はじめに
僕は前職から今まで、ずっとラップトップPCをメインマシンで使っています。
そしてこれまではラップトップの標準キーボードを使う人でした。
なぜなら外部のデバイスが増えれば増えるほどケーブルの脱着が面倒になるからです。
しかし、最近どうもMacBook Proの「ペッタンコキーボード」に嫌気がさしてきて「ちゃんとしたキーボードでコードやブログを打ちたいな~」と思うようになってきました。
そこでかれこれ6~7年ぶりに外付けキーボードを使い始めました。
外付けキーボードの導入に合わせて、開発環境のレイアウトも新しくしてみました。
今の開発環境はこんな感じになっています。
iiyamaの外部ディスプレイ(ProLite XB2485WSU)がメインで、MacBook Proをサブとして使っています。
また、ポインティングデバイスにはAppleのMagic TrackPadを使っています。
以前は逆にMacBook Proをメインディスプレイにして、iiyamaの外部ディスプレイをサブとして使っていました。
メインディスプレイが広くなったので、以前よりも快適に作業できるようになりました。
まあRetinaではなくなったので画面のドットが若干気になるといえば気になるのですが、慣れてしまえばそれほど問題ではありません。
ところで、僕が選んだのは東プレのRealForce 87UB(SE170S)というモデルです。
今回のエントリではこのキーボードについてあれこれ書いてみたいと思います。
RealForce 87UB(SE170S)を選択した理由
今までそれほど外付けキーボードには興味がなかったので、プログラマ向けのキーボードと言えばPFUのHappy Hacking Keyboard(HHKB)ぐらいしか思いつきませんでした。
なので、当初は「プログラマはやっぱりHHKBかな~」と思っていたのですが・・・。
選択ポイントその1: MacBook Proと同じUS配列であること
HHKBのキー配列を見てみると何かおかしい。
同じUS配列でも今使っているMacBook Proのキーボード配列と微妙に違うんです。
注) HHKBの画像はこちらから拝借させてもらいました。
写真だとわかりにくいかもしれませんが、HHKBではキーボードの一番左上にESCキーが来ているので、「`」キーが最上段右端に移動しています。
そればかりでなく、Deleteキーは一段下がって上から2段目に来ています。
さらに「\」キーは一段上に上がってます。
あと身も蓋もないことを言えば、HHKBには十字キーが付いていません。(Fnキー + [ ; ' / でカーソル移動)
これはちょっと辛いです。
キーボードの配列が変わると、キーボードを変えたときにミスタイプの原因になります。
実際、我が家のiMacやMacBook AirはJIS配列なので、僕がたまにiMacやMacBook Airを使うとちょくちょくミスタイプしてしまいます。
ここにHHKBが加わると僕は3つのキーボードを使い分けなければいけません。
特に外付けキーボードは仕事用で使うので、MacBookと極力同じでないと逆に仕事の効率を落としかねないことになります。
というわけでHHKBは有名だけど僕には向いていないな、と思いました。
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次の候補はMajestouchかRealForce
でもプログラマ向けのキーボードって他に何があるんだろう~?と思ってTwitterでつぶやいてみたら、Yuki Sumida(@y_sumida)さんからこんなリプライをもらいました。
@jnchito HHKB以外のUSキーボードだとほぼ同じ配列なので、そちらを検討するのもいいかもです。Majestouchとか。
— Yuki Sumida (@y_sumida) November 21, 2013
お~、なるほど!と思い、ネットでHHKB以外の高級(?)キーボードを探してみました。
すると、よく名前が出てきたのがSumidaさんも挙げてくれたFILCOのMajestouchと、東プレのRealForceでした。
FILCO Majestouch2 87テンキーレス茶軸US配列 USB&PS2両対応 Nキーロールオーバー対応 独Cherry茶軸採用メカニカルキーボード ブラック FKBN87M/EB2
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東プレ RealForce 87UB 静音モデル 英語ASCII 87配列 墨モデル テンキーレス 昇華印刷 変荷重 DIP付 SE170S
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これらのUS配列のキーボードは確かにMacBookのキー配列とほとんど同じです。
ただし、基本的にWindows向けなので一番下段のキー(ControlとかAltとか)はMacと異なります。
できればここも含めてMacと同じだと理想的なのですが、残念ながらMac専用のキー配列になっている製品はありませんでした。
しかし、このあたりは後述するKeyRemap4MacBookを使えばカスタマイズ可能なので、目をつむることにしました。
じゃあMajestouchとRealForceの何が違うの?どっちがいいの?ということになります。
キー配列はどちらも同じです。
選択ポイントその2: 静かなキーボードであること
ここで僕が重視したかったのはタイプ時の静粛性でした。
「ラップトップのキーボードに比べて外付けキーボードのタイプ音は大きい」という噂をよく聞いていました。
僕は自宅でリモート勤務しているので、大きなタイプ音で同僚に迷惑を掛けるということは基本的にないのですが、その代わりに家族の迷惑になる可能性があります。
