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僕が小学3年生の頃に出会った「親切で優しいお兄さん」の話

注意:このエントリには性犯罪に関する話題が出てきます。苦手な方は閲覧を控えてください。

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かなり昔の話なので、記憶があいまいな部分もありますが、覚えている範囲で書いていきます。

はじめに:僕はAくんと一緒に飛行機を見に行った

これはたしか、僕が小学3年生、つまり9歳ぐらいだったときの話です。
僕は1977年生まれなので、たぶん1986年頃だと思います。

僕は大阪府豊中市で生まれ育ちました。
大阪国際空港(伊丹空港)がすぐ近くにあり、小さい頃から飛行機を見に行くのが好きでした。

そんなある日、同じクラスに転校生がやってきました。ここではその子をAくんと呼びます。
僕とAくんはすぐに仲良くなり、放課後によく一緒に遊びました。

僕は飛行機を見に行くのが好きだったので、「放課後、一緒に飛行機を見に行こう」とAくんを誘いました。
自転車を使えば5分か10分ぐらいで行ける場所です。*1

僕とAくんが遊びにいった「千里川土手」

ちょうどYouTubeにその場所の動画がありました。
ここです。小さい頃、ここによく遊びに行ってたんです。
「千里川土手」と呼ばれているようですね。


www.youtube.com

僕とAくんに話しかけてきた「若いお兄さん」

僕とAくんは秋口の夕方に、この「千里川土手」で着陸してくる飛行機を一緒に眺めていました。

すると若いお兄さんが僕たちに話しかけてきました。
あまりはっきり覚えていませんが、中年のおじさんとかではなく、20代ぐらいの若いお兄さんだったと記憶しています。
お兄さんも飛行機が好きみたいで、「一緒に飛行機を見よう」と言ってきました。

お兄さんはとても親切で、普段子どもたちだけでは行けないような、ちょっと離れた見学スポットにも連れて行ってくれました。
僕とAくんはお兄さんと楽しくおしゃべりしながら、一緒に飛行機を見ていました。

「君はあっちで待っててくれる?」

楽しく飛行機を見ていると、だんだんあたりが薄暗くなってきました。
そろそろ帰らなきゃ、と僕は思いました。

その頃、僕とAくんとお兄さんは、千里川土手の少し外れにある、あまり人気のない堤防道路に立っていました。
そこでお兄さんは僕に向かって「ごめん、Aくんにだけ、ちょっと聞きたいことがあるから、君はしばらくあっちの方で待っててくれる?」と言ってきました。

僕はお兄さんの言葉を信じて「うん、わかった」と答え、もともと遊んでいた飛行機がよく見える場所に戻りました。

僕は耐えきれず、一人で帰ってしまった

でも、いくら待ってもお兄さんとAくんは戻ってきません。
もうすでにあたりは真っ暗です。

「一人で帰るわけにはいかないから、待っとかなきゃ……。でも、遅いなあ。いつ戻ってくるんだろう?」

と、僕はだんだん不安になってきました。
もう真っ暗なので、母もきっと心配しているはずです。

それからあともしばらく待っていましたが、僕の中で「遅すぎる、もうダメだ」と限界が来てしまい、Aくんに「ごめん」と心の中で謝りながら、僕は一人で家に帰ることにしました。

あとからわかった「お兄さん」のこと

帰宅したあと、母に堤防で起きたことを話しました。
母はびっくりして、すぐにAくんのお母さんに電話をしました。

母とAくんのお母さんが電話で話している最中に、Aくんが泣きながら帰ってきたそうです。

そのあとに母から聞いた話では、Aくんはお兄さんに「これは研究のためだから」みたいなことを言われてズボンを脱がされ、おちんちんを見られたり、触られたりしたそうです。

僕はそのときに初めて、あのお兄さんが「親切で優しいお兄さん」ではなく、小さい男の子を狙う痴漢だったことに気付きました。

何もわからなかった自分の情けなさと、Aくんへの申し訳なさ

あとから思えば小学3年生の僕でも、一連のできごとは最初から怪しい話だったのを理解できました。
でも、そのお兄さん、いや、その犯人と会って話していたときは、本当にフレンドリーかつ親切で、純粋に「いいお兄さんだなあ」と思っていたのを覚えています。情けないことに。

また、Aくんには本当に申し訳ないことをしてしまいました。
Aくんは転校生だったので、千里川土手から家に帰る道もよくわからなかったみたいです。
痴漢の被害に遭った上に、帰り方もよくわからないAくんを放って帰ってしまったのは、本当に申し訳なかったです。
ただ、小学3年生だった当時の僕には「もう真っ暗で、自分も不安だから一人で家に帰る」という選択肢を採ることしかできませんでした。

その後、Aくんとはまた一緒に遊ぶようになりましたが、あの日千里川土手で起きた件については、お互いに触れることはありませんでした。

大人になり、父親になって思うこと

45年間生きてきて、僕が性被害に遭いかけたのはこの一件だけです。
しかし、性被害は女性だけではなく、男性にも起こりうる、ということを身をもって理解しました。

また、小学生ぐらいの小さな男の子は、いかに判断能力がなく、こんなにも簡単に悪い大人に騙されてしまうのか、ということも、自分自身の経験からよくわかりました。
繰り返しになりますが、当時の僕はあの犯人にまったく警戒心を抱いていませんでした。

僕は「被害に遭いかけた」で終わりましたが、実際に被害に遭ってしまったAくんには、また違った感情や心の傷があると思います。
そのことについて直接聞いたことはないので、それが具体的にどんなものなのか僕にはわかりません。
ですが、これはどう考えても犯罪ですし、小さな子どもをこんな目に遭わせることは絶対に許されないことです。

こういう話は記憶として残っていてもわざわざ人に話すことではないので、僕と付き合いの長い人もほとんど誰も知らないと思います。
ただ、昨今のニュースを見ていると、ときどき自分の過去の記憶に重なる部分を感じるのもたしかです。
なので、一つの事例として残しておいてもいいかもしれない、と思って書いてみることにしました。

小さなお子さんのいる保護者のみなさんはこういう被害が起きないよう、大事なお子さんを大切に守ってあげてください。

*1:小学校低学年の児童が勝手にそんな場所に遊びに行っていいのか、という意見も聞こえてきそうですが、当時はそういう時代だったのか、みんな自転車で好き勝手に遊び回っていました。