメ、これはOK」と細かいルールをいちいち増やしたくありません。
禁止事項を増やしていくとキリがないですし、そうなっていくと「ルールに書いてないんだから、別にいいじゃん」と子どもみたいなことを言う人が出てきかねません。

そうではなく、もっとメタな視点で、

  • 隣にいる参加者が笑顔で帰るためにはどう行動したらいいか?
  • 「次もあの人が来るんだったら、もう自分は参加しないでおこうかな」と相手を悲しい気持ちにさせないためにはどうしたらいいか?

ということを考えてみてほしいです。

そんなふうに相手の立場や気持ちをちょっとだけ想像できれば、細かくルールを定めなくとも、自ずと自分が取るべき行動が見えてくるはずです。

このアンチハラスメントポリシーが「参加者のみなさんの自由を奪う冷たい鎖」ではなく、「思いやりの気持ちを芽生えさせる温かい日差し」になってくれれば嬉しいです。

このポリシーの「さいごに」で書いた文章には、その思いが込められています。

当ポリシーは禁止事項を増やして、みなさんの自由を制限するために策定されたわけではありません。

私たちは運営スタッフは次のような思いで当ポリシーを策定しました。

  • 参加者のみなさんが笑顔で帰ってほしい
  • 不安な気持ちやモヤモヤした感情を抱えることなく、素直に「また来たい」と思ってほしい

わざわざ厳格なルールを定めなくとも、参加者ひとりひとりが「ちょっとだけ、相手の立場や気持ちを想像してみること」を心がければ、上記の願いは容易に叶えられるはずです。

誰もが気軽に参加しやすいイベントを維持するために、みなさんのご理解とご協力をよろしくお願いします。
 

TokyoGirls.rb アンチハラスメントポリシー · GitHub

参考文献

TokyoGirls.rbのアンチハラスメントポリシーは、以下のアンチハラスメントポリシーやガイドラインを参考にして策定しました。

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2019年3月2日に開催されるTokyoGirls.rb Meetup vol.1の詳細については、こちらのエントリをご覧ください。
blog.jnito.com