特にブログを書く時間帯は早朝が多いので、タイプ音が大きいと「お父さんのキーボードがうるさくて寝られない!」と家族から苦情が来てしまうかもしれません。
あと、Skypeでお客さんと打ち合わせすることも多いので、Skype越しにガチャガチャしたタイプ音がお客さんに聞こえるのも迷惑です。
というわけで、どっちの方が静かなんだろう?と思ってネットの評判を見ていると、どうも静粛性ではRealForceの方が評判が高いようでした。
Majestouchはメカニカル方式、RealForceは静電容量無接点方式というキー構造を採用しています。
一般的にメカニカル方式は音が大きくなり、静電容量無接点方式は音が静かになるそうです。
(ちなみにMacのペッタンコキーボードはパンタグラフ方式というみたいです)
しかも、RealForceはさらに静粛性を高めたモデルも存在しました。(それがRealForce 87UBのSE170Sというモデル)
ネットで公開されている動画を見てみると、確かに普通のモデルよりも二回りぐらい音が静かになっている印象を受けました。
余談: ネットを徘徊するより実機を触るのがベストです
ところで、お気づきの方もおられるかもしれませんが、ここまで僕はずっとネットの情報ばかりを収集しています。
実は僕は大都市から離れた片田舎に住んでいるので、なかなか実機に触れる機会がないのです・・・。
もし近くに大きなお店や専門店があるのなら、実際に実機に触って選ぶのが一番いいと思います。
選択ポイントその3: テンキーが付いていないこと
キー配列がMacに近いことと、静粛性が高いことに加えて、もう一つ重要だったのはキーボードにテンキーが付いていないことです。
確かにテンキーは便利なこともあるのですが、テンキーが付いているとキーボードの横幅が広くなり、Magic TrackPadを置いたときに右手を大きく動かす必要が出てくるからです。
というわけで、僕が選びたかったキーボードの条件は以下の3つです。
- 今使っているMacBook Proのキー配列(US配列)に極力近いこと
- 静粛性が高いこと
- テンキーレスであること
この3つの条件を一番満たしてくれたのが、東プレのRealForce 87UB(SE170S)でした。
東プレ RealForce 87UB 静音モデル 英語ASCII 87配列 墨モデル テンキーレス 昇華印刷 変荷重 DIP付 SE170S
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RealForce 87UB(SE170S)を実際に使ってみて
前述の通り実機に一度も触らず、ネットの情報だけで選んだので「もし大ハズレだったらどうしよう」と不安な気持ちもありましたが、幸い大丈夫でした。
キーボードのクオリティには十分満足
打ち心地は非常に良いです。
タイプ音もMacBook Proのキーボードに比べると多少ガチャガチャしますが、普通使うぶんには十分静かな方だと思います。
RealForceでしばらくタイプした後にMacBookのペッタンコキーボードに戻るとストロークの深さが全然違うので、まるで「スイッチを押しているだけ?」みたいな感覚になります。
ネットの情報では「キーが変に軽すぎて逆に困る」というような意見も時々見かけましたが、この点も基本的に大丈夫です。
確かに「A」のキーなんかは「軽すぎるかな?」と思わなくもないですが、日常的に困るようなレベルではありません。
唯一のウイークポイントはキーの文字色
唯一文句を付けるとするなら、印字されているキーの文字色ですね。
墨色のキーに一段濃い墨色で文字が印字されていて、見た目にはクールな印象を受けるのですが、視認性は高くありません。
もちろん、「ブラインドタッチできれば問題ないやん!」と言われたらそれはそうなんですが、普段あまりタイプしない記号なんかはさすがにキーボードを見ながら打とうとしてしまいます。
部屋が明るいうちは問題ありませんが、日が暮れて部屋が薄暗くなってくると、キーの文字がほとんど見えなくなります。
この点は黒地に白い文字で問題なかったですし、MacBook Proのようにキーボードバックライトが付いていればさらに言うことなしでした。
とはいえ、MacBookよりもはるかにタイプしやすいですし、タイプする気持ちよさもはるかに上なので、コードを書いたりブログを書いたりするのが楽しくなります。
もちろんこのブログも今RealForceを使って書き込んでいます。
RealForceをMacBook Proで違和感なく使うための設定方法
ところで、RealForceはWindows用のキー配列になっているので、そのままMacに接続するとControlキーやAltキー(いわゆる修飾キー)の位置がMacと異なります。
キーボードが変わるたびに修飾キーの位置を頭の中で切り替えながら使うのは大変なので、RealForceの修飾キーをMacっぽく変更させましょう。
僕の理想はこんな感じです。
- AltキーにCommandキー(アップルキー)を割り当てる
- さらに左側を単独で押すと「英数」に、右側を単独で押すと「かな」に切り替える (これはMacBook Proも同じ設定)
- WindowsキーにOptionキーを割り当てる
Controlキーの場所はどちらもあまり変わらないので、これでとりあえずMacっぽく使えるようになるはずです。
こういうカスタマイズをするのに便利なのがKeyRemap4MacBookというユーティリティツールです。
このカスタマイズはあくまで「RealForceを使ったときだけ有効」にしたいので、ちょっと凝った設定が必要になります。
具体的には以下のような手順で設定します。(Version 9.0.0の場合)
- 1. KeyRemap4MacBookの設定画面を開く
- 2. Misc & Unistallタブを開く
- 3. 「Open private.xml」ボタンをクリックする
- 4. private.xmlを任意のエディタで開く
- 5. private.xmlに以下の記述を追加して保存する
<?xml version="1.0"?> <root> <devicevendordef> <vendorname>TopreCorporation</vendorname> <vendorid>0x0853</vendorid> </devicevendordef> <item> <name>For Topre Keyboards</name> <item> <name>Set Command to Option</name> <identifier>private.topre.set_command_to_option</identifier> <device_only>DeviceVendor::TopreCorporation</device_only> <autogen>__KeyToKey__ KeyCode::COMMAND_L, KeyCode::OPTION_L</autogen> <autogen>__KeyToKey__ KeyCode::COMMAND_R, KeyCode::OPTION_R</autogen> </item> <item> <name>Set Option to Command and EISUU/KANA</name> <identifier>private.topre.set_option_to_command_and_eisuu_kana</identifier> <device_only>DeviceVendor::TopreCorporation</device_only> <autogen>__KeyOverlaidModifier__ KeyCode::OPTION_L, KeyCode::COMMAND_L, KeyCode::JIS_EISUU</autogen> <autogen>__KeyOverlaidModifier__ KeyCode::OPTION_R, KeyCode::COMMAND_R, KeyCode::JIS_KANA</autogen> </item> </item> </root>
- 6. KeyRemap4MacBookの設定画面に戻り、Change Keyタブを開く
- 7. 「ReloadXML」ボタンをクリックする
- 8. remappingの先頭に「Topre Keyboards」が表示されるのでそれを開き、「Set Command to Option」と「Set Option to Command and - EISUU/KANA」にチェックを入れる
ちなみにRealForce 87UにはDIPスイッチ(ハードウェアスイッチ)で修飾キーをカスタマイズする機能もありますが、これは標準状態のままにしています。
ファンクションキーもMacっぽく
ついでに、F1~F12キーにMacと同じように液晶の輝度調整やボリュームコントロールを割り当てたい、という人はKeyRemap4MacBook標準のremapping設定を使えます。
言葉で説明すると余計にややこしいので、以下の画像を貼っておきます。設定項目を探してチェックを入れればOKです。
Caps LockはControlに変更
さらに僕はCaps Lockキーを使わないので、代わりにControlキーを割り当てています。
これはKeyRemap4MacBookではなく、OS Xのシステム設定から行えます。
OSの言語が英語の場合、以下のようにして設定画面を開きます。
- System Preferences > Keyboard > Modifier Keys...
Select KeyboardからRealforce 87を選んで、Caps Lock Keyの設定をControlに変更します。
まとめ
というわけで、今回は外付けキーボードとしてRealForce 87UBを選んだ理由と、MacBookと併用しながら快適に作業できるキー配列のカスタマイズ方法について紹介してみました。
ところで話は前後しますが、このRealForce 87UB(SE170S)、お値段は決して安くありません。
実は逆輸入モデルということもあり、3万近くするキーボードです。
「伊藤さんはもしかしてコレを自腹で買ったの?」と思っている方もおられるかもしれませんが、すいません、会社の経費で購入してもらいました・・・。(なぜか小声)
「買ってもいいですか?」って副社長の藤原さん(@pastaonly)に聞いてみたら「どうぞー」と返事が来て、「やったー!」と即座にAmazonでポチりました。
しかし、その直後に「あれ、値段見てなかった... ちょっと高いですね...」と追加のリプライが来ていました。
ごめんなさい、その時点で僕はもう購入をキャンセルする気持ちにはなれませんでした。。。
かくして「ちょっと高い」RealForceくんが我が家に届いたわけであります。
でも、開発環境がグレードアップすると仕事のモチベーションもぐーっと上がりますよね!
無駄な経費にしないためにもこれまで以上に頑張って仕事します!!
それでは今日のエントリはこれにておしまい!
東プレ RealForce 87UB 静音モデル 英語ASCII 87配列 墨モデル テンキーレス 昇華印刷 変荷重 DIP付 SE170S
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USキーボードに移行してみて感じたこと - give IT a try
JISキーボードからUSキーボードに切り替えたときに感じたことのまとめです。
このときからキー配列の違いでミスタイプが増える問題点に気付いていました。
また、以下はキーボード選びやKeyRemap4MacBookの設定で参考にさせてもらったサイトです。
どうもありがとうございました。